第12回UNDP邦人職員リレーエッセイ「開発現場から」 UNDPザンビア事務所 清水麻衣子さん

 ザンビア政府主催の「国際女性の日」イベントに、国連も参加。UNDPや在ザンビアの他の国連機関の同僚たちと総出で、バナーを掲げ行進に参加する清水さん


2013年1月18日

はじめまして。国連開発計画(UNDP)ザンビア事務所の清水麻衣子です。私は2011年から同事務所のガバナンス・ユニットでプログラム・アナリストとして働いています。国際協力の仕事に興味をもったのは、進路を考えていた高校生の頃、国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)で日本人国連職員や国連ボランティア(UNV)の方々が紛争後の選挙管理支援で活躍されている様子をテレビで見てからです。大学を卒業後、民間企業で働いていましたが、新聞でNGOが選挙監視員を募集しているのを知り、パキスタン、カンボジア、インドネシア、台湾の選挙監視と選挙監視ミッションの現地コーディネートを行いました。その後、修士で平和と紛争解決を専攻し、東ティモールの日本大使館で経済・経済協力の仕事に従事した後、現在に至ります。

ザンビアという国
ザンビアは、南部アフリカ地域の中でも、比較的、政治的に安定した平和な国として知られています。1964年、東京オリンピックの閉会式の日に独立して以降、独立の父、ケネス・カウンダ大統領の下で一党制を敷いていましたが、1991年に複数政党制へ移行し、その最初の選挙で政権交代がありました。それ以後も定期的に民主選挙が行われており、2度目の政権交代は2011年10月の総選挙でした。UNDPザンビア事務所は、1983年にザンビア政府と基本支援合意を取り交わして以来、1991年の複数政党制への移行、2008年の大統領急逝にともなう大統領補欠選挙、2011年の総選挙を含む各種選挙を支援してきました。

独立してから紛争を経験してきた近隣国に比べて、ザンビアは政治情勢の安定が際立っています。その一方で、公共サービスが末端まで行き届いておらず、富の分配がうまくいっていないという現状があります。ザンビアはビクトリアの滝に象徴されるように、水資源が豊富です。また、コッパーベルト州という名前が象徴するように、銅鉱山があり、銅の生産に頼った経済構造になっています。近年、経済が上向きになり、首都ルサカでは中間所得者層、富裕層を目にすることも増えてきましたが、ひとたび首都を離れ、地方に行けば、非常に貧しい生活をしている人々の姿が目につきます。広大な土地に人々が離れて住んでいるため、保健や教育といった公共サービスを隅々まで行き届かせることが大きな課題となっています。

こういった富の分配と持続的開発をテーマに、UNDPザンビア事務所では、「環境保護」、「貧困削減およびMDGs(旧HIV/AIDS)」、そして「ガバナンスおよびジェンダー」の3つのチームが、支援プログラムを実施しています。私たちガバナンス・チームは、2012年から2015年までのガバナンス支援プログラムのデザイン及び立ち上げを行いました。私は、同プログラムの下で、議会、人権委員会、市民社会組織といった各実施機関によるプロジェクトの実施管理を行っています。

UNDPザンビア事務所のガバナンス支援プログラム
ザンビアは、主だった国際人権条約を署名・批准しています。しかし、国内での実施には程遠いものがあります。従って、ザンビアが国際社会において実施を約束した事項について、国内での実施を支援する、というのが、国連にとっての支援の着手点となっています。また、2011年の総選挙で発足した新政権は、マニフェストの一つとして、憲法改正を掲げています。これらを踏まえ、UNDPザンビア事務所では、(1)憲法改正支援、(2)公共サービス提供のための組織・制度の強化(人権の義務を負う者(Duty Bearers)への支援)、(3)人々の政治参加の促進(人権の権利を持つ者(Rights Holders)への支援)、の3本柱の支援プログラムを立ち上げました。このプログラム文書は2012年7月、政府とUNDPの間で署名され、実施段階に移りました。

ガバナンス支援プログラムの中で、私は、国民議会への支援、人権委員会への支援、そして市民社会団体への支援、の3つのプロジェクトの実施管理を担当し、また、憲法草案技術委員会支援プロジェクトの補佐も行っています。国民議会への支援では、例えば、2006年選挙の際の15%から2011年の選挙で11%へと落ち込んでしまった女性議員の割合を、次の選挙で引き上げるべく、超党派の女性議員グループへの支援をしたり、今後の議会改革の方向性を決めるための会議の支援を行ったりしています。また、人権委員会と市民社会団体に対しては、人権の実施・保護状況調査の支援等を行っています。

ザンビアにおける日本
現在の仕事では、政府や議会、市民社会の方々に会議等で日々お会いしますが、自己紹介の際、私の名前を言うと、必ず困ったような笑いがおきます。私の名前はザンビアでは男性の名前らしく(現地のニャンジャ語でMaikoは「国々(countries)」という意味)、自己紹介をすると、まず、「そんなはずはない」と言われます。そこで、自己紹介の段階で、日本ではMaikoは女性の名前であることを紹介することになります。日本人であることを知られることは、実は私にとって仕事をやりやすくすることになります。というのは、ザンビアにおいて、日本はとても好意的に受け入れられており、「あの道路は日本が作ってくれた」「あの学校は日本が建ててくれたんだよ」と言われることが多いからです。最近では、2012年10月初旬、ザンビアの大統領と外務大臣が日本を公式訪問し、有償資金協力のインフラ・プロジェクトが開始することになりました。現在フェリーで繋がれているボツワナとザンビアの国境に橋をかけることで、国境の行き来を促進し、通関にかかる時間を現在の平均30時間から6時間へと大幅に短縮、貿易促進と地元の経済活性化につなげられる、とのことです。

ザンビアにおける日本と言えば、実は私自身も、日本政府による支援でUNDPザンビア事務所に勤務しています。ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)という制度で、日本政府が、国連の日本人職員を増やすため、ある一定の期間日本人を国連機関に派遣する制度です。JPOは、日本政府による派遣期間終了後、国連機関と契約し、引き続き国連職員として仕事をしていくことが期待されています。私が着任した当時は、私以外に2人の日本人JPOがザンビアの国連機関に勤務していました。

これまでアジアで仕事をしてきた私にとって、アフリカは働いてみたい場所でした。また、民間企業、非政府組織(NGOs)、政府組織と経験してきた中で、国連という枠組みだからこそ出来るガバナンスや人権の支援の意義を感じました。国連は大きな官僚組織で、非効率な点も多々あります。それらを踏まえた上で、国連でないと出来ない支援に引き続き関わっていきたいと思っています。

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清水 麻衣子 (しみず まいこ)
UNDPザンビア事務所 ガバナンス・ユニット プログラム・アナリスト

民間企業で経営企画に携わった後、NGOに転職、日本及び国際NGOにてアジア各国の選挙監視活動に従事。在東ティモール日本大使館(経済・経済協力)を経て、2011年より現職。国際基督教大学卒業(教養学士・政治学専攻)。ロータリー財団世界平和フェローとして、豪州クイーンズランド大学にて国際学修士号(平和と紛争解決専攻)を取得。 

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