第24回UNDP邦人職員リレーエッセイ「開発現場から」 UNDP本部対外関係・アドボカシー局ジャパンユニット 二瓶直樹さん

 2014年3月、サヘル地域のプロジェクト現場を訪問。ブルキナファソの農村部にてマイクロファイナンス事業の供与式に参加した際の様子(筆者右)

2014年5月28日
国連最大の開発専門機関である国連開発計画(UNDP)本部の対外関係・アドボカシー局ジャパンユニットに、日本とUNDPのパートナーシップ強化を目的として、国際協力機構(JICA)より派遣されている二瓶直樹と申します。UNDP本部のあるニューヨークに来る前はJICAの職員として、日本の政府開発援助(ODA)による開発途上国でへの支援に過去10年に渡り国内外の業務を通じて従事してきました。

「UNDPと日本のパートナーシップ」とは、一言で簡単に語りつくせるものではありません。UNDPにとって、日本は数ある国連加盟国の中でも、一番大事なパートナーといっても過言ではないのです。日本はUNDPへ対し、特に過去5年間、拠出金額で他国と比べて、ナンバーワンの位置にあります(2013年は約380億円を拠出)。国連ミレニアム開発目標(MDGs)の達成、人間の安全保障やアフリカ開発などにおいて、日本とUNDPはお互いにとって力強いパートナーとしてあり続けています。

国連システムにおける開発援助を進める中心的存在であるUNDPは高い専門知識、豊富な経験、そしてグローバルなネットワークを最大限に活かし、これまで日本が取り組んできた地球規模の重要な課題、例えば、防災、気候変動、女性の地位向上、保健、政府による統治機能強化等、様々な分野で日本と協働して、開発途上国における貧困削減・格差是正と経済成長に貢献してきました。

ここで、私のニューヨーク本部での業務に少し話を移したいと思います。私の一番大事な仕事は、上述した毎年日本からUNDPに拠出される資金の管理です。特に過去5年間、日本は様々な地域における開発課題に対応するべく、UNDPへ毎年約300-365億円を拠出し、アフガニスタン、イラク、ソマリア等における紛争後の平和構築、アラブの春以後の中東地域における若者層雇用・選挙支援・治安回復、アフリカ地域等における環境問題・旱魃対策・治安維持のプロジェクトを毎年多数支援してきています。

私の所属するジャパンユニットは世界中で日本の支援で100件以上動いているUNDPによるこれらの開発援助プロジェクトが適切に実施されるよう本部から現場をサポートすることです。特に、プロジェクトが効果的に実施されているかをモニターし、プロジェクト終了後に、結果が報告書としてまとまり、日本へ提出されるように、UNDPの国・地域事務所や本部関係部署と日々の緊密なコミュニケーションを行います。また、プロジェクトの現場で、受益する開発途上国の市民やプロジェクトにより実際に恩恵を受ける現場コミュニティの人々が、UNDPによる事業が日本の皆様の支援によりなされていることがわかるように、日本国旗や日本のODAのロゴを加えたり、現地メディアによる日本の支援の広報を促進したり、現地日本大使館の関係者に結果が出ている現場を案内するなど、日ごろの工夫を重ねて日本の顔が少しでも見えるよう努めております。

これまで、私自身が足を運び、中東地域のエジプト・チュニジアにおける選挙支援や若者雇用、サブ・サハラ・アフリカ地域のエチオピアにて旱魃後のコミュニティ支援、サヘル地域のニジェールとブルキナファソにて治安安定・平和構築の現場を訪問してきました。現場訪問時は、私自身が実際の開発プロジェクトの現場に赴き(時には首都から車で陸路11時間かかる遠く離れたコミュニティへ行くこともあります)、実際にプロジェクトによる効果を確認するために、受益国政府や地元コミュニティの関係者から生の声を聞き、また、自分の目で日本による資金援助の効果がしっかりと出ていることを確かめます。また、活動の中で、日本の顔がきちんと見えるようにUNDPが取り組んでいるかをチェックし、十分ではない場合、現場のUNDP関係者へアドバイスを行い、活動の改善に取り組みます。

「UNDPと日本とのパートナーシップ」を更に強化するために、UNDPが日本の開発援助機関であるJICAとの連携を通じて、それぞれが自らの事業を通じて、開発途上国で効果の高い事業を実施できるよう相互理解や知識交換を推進しております。私はJICAにて過去10年以上に渡り勤務し、日本政府・JICAによる現場での援助の強みや特徴をよく理解しているので、その知識を活かしつつ、UNDPが事業形成する際に、どのようにJICAと現場でタッグを組めば、効果的なプロジェクトができるかを常日頃UNDPの同僚と考えて、新しいプロジェクトの形成に努めています。またその逆もあります。UNDPの援助経験の強みを活かしてJICAと連携することも可能です。私が早くからUNDPの利点に着目し、連携を推進していた中央アジアのタジキスタンにおけるアフガニスタン国境地域のコミュニティ支援事業について、協働で案件形成を進めた結果、今年3月にJICAはUNDPと連携して取り組むことを決めました。

知的面での連携もあります。JICAの田中明彦理事長は、2012年の理事長就任以来、これまで、UNDPによる人間開発報告書(地球規模の様々な課題について開発援助の政策提言を行う報告書。毎年異なるテーマで発刊)の有識者アドバイザリーパネルを務めており、同報告書の作成に関与する上で日本(JICA)による開発援助の蓄積した知見を最大限に活用し、また発信しています。その他にもUNDPは、JICAと互いの強みを活かし、平和構築、紛争予防、南南協力・三角協力といった分野で積極的に知識交流を行うと共に、協働での知識発信に取り組んでいます。

UNDPは国連の中で開発援助の政策や現場での事業をリードする組織です。現在UNDPでの業務を通じて、私は日々国連場裏における援助の最先端の議論や潮流を目の当たりにします。日本とJICAは開発途上国の現場における援助プロジェクトでの非常に大きな蓄積・経験を有しており、これらから得られる教訓は、国際機関にとっても学ぶべきものが多く、特に、アフリカ開発、防災、南南・三角協力等の分野で日本は一目を置かれる存在です。日本は自らの経験を活かし、UNDPを初めとする国際機関との連携を通じて、今後も更に地球規模の諸問題や貧困削減に貢献できる余地が大いにあると感じております。

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二瓶直樹(にへい・なおき)
UNDP対外関係・アドボカシー局ジャパンユニット・JICA/日本連携アドバイザー

2003年、国際協力機構(JICA)入構以来、日本のODAに従事。2009-2012年、中央アジアのウズベキスタンにて、市場経済移行期の社会・経済開発を目的とした民間セクター及び法整備支援、運輸・電力インフラ支援に従事。2012年8月よりUNDP本部にて勤務。早稲田大学社会科学研究科修士卒。

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