UNDP邦人職員リレーエッセイ「開発現場から」第30回 UNDP本部人事部 岡本健さん

 岡本さん(左端)とUNDPの同僚たち


2015年2月26日


はじめまして。国連開発計画(UNDP)本部人事部の岡本健といいます。2014年から日本政府のJPOとしてニューヨークで勤務しております。

私は父がポーランド人難民で母が日本と韓国のハーフであることから、国連が関わる分野(国際政治・人道支援・開発援助等)には自然と興味が湧きました。私自身は主に日本で育ちましたが、ベルリンの壁崩壊後に父がポーランドに戻れることになり、1990年代に数回ポーランドの親戚を尋ねることができました。共産主義から資本主義への社会体制の移行後、数年に1回行くごとに国が発展している姿はうれしかったですが、同じ年代のポーランドの子どもたちと日本で育った自分との貧富の格差に驚いたのを覚えています。

学部生時代には国連大学が主催する泊り込みのグローバル・セミナーにも参加し、大学院進学後は国際機関で働きたいと思っていましたが、まずは専門性が必要だと思いロンドンの民間コンサルティング会社に就職しました。仕事は多国籍企業の組織再編・税務・国際人事異動に関するアドバイスを行う部署で、ここで8年半程働きました。

人事部では職員の能力開発プログラムを担当しております。具体的には財務職員向けの資格取得支援制度の運営、人事職員向けの資格取得支援制度の設計、各種オンライン・トレーニングの開発、新規配属者への情報提供サイトの管理、メンター制度等を通じたキャリア・パス構築サポート等を行っております。

UNDPは世界170以上の国と地域で活動しており、職員も各地に点在しております。世界中に職員が点在していることは組織としての強みですが、伝統的な対面型の能力開発プログラムを実施する上では大変な組織形態です。対面型のトレーニングもいくつかあるのですがコストがかかってしまう為、オンライン・トレーニングを有効に活用しております。

資格取得支援制度では、オンラインで財務関連の授業を履修し、UNDP現地事務所職員が試験監督をすることで、実際に学校・試験会場に行くことなく資格が取得できる制度になっています。UNDPの活動地域の中では、治安が悪い場所や交通インフラが整っていない場所も多い為、こういった制度を運営することによって、勤務地による教育格差をなくせると共に資格取得支援にかかる費用を大幅に削減でき、より多くの職員のキャリアアップを手助けすることができます。UNDPは今後も拠出国から頂いた予算を最大限に有効活用する為に、より効率的に成果を出すことが求められており、その為には職員が能力向上できる環境を整える必要があります。

能力開発の分野では「70-20-10の法則」という有名な人材育成の法則があります。これは、70%は実際の経験(主にOn the Job Training)を通して学び、20%は周囲のコーチングやフィードバックを通して学び、本や正式なトレーニングと通して学ぶのは10%であるというものです。逆に言うと、講義などの研修で学んだ理論的な枠組みは、そういった理論を試してフィードバックを受ける環境が無ければ、習得できないということです。

各地に事務所と人材が点在しているUNDPの組織形態を生かすためには、オンライン・トレーニングで学んだ事を仕事の中で実行し、それに対して現地の同僚及び上司からフィードバックを受ける環境が必要となります。こういった環境整備をするために、人事部では各事務所に現地事務所のトレーニングプログラムを管理する役割の職員、ラーニング・マネージャーを配置しております。

日本でも山本五十六の人材育成の有名な言葉として、「やって見せて、言って聞かせて、やらせて見て、ほめてやらねば、人は動かじ」があります。トレーニングへの時間及び金銭的な投資を生かす為には、事務所の同僚及び上司のサポートが非常に重要となります。

人事部の仕事は裏方の仕事ですが、UNDPのような職員のバックグラウンドも活動地域も多様な組織の人材育成に携われることに非常に感謝しております。また、先人たちのお陰で、日本人は非常に勤勉・勤労であると多くの国連職員が思っております。

産業構造や国際情勢がめまぐるしく変わる現代においては、職員の方が常にスキル・アップできる環境が必要であり、勤勉・勤労といった日本の良き特色もUNDPの中で更に浸透させてゆきたいです。

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岡本健(おかもと・けん)
UNDP本部 職員能力開発ユニット、アナリスト。

明治大学政治経済学部卒業後、オックスフォード大学大学院にて社会学修士号を取得。デロイト勤務を経て、2014年より現職。

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