第8回UNDP邦人職員リレーエッセイ「開発現場から」 UNDPアフガニスタン事務所 青砥正明さん

 独立選挙委員会(IEC)本部の倉庫の中で2010年選挙に使った選挙用品を整理整頓、数量チェックを行う青砥さん(右)

2012年9月12日

国連開発計画(UNDP)アフガニスタン事務所の青砥正明です。アフガニスタンの将来に向かって法と選挙の能力強化(第2段階)-ELECT IIプロジェクトのロジスティクス・スペシャリスト (ロジスティクス専門官)として、2010年10月から選挙支援の仕事をしています。

ELECT IIでは、アフガニスタンで2014年に予定されている次期大統領選挙をはじめとする将来の選挙において、この国主体で選挙を実施・運営できるようになることを目標とし、当国における選挙担当機関である独立選挙委員会(Independent Election Commission of Afghanistan = IEC) の体制作りと能力開発に主眼を置いて活動しています。

日本政府からは、2009年の大統領選挙および2010年の下院議会選挙への支援をはじめ、以前より多額の資金を拠出いただいております。また、ELECT IIのプロジェクトにおいては、今後アフガニスタン政府主体で選挙を実施・運営していく上で必要不可欠である、IECの地方事務所と倉庫の建設及び人事面の能力開発に支援いただいています。

私はカブールのIEC本部敷地内にあるロジスティクス部門の建物に常駐して仕事をしています。主要任務は、2014年に予定されている選挙をはじめとする将来の選挙において、同部門主体でロジスティクス全般に亘るオペレーションを遂行することができるようになるための、ハード・ソフト両面に亘る体制整備と職員の能力開発です。

選挙を成功に導くロジスティクス・オペレーションとは下記を全て満たすことです。

1. 選挙実施上の要請及び法令遵守に基づき、投票用紙をはじめとする選挙に必要な全ての物品を、必要数量、投票所にタイムリーに届け、選挙終了後速やかに回収する。その輸送にあたっては、選挙違反をはじめとするあらゆる不正が入る余地を排除する。また、このオペレーションにあたっては低コストを実現する。

2. 必要な物品は選挙実施に支障がないように確保する。可能な限り、過去の選挙で使用した物品を状態良く保管し、将来の選挙で再利用する。購入が必要なものについては、タイミング良く調達する。

3. 輸送中を含め、選挙運営物品がどこにどれだけあるかリアルタイムで把握し、不正の入る余地のない管理体制を構築する。

これをアフガニスタンで実現させるためには下記のような困難を乗り越えなければなりません。

1. 政府の実効支配が及んでいない地域があり、いまだ紛争地域が多く存在する。実効支配が及んでいても、治安上問題ある地域がほとんどである。

2. 全国の投票センターは約7000か所。投票センターには、男性用、女性用、遊牧民用の投票所がある。投票所の合計は全国で約2万か所(2010年選挙実績)ある。

3. 国土面積は約65万平方㎞で日本の1.7倍強。人口は約2800万人と言われている。国土の大半が山岳地帯の多民族国家である。

4. 数十年に亘る戦争と紛争で、道路、通信、電気等々のインフラが壊滅的に破壊されている。

5. IECで選挙実施に必要な人員を常時抱えておくことは財政上不可能。最低限の人員が常勤しているカブール本部と地方事務所34か所において、選挙に向けての体制作りと能力開発を行っているが、選挙時には多くの臨時職員がオペレーションに携わることになる。

このように、私の任務はとても明確ですが、同時に多くの困難を乗り越えなければ達成できない仕事です。幸いこの国の人々の日本人への好感度はとても高く、IECの職員の方々もとても好意的に接してくれます。彼らと力を合わせ、誠心誠意全力で取り組んでいけば、必ず目的は達成できると確信しています。また、日本人だからこそ円滑に進められることもたくさんあります。こういった環境下で仕事できるのも、長年にわたる日本政府からこの国への心のこもったサポートと、この国の人々のために大変な苦労をされてきた多くの日本人の方々のお陰です。

任務に集中して取り組む上で、在アフガニスタン日本大使館の厚い邦人サポートにはとても感謝しています。カブールの治安は、未だ安全と言える状況ではないのが実情です。5月には私が住んでいる外国人専用居住施設が襲われ、幸い居住区には侵入されなかったものの、施設の入り口付近で警備兵と子どもを含む通行人のアフガニスタン人の方が数名亡くなりました。大使館の方々には、昼夜を問わず、とても細やかにこの国で働く私たちの安全確保に努めていただいています。国連の安全管理下にあるとは言え、日本大使館の方々が常に私たちを見守ってくださっていることは、とても心強いことであり、安心して仕事に傾注することができます。

先日1960年代のアフガニスタンの写真を拝見する機会がありました。その写真から、この国にも平和で豊かな時代があったことを窺い知ることができ、国家が破壊されるということがどういうことか改めて理解できました。この国が平和になるためには、国民の尊厳が守られ、最低限の衣食住と医療が保障される必要があります。そのためにはこの国に民主主義が根付いていくことが必要不可欠であり、この国主体で公平な選挙が実施できるようになることが大切です。それを実現するために、全力で取り組んでいきたいと考えています。

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青砥正明 (あおと まさあき)
ロジスティクス・スペシャリスト
ELECTプロジェクト
UNDPアフガニスタン事務所

島根県生まれ。レスター大学(英国)にて経営学修士号を取得。日本通運株式会社の勤務を経て2010年10月から現職。

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