人間開発報告書2010


「国家の真の豊かさ―人間開発への道筋」

2010 年11月4日 ニューヨーク10:00(日本時間23:00)発表

「人々はまさに国家の宝である」―1990年の人間開発報告書創刊号の冒頭に記されたこの簡潔な言葉は、その後に刊行されたすべての報告書の指針をなしている。人間開発報告書は、豊富な実証データ、さらには、開発に関して、そして開発の成果を測る指標に関して新しい考え方を示すことによって、この主張を裏づけ、それを通じて世界の開発政策にきわめて大きな影響を及ぼしてきた。

この人間開発報告書20周年記念号では、序文として、マブーブル・ハックに協力して人間開発報告書の創刊を構想し、その後の多くの号の執筆に参加し、さらには知的刺激を与えてきたノーベル賞経済学者である、アマルティア・センの回想を収録した。

人間開発報告書の伝統を継承して、2010年の報告書でも、開発に関する考え方のフロンティアを押し広げている。1990年の創刊号以来はじめて、過去数十年の変遷を綿密に検証して、未来への重要な教訓を含む特筆すべき潮流やパターンをいくつも見出した。人間開発を成し遂げるパターンは多様であり、その点からも明らかなように、持続可能な進歩を成し遂げる方法は1つでない。経済が成長を続けていない国でも、長期にわたり力強い進歩を実現することは可能であり、実際にそういう例がある。 創刊号執筆陣の革新精神を引き継ぎ、本報告書では、人間開発報告書のシンボルとも呼ぶべき指標である人間開発指数(HDI)の算出方法を時代に合わせて修正し、さらに、画期的な指標を新たに3つ提案する。

  • 不平等調整済み人間開発指数
    健康状況と教育状況、それに所得の分配状況に関して、どの程度の不平等が存在するかに基づいて、国ごとのHDIの数値に修正を加えた指標

  • ジェンダー不平等指数
    女性の健康の水準と教育の水準、政治や職場への参加の度合いを考慮に入れて、国の中での男女の格差を把握し、同時に国家間の比較をおこなうことを目的とする指標

  • 多次元貧困指数
    健康、教育、生活水準など複数の側面における世帯レベルの貧困状況を把握するための指標。調査対象の104か国で暮らす人々の3分の1が極度の多次元貧困状態にあることが明らかになった。

本報告書は、2010年以降を視野に入れて、これらの指数で測れない人間開発の重要な側面――政治的自由、エンパワーメント、持続可能性、人間の安全保障など――についても取り上げ、こうした問題に対処するうえで取り組むべき幅広い研究課題と政策課題を示している。

 「人間開発報告書が創刊されて20年、これまでに成し遂げたことは大いに称賛に値する。しかしその一方で、旧来の問題の評価方法を改良する手立て、さらには人間の幸福と自由を脅かす新たな脅威を発見し、それに対処する手立てを見出すための努力を忘れてはいけない」と、アマルティア・センは序文に書いている。

人間開発報告書20周年記念号は、その重要課題に取り組もうとする1つの試みである。

<人間開発報告書2010 発表時のプレスリリース(日本語)>

<人間開発報告書2010 発表時の関連資料(日本語)>

<人間開発報告書2010 関連リンク(英語)>

<人間開発報告書1990-2010 関連ページ(日本語、英語)>


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