世界で活躍する日本人国連ボランティアからの現地報告(12)-呉原郁香さん(ウクライナ)

 2013年12月1日の世界エイズデーに現地NGOと政府機関、米国平和部隊と合同で開催したエイズ啓発イベントにて。左奥が呉原郁香さん。Photo: UNV

2014年3月20日

今月は2013年から開始された国連ユースボランティア・パイロット事業を通じてUNDPウクライナ事務所にユース・ボランティア・スペシャリストとして同年9月に派遣され、2014年2月末に帰国した呉原郁香(くれはら・あやか)さんのエッセイを紹介します。

ウクライナについて
ウクライナは人口4600万人、本土面積はロシアを除くと欧州第1位で、ロシアとEUの間で地政学的に重要な位置を占める大国です。1991年ソ連崩壊に伴い、独立国家ウクライナになりました。公用語はウクライナ語ですが、ウクライナ語のみを話す国民は西部に集中し、その他の地域ではロシア語とウクライナ語の両方を話し、日常生活ではロシア語がより使用されています。2013年後半には、ウクライナ国内で政府の政策に対する大規模なデモが発生し、ソ連時代からのロシアとの関係を好意的にとらえる人々と、欧州連合(EU)との関係を新たに切り開きたいと考える人々の意見の対立が激しくなりました。現在では首都のキエフのみだけではなく、ウクライナ全体で国民の対立が広がり政治、経済で大きな混乱が続いています。

ウクライナでの生活
私は首都キエフから電車で15時間、ウクライナ南部のクリミア半島にある人口約35万人のシンフェロポリという街のUNDPサブオフィスで働いていました。シンフェロポリは黒海に面しており、夏になるとリゾート地には国内外から多くの観光客が訪れます。一方、冬は氷点下20度まで下がり、道路が凍るため、歩くことすらままならない状態です。ウクライナは東ヨーロッパの中進国であり、言語を省けば特に生活面で不便さを感じたことはありません。交通機関や食べ物は非常に安価であり、ソ連時代の建物や文化、習慣が根強く残っているように感じました。またロシアの次に多くウォッカを消費していると言われています。シンフェロポリの多くの人々はロシア語を話し、長身のブロンドヘア、青色の目といったモデルのように容姿の整った人々を多くみかけます。

ウクライナでの活動
UNDP事務所に着任後は、「ミレニアム開発目標のためのスポーツとボランティア活動:若者サッカー・ボランティア(Young Football Volunteers: Sport and Volunteering for MDGs)」というプロジェクトで、サッカーやボランティア活動を通じて、クリミア自治共和国、ミコライフ州、ヘルソン州の農村地域の若者の健康向上(特にエイズ感染予防)、また若者の市民参加の向上を図りました。(詳しくはこちら=英語=から)。私の主な業務内容はプロジェクトの(1)広報活動用のニュースレターや英文資料や動画作成、(2)MDGsについてのワークショップの指導ガイドラインの作成、(3)各地域のサッカー大会やワークショップなどの運営企画補佐、(4)各地域で支援した小規模プロジェクトの視察補助など多岐にわたりました。特に、15ページにもおよぶプロジェクトのニュースレター作成は、はじめから全て任せてもらいました。各イベントで参加者へのインタビューなどを積極的に行い、年間を通じて多く行われるプロジェクトの内容が一目でわかるように工夫しました。その他にも、プロジェクトビデオや英文資料といった情報ツールを作成したことにより、ドナーである他国連機関やパートナーの各政府機関などをはじめ多くの人々に閲覧されプロジェクトの広報活動に役立っていると褒められ、大きな自信に繋がりました。

幸運なことにオフィスでの業務だけではなく、各地域の出張にも多く同行させていただき直接プロジェクト参加者と触れ合う機会に恵まれました。出張先で直接、参加者と携われたことで、プロジェクトの存在意義を深く理解することができ、常に私自身のモチベーションを高く維持することができたと感謝しています。

プロジェクト以外にもUNVの掲げるボランティアリズムのアドボカシー活動を積極的に行いました。現地NGOが運営する英会話クラブに参加し、毎週多くの若者に自分自身の国内外でのボランティアやインターン活動経験を共有しました。また現地の大学で学生にボランティア活動の意義について話す機会や、小学生に国際協力について紹介するプレゼンする機会などを頂き、ボランティアリズムについて多くの若者にアプローチすることができました。実際に、私の話を聞いてボランティア活動に興味を持ち、様々な形でボランティアを行うようになった同世代の若者の姿を見て、大きな達成感を感じることができました。

活動を通じて学んだこと、得たこと
国連は各分野のスペシャリストの集まりです。その中で私も多くの意見を求められることがありましたが、自分の知識不足に直面しました。特に派遣国の政治、経済、宗教など最低限の知識がないと、たわいもない話にすらついていくことが困難であり、当初は悔しい思いを何度もしました。友人や同僚の会話についていくために毎日海外の新聞数紙を読み続けました。また派遣中にウクライナ国内で大規模デモが発生したことにより、政治への関心が深まりました。今後は、見聞をより広げ、自分の意見をしっかり持つように心がけたいと思います。

また、このプログラムに参加し「専門の必要性」を強く感じました。必要な言語を必要に応じて使用し、協調性を持ち価値観やバックグラウンドの違う同僚と共に協力し合い、その上で自分の専門知識と経験をフル活用することで、国連組織内でより活躍することができるのだと感じました。国連ユース・ボランティアでの貴重な経験を糧に、今後はより勉学に励み、多くの経験を積み、近い将来必ず国連組織に戻って第一線で活躍します。
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呉原郁香(くれはら あやか)
元ユース・ボランティア・スペシャリスト(元国連ユース・ボランティア)
UNDPウクライナ

大阪府立今宮学校を卒業し、現在、関西学院大学総合政策学部4年。大阪府出身。

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