世界で活躍する日本人国連ボランティアからの現地報告(16) 佐竹優輝さん(モザンビーク共和国)

 国際ボランティアデー 2015 に、モザンビークの海岸清掃をする佐竹さん(左)と職場の上司 Photo: UNV Mozambique


2016年2月26日

派遣国について
戦争により破壊し尽された後、国民と国際機関の根気強い努力により、数十万発もの地雷が2015年に完全撤去された国、モザンビーク共和国。国民の3分の1が難民となった内戦終結後、170万人が帰還を果たし、良質な天然資源を活かしてGDP成長率世界第10位を記録したこの国は、南東アフリカにおける随一の新興国へと変貌しつつあります。一方で、世界最貧困国の一つである現状に変わりはなく、今なお国連世界食糧計画(WFP)や国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)による支援が続いています。『栄華』と『貧困』が交差し、『格差』が如実に現れる国、それがモザンビーク共和国です。

派遣国での生活

広大な平原と熱帯林、水平線の彼方まで広がるインド洋。四方を豊かな自然に囲まれた、小さな首都マプトで私は2015年9月から2016年2月まで国連ユースボランティアとして勤務しました。外国資本の活発な流入により進められる高層ビル建設や資源開発とは対照的に、街の一部にはホームレスがあふれ、格差は拡大しています。物価は日本と大きく変わらないものの、電気不足やインフラの不備に悩まされた事も度々あります。しかし時には40度を超すこともある厳しい気候の中でも、挨拶を欠かさない人々の温かさに恵まれた日々でした。多くの場面で必須となるポルトガル語の壁に阻まれながらも、休日には各国からやって来たビジネスマンや国際機関職員と美しいビーチでのレジャーを楽しみ、獲れたての魚に舌鼓を打つなど、充実した日々を過ごすことができました。

派遣国での活動
私は関西学院大学の国連ユースボランティアプログラムを通して、国連開発計画(UNDP)傘下である国連ボランティア計画(UNV)フィールド・オフィスで広報を担当しました。任期期間中の活動の前半は12月5日の国際ボランティアデーの運営ならびに広報活動を、後半はモザンビーク共和国内で活躍する他の国連ボランティアへの取材と広報活動に注力していました。

国際ボランティアデーに行われたイベントでは、より多くの参加者を呼び込むため公的機関をはじめ様々な国際機関や現地コミュニティに対して告知を行いました。しかし、開催日の前々日にイベントの詳細が確定したため、広報活動に十分な時間が取れず、イベント事前の広報活動は失敗に終わりました。イベントを企画する担当者らの連携がとれていないこと、意気込みや危機意識が希薄であることは、事前の会議でも明らかでしたが、私のポルトガル語力ではうまく口出しすることができず、葛藤の日々が続きました。しかし結果としては、イベント当日の様子を記録・編集したビデオが好評を得るなど、本番の後でこそありますが、広く人々に国際ボランティアデーの存在を知ってもらうことができたと思います。

活動後半は、モザンビーク共和国内で活躍する国連ボランティアへの取材・記録等に従事しました。国連児童基金(UNICEF)などの各国連機関に派遣され、国内で活動を続ける国連ボランティア5人に対し英語でインタビューし、映像編集しました。編集後の動画をFacebookに公開することで、人々にUNVの活動を知ってもらうきっかけを提供できたと思います。また、WFPやUNHCRといった開発支援の最前線に赴く機会は稀なので、活動を続ける国連ボランティアと現地の人々の取り組みに触れて、彼らの生活や日常の光景を見ることのできた経験は大きな糧となりました。イベントの実施、写真撮影や動画の記録・編集をはじめ、私たち国連ボランティアの活動を『見える化』することで、多くの人に国連の活動を知る足掛かりを提供できました。

活動を通じて学んだこと、得たこと

「多様性」という言葉の意味合いを身体で味わい、学びました。「日本の『常識』は世界の『非常識』」という言葉があります。日本のように一度の会議で目標に到達できるような議題は一つとしてありませんでした。慣れない英語による専門用語の飛び交う会議も、実際に私が任地で経験したことです。国連という国際機関の特徴ゆえに、多様な国籍や背景、価値観を持つ職員によって職場は構成されていましたが、ただでさえ実務経験の少ない私にとっては、立ちはだかる壁は高いものでした。

また、国連ボランティアが活動する現場に赴いた際には、いわゆる「1日1ドル以下で暮らす人々」に数多く遭遇しました。それまで自分が持っていたイメージと違い、彼らが物乞いもせず、淡々と日々の生活を全うする様子に感化されました。一般的には「貧しいことはいけないことだ、豊かにならねばならない」といった価値観が広まり、その「豊かさ」をはき違えてしまうこともあります。しかし、言葉の意味合いを改めて見直したとき、決して「いけないこと」ではなく、彼らの生活もまた「壊してはいけない」一つの個性であると思うに至りました。

「世界の『常識』は、日本の『非常識』」なのかもしれません。しかし、違いとはすべてが是正されるべきものでは決してないと納得しました。

違いを認識し、受けいれることが大切である。多様性の本質を理解したことこそが、一日として異文化に触れない日のなかった私が、モザンビーク共和国で得た大きな学びです。

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佐竹優輝
UNDPモザンビーク共和国事務所 UNVフィールドユニット所属 Communication Advocacy Officer(国連ユースボランティア)

UNV/UNDPモザンビーク共和国事務所2015年度国連ユースボランティア派遣生(2015年9月〜2016年2月派遣)。兵庫県神戸市出身。山梨県立吉田高等学校在学時にドイツに交換留学。高校卒業後、関西学院大学国際学部に入学。在学中にドイツ国際平和村で1年間休学の上ボランティアを経験。現在同大学4年生。

 

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