世界で活躍する日本人国連ボランティアからの現地報告(17)  西岡沙絵さん(バルバドスおよび東カリブ地域)

 2016年10月に行われた協議にてプロジェクト関係者と共に


2017年2月24日

バルバドスについて
バルバドスは東カリブ地域にある種子島と同じぐらいの面積の国であり、珊瑚礁でできた島の沿岸部の多くが風光明媚なビーチとなっています。観光業により国の経済が支えられており、1人あたりGDPは1万6000ドル程度と高水準に達しています。 一方、ほとんどの生活物資が輸入によって賄われていることもあり、物価は総じて高く、また品物の種類や量は必ずしも豊富ではありません。同国はまた「小島嶼開発途上国(SIDS)」に分類されており、自然災害や気候変動の影響に対して非常に脆弱なため、それらに対する対処能力の強化が喫緊の課題となっています。

現地での生活
1966年に英国からの独立を達成したバルバドスは英連邦の一員であり、英語が公用語となっています。リトルイングランドとも呼ばれる植民地時代の歴史を凝縮した街並みが残り、飲み物は紅茶、スポーツはクリケットやポロが人気です。一方、国民の90%はアフリカ系のため独自の文化の発展が見られます。

バルバドスでは、東岸は荒波でできた断崖絶壁、西岸は穏やかな海と純白の砂浜、内陸は森林に平原と、小国ながらバラエティに富んだ風景を楽しむことができます。都会的な娯楽は限られているものの、大きな木に何気なく吊るされているハンモックに揺られたり、野生のウミガメや色鮮やかな魚が泳ぐ透き通った海に癒されたりと、豊かな自然を満喫する生活でした。他方、猛威を振るった熱帯低気圧「マシュー」の襲来や慢性的な水不足、停電を体験して、カリブ諸国が直面している課題を改めて認識することとなりました。

活動内容
私は、国連ボランティア計画(UNV)と日本の9大学が連携して実施している「国連ユースボランティア」プログラムを通して国連開発計画(UNDP)バルバドスおよび東カリブ地域事務所に2016年9月から5か月間派遣され、コミュニケーション・サポーターとして2つの分野で業務をしました。2つの分野とは「日本・カリブ気候変動パートナーシップ(Japan-Caribbean Climate Change Partnership, J-CCCP)」の広報、国連ユースボランティアとしてのボランティア促進です。J-CCCPは日本政府とUNDPの連携で実施されている、カリブ諸国8か国を対象とした気候変動対策プロジェクトです。具体的な業務としては、農業の訪日研修実施に向けた調査・計画策定、ニュースレターの作成、プロジェクト情報の発信のためのウェブサイトの作成、会議への参加、会議出席者の情報管理、アンケート結果の取り纏めを行いました。前述の通りJ-CCCPは8か国を対象としていることから、オフィスでの業務に加え、幸運にも、職員の他国への出張にも同行をし、プロジェクト関係者と直接意見交換する機会を得ることができました。出張先で直接関係者とお会いすることで、プロジェクトの意義をより深く理解することができ、自身のモチベーションを高く維持することができました。また、会議出席者のアンケート結果の分析等により、各国の現地の状況を生の言葉で理解することができたと感じています。

ボランティア促進に関連する主な業務としては、国際ボランティアデーのイベント企画・運営、UNV ニュースレターの記事作成、小学校での出張講義、UNVワークショップへの参加等を行いました。バルバドスの国連ボランティアは私一人で、上記イベント企画・運営の際には必要な情報収集や連絡を一任されました。広報物の内容や予算、イベントのテーマに関する関係者間の合意形成が課題となり、特に、一般の広い関心を得られるような〝キャッチー〟でメッセージ性の高いテーマを構築するために何度も構想を練り直す必要がありました。プレゼンテーションやワークショップ等を通しても国連以外の機関とも多くの連携をし、UNV、UNDP、そしてボランティアそのものへの関心を高めることに貢献することができたと自負しています。また、それらの活動を通して間接的に、事務所の主たる活動領域である気候変動における課題やJ-CCCPの意義に関する理解をさらに深めることができました。

活動を通じて
各分野のスペシャリストが集うUNDPの中で、自身の知識不足に幾度も直面しました。派遣当初は事務所も私も手探りであり、そのような状況で受け身とならず提案や議論を試みる中で、仕事をする上でのコミュニケーションや信頼関係の重要性を学びました。管轄国が東カリブ10か国・地域にも渡る事務所において、自分の活動に費やせる貴重な時間をいかに有効に使うか、可能な限り自立的に活動を進めることを常に意識しました。できることを全力で行うこと、そして自信がなくとも挑戦したいと声を上げることが次の仕事につながるステップとなりました。

また活動を通してカタカナの「ボランティア」と英語の「Volunteer」の違いを体感しました。日本におけるボランティアのイメージは、<誰でもいつでもできる、スキル不要の作業で、ほぼ全費用を参加者が負担する活動>というものでした。一方、UNVで用いられるVolunteerとは、<プロフェッショナルと同等のスキルを持って貢献し、必要な生活費は支払われる活動>でした。つまり、UNVでは専門性が求められるということを強く感じました。必要な言語を必要に応じて使用し、異なる価値観やバックグラウンドを持つ同僚と協力し合い、その上で自分の専門知識と経験を生かすことで国際機関の活動に貢献することができると学びました。

国連ユースボランティアとしての活動期間中、多様性溢れる環境において周囲との関係を構築することにやりがいを終始感じていました。常に発信が求められる状況での学びは非常に多く、このような活動に臨むにあたり支えてくださった方々への感謝の気持ちを忘れることなく今後も歩み続けます。

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西岡沙絵
UNDPバルバドスおよび東カリブ地域事務所 

2016年度国連ユースボランティア派遣生(2016年9月~2017年2月派遣)。大阪府八尾市出身。帝塚山学院高等学校を卒業後、関西学院大学法学部に入学。現在同大学4年生。

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