世界で活躍する日本人国連ボランティアからの現地報告(18)森 建二さん(インド)

 2016年12月9-11日ラジャスタン州アブ・ロードにてCSH技術トレーニングに参加する筆者


2017年4月21日

日本民間企業初の国連ボランティア
2016年6月28日、ヤマハ発動機株式会社は、日本の民間企業としては初めてとなる国連ボランティア計画(UNV)とのパートナーシップ合意書を締結しました。この合意書に基づき、私はヤマハ発動機からの派遣で、同年8月から2017年7月までの1年間の予定で、UNVを通じて国連開発計画(UNDP)インド事務所に勤務しています。

ヤマハ発動機は1960年代からアフリカや中南米などの開発途上国で人々の生活改善・向上に貢献できるビジネスを展開しており、今後も国際社会の課題解決に向けた事業活動を進める上で、国連(UN)との連携はますます必要であると認識しています。今回のUNDPへの社員派遣はUNとヤマハ発動機との関係をより強固にするためのきっかけとしても期待されています。

業務内容

UNDPインド事務所では、Corporate Volunteer Advisor/Energy Technologies SpecialistとしてEnergy and Environment Unitに所属し上司であるプログラム・オフィサーが担当するプロジェクトの内、以下3つのサポートを担当しています。

Access to Clean Energy(ACE)プロジェクト
同国アッサム州、オディッシャ州、マディア・プラデッシュ州の3州にて、ソーラーライトなど小規模の再生可能エネルギ技術を利用して温室効果ガスを減らすとともに村落の暮らしを良くするプロジェクトです。しかし、様々な理由で導入が進んでいません。理由の1つに、費用や利点が各ステークホルダーに見えにくいということがあります。そこで、それらを見える化するため25の成功事例を紹介するビデオの作成を私が担当しています。1か月ほど前から撮影が開始され、先日約1週間、南インドのカルナータカ州での撮影に同行し各技術の現場を視察してきました。

Concentrated Solar Heat(CSH)プロジェクト
CSHとは太陽熱を鏡で反射させ、点や線に集めて高温高圧の水や蒸気などを作り、給食調理、洗浄・殺菌などに利用する技術で、その促進を図るのが本プロジェクトです。集熱方法の違いから6種類のタイプ(パラボラアンテナのような外見の焦点型が3種、雨どいのような半円筒形状の焦線型が3種)があります。予算・用途に応じて、どれを選択すれば良いのか、コストやペイバック期間の違いはどうかなどが各ステークホルダーに見えにくいことが促進に対する課題の一つとしてあります。そこで、それらをまとめた資料の作成を私が担当しています。昨年12月には3日間、ラジャスタン州のアブ・ロードにてCSH技術についての研修に参加しました。

International Solar Alliance(ISA)プロジェクト
2015年11月末、COP21でインドとフランスが提案した南北回帰線周辺の途上国中心に約120か国が調印予定の太陽エネルギ同盟がISAです。その目的は技術・財政面などの課題・解決手段を共有し太陽エネルギ利用を促進することです。UNDPインドの本プロジェクトはISAの実際の活動方針・進め方を提案・実施するものです。私はUNDPインドでプログラム・オフィサー達が作成している活動予定の中からインターンの業務内容を提案・チェックしています。これまで、3人のインターンの指導サポートを行っています。

業務外活動を通じての所感

インドでは入国後2週間以内に外国人登録を終了することが義務付けられています。また、それがないと銀行口座の開設もできません。登録手続きは必要書類を揃え本人が直接行うことが基本でありUNVインドの方からもそう言われておりました。しかし、日本企業では登録手続きの煩雑さを理由に代行業者を雇っていることが多くヤマハ発動機も同様でした。国連ボランティアとは言え、ヤマハ発動機社員であるので初の企業ボランティアということもあり代行業者に頼りました。その結果、何度も出直すことになり手続きに2か月もかかってしまいました。今後の企業ボランティアの方は、個人で手続きされることをお勧めします。

最後に、赴任前から予想し準備していましたが、UNでの仕事において、もっと現地のヒンディー語ができれば良いのにと思うことが多くあります。インド政府の新・再生可能エネルギ省(MNRE)との会議でも他社との会議でも英語で話しているのに急にヒンディー語に変わることが少なくありません。ましてや他州の村落に行くとヒンディー語が通じない州が多いので、まずヒンディー語に通訳され、その後、英語に通訳されます。その際に情報が減ったり変わったりすることがあります。言葉は通じなくても気持ちは通じる、言葉ができても気持ちが通じるとは限らない、というのも事実ですが、言葉ができた方が絶対有利であることは確かだと日々実感し今後もヒンディー語の学習を続けていきます。

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森 建二(もり けんじ)
UNDP インド事務所

京都大学工学部卒業後、同大学大学院にて機械工学修士号を取得。1991年ヤマハ発動機株式会社に入社後、エンジンおよび駆動系部品の研究・開発担当。2016年より海外市場開拓事業部エリア開拓部所属。

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