世界で活躍する日本人国連ボランティアからの現地報告(19)野間口 剛さん(シエラレオネ)

 UNDP シエラレオネ事務所のインクルーシブ・グロース・クラスター同僚と。私の送別会にて。


2017年6月22日

シエラレオネについて

シエラレオネは内戦終結後、農業、採掘業を中心に、順調に経済発展し、大きな混乱なく政権交代をしている国でした。資源豊富な国で、ダイアモンド、金、鉄鉱石などの鉱物や、海に面していることからたくさんの海産物も獲れ、2013年のGDP成長率は20.1%になり、西アフリカの経済を牽引していました。しかし、2014年に起きたエボラ出血熱の危機(以後、エボラ危機)により、多くのセクターが停滞し、GDP成長率はマイナス21.5%まで落ち込み、国全体に大きな影を残しています。エボラ生存者やエボラ関連医療従事者にも未だ禍根が残り、社会的にも多くの問題が発生しています。

シエラレオネの生活
シエラレオネの人々は、相手とのコミュニュケーションを大切にしています。友好的で互いに気さくに話しかけ、よく道端で「ブラザー!」「マイフレンド!」と呼びかけ合い、会話を弾ませています。一方で、話好き、口論好きの方も多く、色々と討論します。自分の意見が通るまで、なかなか意見を曲げないこともあります。道端で、喧嘩をしているのかと思うくらい口論している場面を見かけることがあるのですが、それが彼らの日常的なコミュニュケーションのようです。首都フリータウンには、少ないですが、カフェや各国のレストランがあります。また海外沿いに面している都市ですので、ビーチが様々あり、週末は海外からの観光客も含め、多くの人が訪れます。

国連ボランティアとしての活動
私は、国連開発計画(UNDP)シエラレオネ事務所の戦略的アドバイザリーユニットとインクルーシブ・グロースクラスターにプログラム専門官として2016年6月から1年間勤務しました。UNDPシエラレオネ事務所では、自分の大学院での専門である保健経済に関連する業務を中心に、ギニアとの国境沿いにあるカンビアとカイラフン地方でのエボラ危機後の保健システム再構築プロジェクトに携わりました。

保健システム再構築プロジェクトは、政府の基本的な保健ケアへのアクセスを回復させる取り組みを支援し、エボラ危機による社会的、経済的な影響を軽減しようとするものです。具体的には、特にエボラ危機で影響の大きかった地方を中心に、エボラ危機後に失われた保健施設の設備やコミュニティ内での井戸などの改修を行ったり、ワークショップを通して地方の医療従事者に対して保健行政能力強化を図ったりしていました。また本プロジェクトは、最も影響を受けやすい、妊婦、母子、小児に焦点を当てています。エボラ危機後、エボラ撲滅のために多くの資金が国際機関等より投入されましたが、エボラ終息宣言後は、エボラ以前より問題であったマラリア、出産後の疾患、下痢などで多くの命が奪われています。当プロジェクトで、そのような病気を減少させることが大きな目標の一つです。

このプロジェクトで、私は、シエラレオネの人々の生活を専門家という立場から支援し、また一部の活動の運営を任されていました。プロジェクトの開始前に、プロジェクト対象地域における人々の日常生活において、良い健康状態を保つためにどのような行動を把握するため、調査を行いました。そこで私は、保健関連調査の調査票監修などを通じ、より現地のニーズに沿ったプロジェクトを実施することに貢献できました。また、本調査のデータを使用し保健政策提言ができるよう、病院等の保健施設の有効利用について、経済統計学のモデル構築に向けた研究もしました。大学院を出たばかりで、まだまだ専門を用いた実地経験が足りないと感じることもありましたが、自身の専門を使ってプロジェクトに貢献できたことは、大変嬉しく思いました。

国連ボランティアの良い点は、途上国での開発に携わる良いエントリーポイントになるということです。UNDPシエラレオネ事務所には、様々な分野の専門家、インターナショナルスタッフがいます。経歴も様々で、大学機関で多くの経験を積んで、経済分野で活躍されている方、国際的なNGOで経験を積んで、多くのプロジェクト運営をされている方など、色々なキャリアパスを覗くことができます。またそこで得たネットワークはUNDP、シエラレオネのみならず、今後の国際協力という分野で大きく役に立てる事ができます。ネットワークづくりや今後のロールモデルになる方を探している、または、今までの経験を活かして、国際協力の分野で活躍をしようと思っている方は、ぜひ一度国連ボランティアをされてみることをお薦めします。

 

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野間口 剛
UNDPシエラレオネ事務所

同志社大学経済学部卒業後、医療機器製造会社に勤務。インドネシア駐在後、オーストラリア・クイーズランド大学で保健経済学修士号を取得。2016年6月より2017年6月まで、外務省平和構築人材育成事業の海外研修として現職。