西アフリカにおけるエボラ危機

西アフリカにおけるエボラ危機
西アフリカにおけるエボラ出血熱の流行は、感染国の生活を急激に破壊し、コミュニティを疲弊させ、孤児を生み出しています。しかし、死や苦痛は危機のほんの一面にすぎません。エボラの流行を速やかに封じ込めることができなければ、リベリアとシエラレオネに平和が戻り、ギニアで民主化が始まって以降に達成された経済的、社会的な成果が逆戻りしかねません。2014年10月にエボラが発生したマリでも、当局が国連その他のパートナーから支援を受け、その流行予防に取り組んでいます。

エボラの流行は経済成長を鈍化し、ビジネス活動の停止を余儀なくさせ、地域に暮らす最も貧しく、社会的に最も弱い立場に置かれた数百万人の生計手段に影響を与えています。また、政府の予算を圧迫し、国民への基本サービス提供能力を制約しています。さらに、エボラ危機は犠牲者や生存者への偏見を生み、公共医療や政府サービスに対する信頼を破壊し、コミュニティの間の信頼関係も損なわれています。現在は幅広いパートナーが連携し、感染国がエボラに終止符を打てるよう、支援を行っています。同時に、これらの国々やコミュニティが、危機の長期的影響から立ち直るための支援を提供することも、大きな課題となっています。

国連開発計画(UNDP)の活動

UNDPの危機対応では、次の3つを優先課題としています。
・調整と社会サービスの強化
・コミュニティの動員とアウトリーチ
・社会経済的影響からの復興

調整と社会サービスの強化

国連エボラ緊急対応ミッション(UNMEER)と国連による全般的対応の一環として、私たちはエボラ対策要員に対する給与支払いの調整を主導する国連機関です。UNDPは支払状況の追跡に加え、治療拠点のスタッフ、検査技師、接触者追跡担当者、埋葬チームに対する賃金支給システムの改善を支援します。

コミュニティの動員とアウトリーチ

私たちは、現地のリーダーやボランティアのネットワークを通じて、コミュニティと協力し、症例の特定、接触者の追跡、そして病気の蔓延経路と感染を予防する方法に関する住民の教育を図っています。また、障害者を含む人々を対象に、偏見を取り除き、生存者を社会に再統合し、その家族を支援する重要性に関する啓発も行っています。

社会経済的影響からの復興

UNDPのエコノミストは、エボラが開発に与える影響の検証を行ってきました。調査の結果は、財政と開発支出に対するエボラの影響に関する一連の政策提言に盛り込まれていますが、これらは復興計画策定の参考として、役立ちます。UNDPは早期復興への取り組みの一環として、親類を失ったか孤児を支援している生存者や家族のほか、危機の影響で生計手段を失った人々を中心に、エボラの影響を受けた弱者コミュニティへの生活保護の支給も行います。

各国での事例:
ギニア
において、UNDPは若者、宗教、女性のリーダーと協力し、戸別訪問による情報提供キャンペーンを行っているほか、接触者の追跡や、新規感染者、孤児の特定も支援しています。マリとの国境地帯では、国境検問所や公共の場で使う体温計や衛生用具の整備を行う一方で、感染予防の方法を住民に指導しています。

シエラレオネ
では、UNDPは、国家安全保障局が全国の検問所や隔離地区で勤務する治安部隊2000人を対象に、人権の尊重と丁寧なコミュニケーションについて教育を施すことができるよう、新たな「標準活動手順」の展開を支援しました。UNDPは、近隣キャンペーンを通じ、数十万人に手を差し伸べるだけでなく、政府が1万2000人を超えるエボラ対策要員に賃金を支給するための技術援助もしています。

リベリア
では、現地の郡や警察が利用できる車両、医療用具、通信機材、予備の塩素を提供しました。UNDPは保健省との協力により、医療従事者に対する賃金支給の確保と、エボラ関連症例特定を行う数千人のコミュニティ・ワーカーの採用を図っています。

マリでは、UNDPが保健省の全国エボラ調整課との協力で、症例の報告と管理の改善に取り組んでいます。具体的には、コンピュータや医療機器の調達、データ・ネットワークの改善、症例発見と接触者追跡の担当者養成の支援を行っています。

ハイライト

  • · 国連人口基金(UNFPA)は、リベリア、シエラレオネ、ギニアの3か国では2015年、80万人の女性が出産すると推定しています。しかし、公共医療サービスがエボラ対策に追われる中、そのうち12万人が緊急産科ケアを受けられず、死亡する恐れがあります。
  • ·リベリアでは、市場の60%が閉鎖されたほか、鉱物・パーム油採取業者の半数がその活動を縮小しています。
  • ·シエラレオネでは、エボラ以外のケアを担当できる医療従事者が不足しているため、HIV感染者1万人のうち、抗レトロウイルス治療を引き続き受けられるのはわずか5分の1となっています。
  • ·ギニア政府はエボラ危機により、2億2200万ドルの財源不足を報告しています。