自立するモーリタニアの女性たち

フーム・グレイタ協同組合のメンバー、カディアタ・チアム・ディアロさん。PHOTO:OUMOU SOW / UNDP IN MAURITANIA


1999年にわずか11人で発足したモーリタニア南部、フーム・グレイタ協同組合のメンバーは現在、84人にまで増えました。

フーム・グレイタ協同組合の理事長で、農業イニシアティブの立役者、カディアタ・チアム・ディアロさん(45)は「干ばつで家畜をほとんど失いながらも土地利用料を支払わなければなりませんでした。多くの世帯は資金不足の為に農業をやめ、零細事業を立ち上げました。家族の医療費を負担したり、子どもたちの衣服を買ったり、交通費を払ったりすることは難しくなりました。私は家族の生計を立てるため、他の女性と同じように雨季にはソルガムを育て、乾季には市場で作物を売りました。そうしていくうちに、資金を貯めて、自分たちが抱える課題に向き合うためのアイデアが生まれたのです…。私たちは資金を出し合って商品を買い、市場に店を出し、少額の融資を受けやすくすることができました」と話します。

モーリタニアでは2012年、他のサヘル地域と同様に、80万人が複合的で広範な干ばつ被害を受けました。慢性的な貧困や農牧業資源の枯渇、社会サービスに対するアクセスの制約が、干ばつや凶作と相まって、食糧価格の上昇をもたらしました。これらも背景として、マリ北部で暴力が発生し、難民7万5000人がモーリタニアに流入しました。

この状況を受け、国連開発計画(UNDP)は2013年、サヘルでの平和構築とガバナンス強化のために総額1500万ドルの地域プロジェクトを立ち上げ、うち250万ドルをモーリタニアに割り当てました。日本の資金協力で実現したこのプロジェクトの目的は、個人やコミュニティが、特に気候変動や紛争、食糧不安から頻発する危機に対処する能力を育成することにあります。

フーム・グレイタ協同組合のニーズを把握したUNDPは、組合への支援として、土地を囲う鉄条網のほか、苗や灌漑設備、さらに生産物を冷蔵するためのソーラーパネル・キットを提供しました。メンバーは、管理や監視のスキルを高める訓練も受けました。

カディアタさんは「ここの女性たちは誰一人として正規教育を受けていませんが、協同組合の立ち上げと運営に関するさまざまな行政手続きを学び、実施能力を身につけました」と語ります。当初のメンバーは、自分たちの零細事業の立ち上げと成長に向け資金を分担するとともに、協同組合の設立に必要な管理資料と文書を入手するため、最寄りの町までの旅費も負担しました。

各メンバーは、農地の賃借や苗の購入、生産物の輸送費の支払いに当てるため、1か月で最大1000ウギヤ(3米ドル)の拠出をしています。

新しい協同組合のメンバーにとって、最初の収穫は大きな自信となりました。これまでよりも収穫量が増えたことで、女性は作物の販売を通じ、家族を養うだけでなく、収入も得られるようになります。この収入によって、協同組合とそのメンバーは、会費を支払ったり、苗を備蓄したり、家畜を数頭購入したり、収穫や維持を助ける日雇い労働者を雇用することで、この所得をコミュニティ内のさらに多くの人に分配できるようになるのです。

カディアタさん自身は、収入の一部を貯金して、協同組合の将来的なプロジェクトの実現に使うつもりです。農地の区画をさらに広げ、土地利用権の不足を解決するためです。

カディアタさんは改めて「協同組合に加入する女性たちは、敬意をもって扱われるようになった」と語ります。こうした意識の変化は、最近10人の男性が組合に加わったことにも表れています。

ハイライト

  • UNDPは、サヘル地域の平和構築とガバナンスへの取り組みとして、総額1500万米ドルの地域プロジェクトを実施し、うち250万ドルはモーリタニアに割り当てられています。
  • このプロジェクトの狙いは、生活手段の創出と補給を通じて脆弱なコミュニティ強化です。
  • モーリタニアで実施中の活動は、主に貧困削減と食糧の安定的な確保を目的としています。

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