今年でアフリカ開発会議 (Tokyo International Conference on African Development: TICAD)は25周年の節目を迎え、2019年8月28日~30日には横浜で第7回目の首脳会議が行われます。これに先駆け、UNDP駐日代表事務所ではアフリカ開発について語る対話シリーズとして、6月末に「AFRI CONVERSE」を立ち上げました。

2018年8月31日(金)に開催した「AFRI CONVERSE」の第3回目では、東京外国語大学現代アフリカ地域研究センター長の武内進一教授と京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科の高橋基樹教授を迎え、アフリカの中長期展望について100名以上の参加者と活発な議論が交わされました。

TICADを通じ日本の民間企業による対アフリカ投資促進にこれまで以上の注目が集まる中、経済構造の転換を図るには政府開発援助(ODA)や海外直接投資(FDI)といった国外からの資本投入ではなく、国内資本の整備が前提条件として必要であると、高橋教授がお話しされました。3つの重要な国内資本として財政・金融資本、人的資本、社会的・組織的資本が挙げられ、東南アジアでは巨額の海外直接投資による資本流入が始まる以前(80年代前半)にこれら3つの国内資本の蓄積が相当程度進んでいとの説明がありました。

例として、80年代初頭の東南アジアの国内貯蓄率が既に30%であるのに対し、昨今のケニアでは2.9%に留まるなど、またアフリカでは一概的に教育や保健といった人間開発に資する投資が十分進んでいない点が挙げられました。また、東アジアとアフリカでの人口増加の内訳を比較し、東アジアでは人口増加に伴って14歳以下の子供の数が大きく増加しなかったのに対し、アフリカでは増加している点を捉え、アフリカのほうがより高い従属人口率を有する点が指摘されました。こうした状況から、海外投資を十分に吸収するには人間開発、特に質の高い教育と職業訓練への投資と、それを賄うため資源・一次産品の収入の動員、またそれを支援するための開発援助の必要性が確認されました。

アフリカに対するガバナンスの問題や汚職、治安といった課題について、日本国内ではしばしば固定概念が先行しており、同大陸に対する進出の障害となっている点に関連して、武内教授よりアフリカの紛争の状況については質的変化があるとの説明がありました。90年代には、政権交代を求め極めて大規模な衝突が展開されていたが、近年の紛争は政府の統治体制が脆弱な一部の地域における局所的な衝突へと変化していることが指摘されました。ガバナンスに関しては、アフリカでは植民地時代の統治から一党制への転換を経て、現在多くの国では多党制が敷かれており、ガーナ・ベナン・ザンビアのように選挙による政権交代が行われ制度上の民主主義が確立した国が現れるなど、アフリカの国々の変化と努力について武内教授より示唆がありました。そのうえで、アフリカの国々の課題は、中央政府の統治を強化したうえで、民主的な制度を確立することだと指摘がありました。

アフリカへのビジネス進出の前提として国家統治の強化と人間開発の重要性を振り返った本セッションは、アフリカ研究を牽引されている武内教授、高橋教授の貴重なご説明に対して参加者からの数多くの質問も寄せられ、盛会となりました。

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