広報戦略を通じて助け合い、困難に立ち向かう 〜セネガルで活躍する国連ボランティア〜

 
ー 今の仕事の内容を簡単に教えて頂けますか。
 

国連ボランティア計画(UNV)、西・中央アフリカ地域オフィス(在ダカール)の広報官を務めています。仕事の内容は、戦略的広報プランの立案、担当地域24か国で活躍する国連ボランティアの記事やパートナー向けの資料作成、 国際デーに合わせたイベント運営やソーシャル・メディアキャンペーンなど、組織の広報やPRに関わる業務全般です。また国連が掲げる「一つの国連(One UN)」イニシアティブを実現するため、 国連機関の広報官で構成されるワーキング・グループのメンバーとして、セネガル国内やアフリカ地域全体の広報戦略構築にも力を入れています。

普段はオフィスで仕事をすることが多いですが、1年に2回ほどフィールド取材を行います。 8月にはコート・ジボワールの西部、グイゴロ州の村々(アビジャンから約700キロ)を訪れ、リベリアからの帰還者を支援する国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)所属の国連ボランティアを取材しました。

 
ー 仕事をしていて嬉しかったこと、やりがいを感じたケースを1つ教えて頂けますか。
 

セネガルに拠点を置く35の国連機関のうち、アジア人が広報官を務めるのは私しかおらず、英語も仏語も母国語とせずアフリカにルーツを持たない自分が、一国連機関の広報を任せられていることに日々プレッシャーとやりがいを感じています。

また、担当地域だけでも約2000人の国連ボランテイアが様々な分野で活躍していて、日常的に異なる国や組織と仕事をすることも、地域広報の難しさであり面白さだと思います。今年の世界難民の日(World Refugee Day)には、UNHCRから西アフリカ地域での国連ボランティアの活躍に注目したいと提案があり、UNHCRとUNVが初めて連携して広報を実施し、組織内外から大きな反響がありました。多くの人に国連ボランティアの存在やその活躍を知ってもらえた際には、達成感を感じます。

 
ー 現地の人々の国連開発計画(UNDP)に対する印象はどんなものでしょうか?現地の人々からのコメント等ありましたら教えて頂けますか。
 

UNDPとUNVがナイジェリアで新しく立ちあげた「国連コミュニティ・ボランティア」という制度は、テロ等の脅威が強く残る地域でのレジリエンスを強化するため、そのコミュニティに所属する方々を国連ボランティアとして雇用し、プロジェクト運営を任せるというものです。この制度の導入には政府やコミュニティとの継続的な対話が重要で、ガバナンスに特化したUNDPのサポートがあったからこそ実現に至ったのだと思います。

 

キャリアとこれからについて

ー これまでどのようなキャリアを積まれてきましたか。どうして国連またはUNDPに入られたのでしょうか。
 

大学卒業後、メディアや政府機関で海外情報発信業務に携わってきました。その後、情報戦略の専門性を高めるため大学院に進学し、大学院では、日本の外交課題とそれに伴う情報発信戦略強化の変遷を分析、特に政策発信強化を目指したパブリックディプロマシーについて論文を執筆しました。大学院卒業後、在仏日本国大使館でプレスアタシェとして勤務している際に国連ボランティアの募集があり応募しました。不安もありましたが、今まで培ってきた広報の経験が国連機関でも通用するのか、日本を超えた新しい舞台での仕事に挑戦したいという思いがありました。

 
ー 今後どのような道に進まれる予定でしょうか。
 

国内外の組織で広報業務を務めた経験は、組織のパートナーシップ強化やアドボカシーにも活用できると思い、今後国内外のNGOや国際機関でそういった分野での経験を積みたいと考えています。また、国際協力分野における日本の情報発信強化にも貢献できたらと思います。

 

「助け合っていこう」

ー アフリカの魅力、醍醐味を教えて頂けますか。
 

アフリカ地域の国連ボランティアの中には、自身が難民であった過去を持つ方など、様々な「ストーリー」を持った方々が働いており、地域に大きな貢献をしています。紛争やテロ、厳しい自然環境であっても、国連ボランティアとして誇りと強い志を持った方々と一緒に仕事ができることは、私自身への励みになっています。

 
ー 最後に1つ、アフリカ(または赴任国)の好きなこと(食べ物や文化、国民性など)を1つ教えてください(一行程度)。
 

セネガルではよく、何かを始める時に « On est ensemble »という表現が用いられます。直訳すれば、「私たちは一緒にいる」となりますが、「助け合っていこう」という意味で使われることが多いように思います。日本と比べればハプニングやトラブルも多いですが、自分が失敗した時や困難に直面した時、この言葉をかけてもらうと救われます。


大沼照美
ロイター通信東京支局でのインターンを経て、2012年に公益財団法人フォーリン・プレスセンターに入局。その後外務省儀典官室、在フランス日本国大使館広報部で勤務したのち、現在国連ボランティア計画(UNV)西・中央アフリカ地域オフィスのナレッジ・マネージメント兼広報官(国連ボランティア)として勤務。
 
上智大学外国語学部フランス語学科卒業。フランス グルノーブル政治学院 政治科学履修、 パリ第2大学でコミュニケーション・グローバルメディア戦略、パリ8大学で地政学の修士号を修得。