包括的な市場の育成(GIM)

 


「包括的な市場の育成(Growing Inclusive Markets: GIM)」イニシアティブは、国連開発計画(UNDP)が主導し、複数の関係機関が協力して実施している調査・啓発のためのグローバルイニシアティブです。世界中の貧困層に新しい機会とより良い生活を提供する「包括的なビジネスモデル」への理解を深め、それを実現、活性化させることを目的としています。また、これを通じて人間開発とミレニアム開発目標(MDGs)の達成に貢献しています。

GIMイニシアティブは、先進国と発展途上国の幅広い分野のパートナーと協働し、世界、地域、国別の報告書や活動用の調査ツール作成、またインターネット上に知識集積プラットフォームを構築し、地域レベルでの能力育成、ネットワーク構築、知識共有を行ってきました。

GIMアプローチとは、貧困層を消費者、生産者、雇用主、労働者としてバリュー・チェーンの中に取り込むことで、どのようにしてビジネスが人間開発に貢献できるかを提示しようとする試みです。GIMにより、社会起業家、地元の中小企業、大企業、多国籍企業といった民間事業のみならず、国営企業や市民社会組織の活動によって、事業収益の向上と社会貢献を同時に追求することができる成功例が示されています。

GIMが提供するもの

1. 知識と調査ツール

  • 事例研究(120を超える包括的なビジネスモデルが40か国以上から集められ、分析された上で報告書としてまとめられています。この事例研究は、45を超える途上国の著名研究者、および実務家によって実施されてきました)
  • 全ての地域・分野における1000以上の包括的なビジネスモデルのデータベース
  • 主に途上国の関係者による社会貢献ビジネスにおける収益向上事例の啓発を目的とするビデオ
  • 66の市場ヒートマップ(貧困層の経済活動を示す貧困分布分析ツール)
  • 包括的な市場の育成(GIM)報告書(2008年7月以来6か国語に翻訳され、50か国において発表されました。この“すべての人々のために価値を創造する:貧困層を対象にしたビジネス戦略”と題された報告書は、企業の利益創造過程において、伝統的なビジネスの枠組みを超えて貧困層をパートナーとして取り込む際の制約と戦略を分析しています。日本語版「世界とつながるビジネス―BOP市場を開拓する5つの方法―」は2010年11月に刊行されました)
  • ビジネスモデルやパートナーシップに焦点を当てた事例検証(環境保全に貢献しながら貧困削減にも大きな効果をもたらす事例に焦点を当てています)
  • 地域・国別GIM報告書(UNDP各国事務所と連携して作成しています。これまでに、東ヨーロッパ/CIS地域報告書、コロンビア報告書、エジプト報告書等が刊行されています)

2. 能力育成と地域/国別の対応

GIMは、貧困削減に向けた知見を集結するための革新的、戦略的、効果的な国家プロセスを育成することを目的に、途上国民間セクターのリーダー、政治家、市民社会と協力しながら「南南協力知識ネットワーク」の構築を推進しています。このアプローチは、次の要素で構成されています。

  • 国レベルの分野別ステークホルダー間の協議-より多くの包括的な市場の調整メカニズム創設を目的として実施
  • 専門家と起業家の国際的な情報交換-成功ビジネス事例の共有などを実施

GIMの詳細とGIM報告書は、次のウェブサイト(英語)でご覧頂けます。


[ GIM事例研究の例:M-Pesa ]
ケニア
の銀行口座保有率は、人口3200万人に対し、200万人程度と低い水準にとどまっています。この問題を解決すべく、ケニアの携帯電話サービス提供会社であるサファリコム・ケニアは、ボーダフォン社と連携して、より早く、安く、そして安全に電子送金できる電子マネー取引システム商品「M-Pesa」を生み出したのです。M-Pesaにより、携帯電話のショートメッセージ機能(SMS)を利用して、個人と企業が電子送金を行えるようになりました。また登録小売店において、現金の引き出しと預け入れが可能となりました。サファリコムは2005年のこの事業開始と成功を受けて、より多くの金融機関と小売店との連携による事業拡大、他の途上国への事業展開を計画しています。