コンゴ民主共和国:国家警察民主化研修プロジェクト

2014/01/27

非暴力による暴動鎮圧術をMONUSCO教官から学ぶ研修生 Photo:UNDP DR Congo

国連開発計画(UNDP)は国際協力機構(JICA)とのパートナーシップにより、コンゴ民主共和国(以下コンゴ(民))での平和の定着に貢献すべく、国家警察民主化研修プロジェクトを実施しています。

1990年代から続く紛争の影響により、国内の治安維持は急務となっています。ルワンダ、ウガンダ等の隣国と国境を接する東部では、現在でも様々な反政府勢力が住民の生活を脅かしています。また、2006年、2011年に実施された大統領選挙においては各地で暴動が発生し、2006年には大統領候補者の支援者同士の戦闘により首都キンシャサで数十名の死者が出ました。他方、反政府勢力との和平合意にあたり、合意の条件として国家警察が反政府勢力兵士を警察官として取り込むなどしたため、基礎的な知識が欠落したまま職務に就いている警察官が多数を占めています。基礎教育すら受けていない兵士が武器を与えられて警察官となっているケースも多く、国内の警察官による市民への不当な金銭の要求は日常の出来事となっており、治安を維持するはずの警察官が市民の恐怖の対象となっているのが現実です。そのため市民の安全を確保し、確実に国内の治安を維持する警察組織を育成するための支援を実施しています。

具体的には、JICAからの資金協力により2009年から5年間に渡り短期(1-2か月)および長期(6か月)研修を実施し、合計約4500人以上の警察官を育成しました。また、教官研修も行い、将来的に国家警察自ら研修を実施できるよう準備を進めています。更には長期研修実施に伴い、研修センターの改修、増築を行い、適切な研修環境を整えており、3年間で500人以上を収容できる研修センターを3か所増改築しました。中には20年近くも使用されずに放置されていた研修センターもあり、このセンターを改修し州警察の医療施設も含めた総合施設への改築も行っています。2009、2010年度は、東部紛争地域の北キヴ州ゴマおよびオリエンタル州キサンガニでの短期および長期研修、2011、2012年度は首都近郊であるバ・コンゴ州カサングルと、引き続き東部のオリエンタル州キサンガニの研修センターにて長期研修を実施しました。

2013年度においては、約200万 ドルの予算で、鉱物資源が豊富で国内で最も経済的に重要な州でありながら、反政府勢力のプレゼンスも大きいカタンガ州ルブンバシで長期研修を実施しています。いずれの州においても研修センターの増改築を行い、カサングル、キサンガニの研修センターでは、増改築された研修センターを使用した別の研修も実施さ れるなど、有効活用されています。研修内容は憲法、刑法といった基礎的な法律や人権尊重、性暴力、児童保護などのコンゴ(民)において重要なテーマを学習すると共に、暴動鎮圧や逮捕術といった、警察官として必要な技術の指導も行っています。総合的な内容の研修を6か月かけてしっかり行うことから、基礎的な知識を十分に身に着けることができるため、研修の内容及び進め方は研修生から非常に高い評価を得ています。

同プロジェクトの特筆すべき点として、研修実施にあたり、国連平和維持活動(PKO)であるコンゴ(民)安定化ミッション(MONUSCO)の警察部隊(UNPOL)が教官として協力しています。MONUSCOの教官は各国の警察より派遣され、各分野のスペシャリストがそろっており、コンゴ(民)国家警察の教官とコンビを組んで指導にあたっています。UNDPの役割は、コンゴ(民)における、長年の治安・司法改革部門の経験と専門性を活かして当国政府の改革プログラムをサポートするべく、プロジェクト実施機関としてドナーであるJICAの意向と国家警察の希望を調整し、MONUSCOも含めた4者での研修計画策定を行い、研修の円滑な実施に必要な財政・運営管理業務を行っています。また、当プロジェクトの成果及び警察の改善を広く国内に周知するための広報活動や、コンゴ(民)政府に対しUNDPの他プロジェクトも含めた治安・司法改革プログラムの成果報告やその成果に基づいた今後の方針についての協議も行っています。

コンゴ(民)において、国内の治安維持は平和構築及び国の発展のために、最も重要視されている分野であり、同プロジェクトは、UNDPJICAMONUSCOと国家警察の4者が共同で実施していることから、国内でも大変な注目を集めています。2011年の大統領選挙時には、研修を受けた警察官が治安維持に当り、規律を持った活動を行ったとの評価も得るなど日本の貢献が目に見える形で現れています。国土が日本の5倍以上あり、人口もフランス語圏最大と言われる7千万人近くを抱える同国では、警察官の質・量ともに、一層の改善が必要とされており、政府は今年度6000人の新規警察官を採用し、将来的に現在の10万人から20万人への増員を目指しています。国民が安心して暮らせる国を目指して、UNDPは日本政府とともに、これからもコンゴ(民)政府の活動を支援していく予定です。

※本記事は同プロジェクトを担当する、UNDPコンゴ民主共和国ルブンバシ事務所の槌谷恒孝(つちや・つねたか)さんに寄稿いただきました。

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