ミャンマー:少数民族地域における地方行政能力、生計及び社会統合向上への取り組み

2014/03/20

2014年2月に沼田幹夫駐ミャンマー日本国特命全権大使がプロジェクトを視察しました。Photo: UNDP Myanmar

ミャンマーでは現在、民主化への歩みが本格化しています。経済面でも、貿易・投資環境が急速に整備されつつあります。その一方で、少数民族問題が、民生・治安上の懸案となっています。この問題に向き合い国民和解に取り組む政府を支援すべく、国連開発計画(UNDP)は、日本政府の資金協力を受けて「少数民族地域における地方行政能力、生計及び社会統合向上計画」プロジェクトを実施しています。

ミャンマー政府は2011年以降、少数民族武装勢力との和平交渉を積極的に進め、ほとんどの勢力と停戦合意に達しました。しかし、未だ国内には衝突の火種が燻っています。2012年には、民族間対立が大規模な暴動に発展し、各地で新たに十数万人が国内避難民となりました。また、一部の少数民族居住地域では、貧困と食糧不足が常態化しています。ミャンマーにおける国民和解と民生改善・治安安定化には、政府の努力に加え、国際社会による迅速かつ長期的な支援が不可欠です。これには、和平プロセスの履行や国内避難民帰還に対する支援のみならず、対立者間の信頼醸成、地方コミュニティの経済復興や地方行政の能力強化等、多岐にわたる取り組みが含まれます。

UNDPはこれまで、政情にかかわりなくミャンマーにおける開発支援事業を継続してきました。軍事政権下で国連の活動が縮小された1993年以降も、国別プログラムに代わる「人間開発イニシアティブ(HDI)」のもとで、政府を介さずコミュニティに直接裨益する活動を実施しました(参照:ニュースレター第6号=20124月=)。その後、民政移管を受けて、UNDP執行理事会が新たな3か年の国別プログラムを承認したため、2013年より本格的な活動を再開させました。現在UNDPは、1)社会的統合のための地方行政・生計支援、2)気候変動・環境・エネルギー・災害リスク削減、3)民主的ガバナンス、の3本柱に基づき、ミャンマーの包摂的で持続可能な開発を支援しています。

UNDP
20134月、日本政府より13億円の無償資金協力を得て、「少数民族地域における地方行政能力、生計及び社会統合向上計画」プロジェクトを開始しました。本プロジェクトは、少数民族が多く居住する6州(ラカイン、カチン、カヤ、カイン、シャン、チン)の22郡(計300村落)を対象に、UNDP国別プログラムに沿って、1)社会的統合のための地方行政能力強化、2)紛争被害地域住民の雇用・生計支援、3)少数民族の権利擁護と司法アクセス向上、の3分野における活動を展開しています。実施にあたっては、UNDPが長年にわたり培ってきた、現場での知見とネットワークが活用されています。

本プロジェクトは、特に、地方行政と雇用・生計の分野で成果を上げています。まず、地方行政分野では、活動対象となるすべての州で、ガバナンス状況のマッピング手法が策定され、20138月に開催された全国地方ガバナンス会議で承認されました。また、参加型ガバナンスの促進に向け、コミュニティ・センターの設置やメディアの能力強化、市民社会組織(CSOs)の活動支援も進められています。

また、雇用・生計分野では、ラカイン州において、衝突を繰り返すラカイン族とイスラム教徒が暮らす12村落を対象に、社会的統合と信頼醸成に向けた取組みを試験展開しています。これまでに、貯水池・橋・道路・堤防等の基礎的インフラ建設を通じ、2271の紛争被害世帯に雇用を提供しつつ民生改善に貢献しました。交通網が整備されたことにより、両グループ間の人的交流と対話も徐々に活発化しています。更に、各村落には、コミュニティ内の連帯促進のための早期復旧委員会を設置しました。ラカイン州では更に、地方公務員やCSOsを対象とした研修や見学行事等を予定している他、カチン州でも国内避難民と受入コミュニティを対象に、同様の活動を準備中です。

尚、本プロジェクトは、経済改革や国民和解に向けた取組みを支援すべく、日本政府が20133月にミャンマー政府に供与した無償資金協力11案件(総額204.7億円)のうちの一つです。本プロジェクトを含む少数民族地域に対する4案件は、国際機関(UNDPUN-HABITAT、ユニセフ、WFP)を通じて実施され、ミャンマーにおける人間の安全保障に貢献しています。

 

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