人間の安全保障基金を通じての国際協力③-タジキスタン共和国での事例紹介

2014/05/12

コミュニテイ開発プロジェクトの様子 photo:UNDP


1999年に国連に設置された「人間の安全保障基金」(United Nations Trust Fund for Human Security: UNTFHS)では、紛争や災害により被災した国・地域において、人々を生存や尊厳に対する脅威から守り、人々の豊かな可能性を実現するために支援を行ってきました。国連開発計画(UNDP)は同基金の最大の実施機関として、世界各地でプロジェクトを実施しています。UNDPと同基金の関わりについて紹介するシリーズの3回目は、タジキスタン共和国における取組です。


国の概要:
タジキスタン共和国は中央アジアに位置する国で、ソビエト連邦の崩壊に伴い1991年に独立国家となりました。独立直後の1992年に内戦が勃発しましたが、1997年に和平合意が成立しました。

●雇用創出及び移民管理改善を通じたコミュニティ開発(Community development through employment creation and improved migration management)
期間:2007―2008年
予算:約110万米ドル

タジキスタン共和国は1992年から5年ほど続いた内戦によって、国土の大半が荒廃しました。特にラシュト・バレーは被害が大きいにも関わらず、国内からの支援不足により復興が遅れました。雇用機会が失われた結果、男性は職を求めて国外に出稼ぎすることが増えましたが、強制労働や人権乱用の危険にさらされるなど弱い立場に置かれ、家族のもとへ帰ることができないといった事態も生じていました。また女性や子どもたちは出稼ぎ者からの送金と収入の低い農作業で生計を立てていましたが、貧困も次第に深刻化していました。

「人間の安全保障基金」の支援を受けたプロジェクトでは、ラシュト・バレーを対象地域に指定し、人間の安全保障の強化を目指しました。具体的には、職業訓練を通じて雇用機会、男女のエンパワーメント、国外の出稼ぎ労働者の権利を守る機関の強化、出稼ぎ労働者に人身売買等の法的救済などの知識伝授などを実施しました。

またプロジェクトを通じて、ラシュト・バレーの男女約1000人がビジネス・カウンセリングを受け、マイクロ・ファイナンスを利用して新しいビジネスを立ち上げました。さらに、7つの水供給システムが修復され、女性2600人を含む5000人の地域住民に安全な飲み水が供給されるようになりました。また、ロシアとカザフスタンの移民管理局との綿密な関係を構築し、国外でのタジク人の人権保護を進めました。

●元兵士の社会復帰・動員解除支援を通じた和平プロセスの強化(Strengthening of the Peace Process in Tajikistan through Reintegration and Demobilization Support activities for former combatants)
期間2000-2003年
予算:約67万米ドル

1997年の内戦終結後、タジキスタン政府は反政府勢力と合意に基づき、武装解除、動員解除、兵士の社会復帰を促す取り組みを始めました。2000年までに、動員解除された約2300人の兵士が社会復帰を果たしましたが、多くの元兵士が職や教育の機会に恵まれないために、犯罪に走ることが問題化していました。平和と国家再建を実現するためには、動員解除された元兵士に職を与え、犯罪を減らす事が課題でした。このプログラムは、雇用先の受け皿を増やすことと、地域社会の基盤インフラを復旧させ、商業、交通、通信などを通じて他の地域との交流を促進することを目的に実施されました、また元軍人に生活に必要不可欠なものに人道的支援を提供しました。こうした支援の結果、元兵士の多くは職業訓練を受けて建設業関連の分野で職を得ることができました。また紛争によって破損したインフラの再建にも貢献することができました。

●医療従事者向けトレーニングを通じた保健・医療機関の能力強化(Improvement of health sector in Tajikistan through training of medical specialists)
期間:2000―2002年
予算:約18万米ドル

タジキスタンは内戦状態に陥ったことで経済が悪化し、医療施設も紛争で被害を受けました。また医薬品や医療器具の不足に加え、医療従事者の給料が十分に支払われない状況が続いたために、遠隔地を中心に医療従事者の人材流出が問題となりました。さらに麻薬中毒や貧困などの問題が深刻化しました。タジキスタン政府は、医師や看護師や助産師などの育成、医療施設の機能強化、そして住民の医療へのアクセスの改善を図り、人間の安全保障を確立することを目標に掲げました。UNDPが実施したこのプロジェクトでは、多くの医療従事者に研修の機会を作り、専門知識や技術を向上させました。この結果、遠隔地の3都市に居住する約140万人に対して医療サービスを提供できるようになりました。

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