マリ:サヘル地域における平和の定着とグッドガバナンスのためのプロジェクト

2014/05/28

マリ北部トゥンブクトゥでプロジェクトが実施する行政支援活動を視察するデヴィッド・グレスリーMINUSMA国連事務総長特別副代表・国連常駐調整官・UNDP常駐代表 PHOTO: UNDP Mali


概要

西アフリカのサハラ砂漠南縁に位置するサヘル地域では、度重なる干ばつ、内戦やクーデター等の政情不安が、人々の生命と生活を脅かし、国家の発展を阻んできました。近年は、同地域の不安定化がテロや麻薬取引を活発化させ、国境を越えたサヘル域内及びグローバルな治安と安定を脅かしています。

この状況を受け、国連は、過去の経験と教訓に基づき、『サヘル地域における国連統合戦略(UN Integrated Strategy for the Sahel)』を策定し、3つの戦略的目標を決定しました。国連開発計画(UNDP)も支援枠組みを発表し、同戦略を通じた支援アプローチを打ち出しました。国連統合戦略に対するUNDPの貢献には、日本政府の資金拠出を受けて実施されている、2件のプロジェクトが含まれています。

1. サヘル地域における平和の定着とグッドガバナンスのためのプロジェクト
    日本の拠出額:1500万ドル
    対象国:マリ、ブルキナファソ、チャド、モーリタニア、ニジェール
    プロジェクト開始:20133

2. サヘル地域における人間の安全保障とコミュニティの回復力強化プロジェクト
    日本の拠出額:530万ドル
    対象国:マリ、ブルキナファソ、チャド、ニジェール
    プロジェクト開始:20143

日本政府は、20136月の第5回アフリカ開発会議(TICAD V)において、サヘル地域の開発・人道支援に5年間で1000億円の拠出を表明するなど、地域安定化に向けた支援を強化しています。上記のUNDPのプロジェクトに対する日本の支援は、このような取り組みの一環として実施されています。

「サヘル地域における平和の定着とグッドガバナンスのためのプロジェクト」
~マリにおける活動~


以下に、2013年より実施中の「サヘル地域における平和の定着とグッドガバナンスのためのプロジェクト」について、マリ共和国における活動と成果を紹介します。

マリは、2012年、サヘル地域全体を襲った大干ばつに加え、北部の反政府勢力・イスラム過激派の侵攻および軍事クーデターという、重大な社会的・経済的危機に直面しました。しかし、2013年には、フランスの軍事介入を経て、国際連合マリ多元統合安定化ミッション(MINUSMA)が平和維持活動(PKO)を展開し、大統領選挙および国民議会選挙が民主的かつ平和裡に実施されました。同国は現在、国際社会の支援を得て、復旧・復興と国民和解に向けた努力を続けています。

プロジェクトでは、政府とコミュニティを支援対象とし、1)両者の連携強化、2)行政能力強化と人々の生計安定化、という2つの活動により平和とガバナンスの向上を目指しています。このうち、マリの活動は、日本の拠出額1500万ドルのうち、250万ドルを活用して実施されています。

1.政府とコミュニティの連携強化
マリでは、政変や紛争により、選挙や平和に関する市民教育の重要性に対する認識が高まりました。プロジェクトはマリにおいて、107の市民社会組織(CSOs)を助成し、2013年に実施された一連の国政選挙の意義、有権者の権利と義務、選挙プロセス等に関する情報発信・教育活動を支援しました。様々なコミュニケーション手法により、フランス語と現地語を組み合わせて活動を展開した結果、20137月に実施された大統領選挙の投票率は、前回よりも大幅に増加しました。

また、プロジェクトでは、マリ北部の国民対話プロセスへの市民参加をサポートしています。これまでに、紛争予防・管理のための地元リーダーの研修、コミュニティ間の対話促進、女性・若者のリーダーシップ育成の諸分野で、CSOsより活動提案書を募集したほか、北部3州で活動するCSOsの能力強化を通じ、市民がコミュニティ対話・国民和解プロセスに積極的に参加できるよう、支援しています。

2.行政能力強化と生計安定化
マリにおける生計安定化支援は、UNDPが以前より西アフリカ諸国で普及を進める多機能プラットフォーム(MFP)の更なる活用促進に主眼に置いています。MFPは、簡単な発電・発動・蓄電装置を備えた多目的小型発電機です。農作物の加工(豆、米などの脱穀、製粉/精米、粉砕)、溶接、照明、給水、等の様々な用途に一台で対応できます。プロジェクトはこれまでに、15の北部村落を含む20村落にMFPを導入し、各村に一か所、MFPを使用した木工製品加工所と技術訓練所を設置しました。MFPの活用は、女性の所得創出や、脱穀等の家事労働から解放された女子の就学率向上につながり、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成にも貢献することが期待されます。

プロジェクトではこのほかにも、マリ政府計画省による北部開発促進計画の策定支援や、北部地域のメディア関係者に対するトレーニングを行った他、北部における市町村レベルの紛争後状況調査の準備も進めています。また、2014年に開始された「サヘル地域における人間の安全保障とコミュニティの回復力強化プロジェクト」は、本プロジェクトの成果の上に、地域レベルでの社会的繋がりの強化を目指しています。

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