エジプト:公共事業における雇用創出プログラム

2014/06/20

母子保健事業の下で1年間の就業機会を得たイマンは、訓練で専門知識を身につけ、使命感を持って仕事に取り組んでいます。 PHOTO: UNDP Egypt (2013)


エジプトにおいて、若年層の高い失業率は、20111月の政変以前から深刻な社会問題として認識されてきました。政変後、若年層の雇用の受け皿である観光業や主力産業の農業が不振に陥り、失業率はさらに上昇しています。現在、失業者の4人に3人は、15歳から29歳の若者であるといわれています。また、中所得国グループに属し、順調に経済成長を続けてきた同国ですが、経済発展の恩恵は一部に留まり、国民の多くは成長から取り残されています。首都圏や大都市との経済格差に苦しんできた地方都市と農村は、政変による経済・投資活動の落ち込みにより益々疲弊しています。このような若年層雇用と地域間格差というエジプトの緊急かつ深刻な課題に対処すべく、国連開発計画(UNDP)は日本とのパートナーシップのもと、2012年より「公共事業における雇用創出プログラム」の活動を実施し、大きな成果をあげています。

UNDPはかねてより、地域間格差を憂慮するエジプト政府に協力し、地方経済活性化に取り組んできました。UNDPと共に、長年にわたりこの活動を実施してきたのが、雇用創出を通じた貧困削減に取り組む政府系機関「社会開発基金(SFD)」です。ここで紹介するUNDPの「公共事業における雇用創出プログラム」も、SFDを実施パートナーとして進めています。2012年以来現在に至るまで、日本政府より合計1610万ドル(約163000万円)の資金協力を得て実施中の同プロジェクトは、短期雇用創出を含む雇用の環境整備と、地方経済開発に取り組んでいます。

このうち、20123月より実施された第一フェーズ(日本政府拠出額:550万ドル)では、1)公共事業・社会サービス事業による短期雇用創出、2)雇用政策の策定支援という2つの活動に取り組みました。

短期雇用創出活動ではまず、SFDが詳細な現地調査により作成した「貧困マップ」に基づき、特に所得水準が低い5県を選定し、これらの地域で、若年層と女性を対象とした雇用創出を伴う公共事業や社会サービス事業を実施しました。従来の雇用創出プログラムの中心は公共事業です。しかし、土木工事等の公共事業で雇用されるのは主に男性であり、女性のための雇用創出効果は極めて限定的でした。そこで、本プロジェクトでは、母子保健や環境美化といった社会サービス事業を、地元NGOsを通じて実施することにより、女性のための雇用機会創出に取り組みました。その結果、母子保健事業では約175000/日、環境美化事業では、約166000/日の雇用が創出されました。女性の就労促進にも大きな成果を挙げ、特に母子保健事業では雇用機会の98%が女性に提供されました。主に若者向けの公共事業による雇用創出も含めれば、本活動の雇用効果は約784000/日に達します。

また同活動では、エジプト農村部でも特に貧困家庭の占める割合が大きく失業率も高いファイユーム県およびソハーグ県において、地方開発省と協力し、国連資本開発基金(UNCDF)の技術協力により、若年層と女性の雇用機会の拡大・多様化を目指した地方経済活性化策の立案に取り組みました。具体的には、地方の経済状況を調査・分析し、その結果から、短期雇用創出活動の対象として、市場、灌漑設備や農業用道路の整備といった公共事業候補を選定しました。

2013年より実施中の第二フェーズ(日本政府拠出額:560万ドル)では、活動対象をファイユーム県およびソハーグ県の2県に絞り、第一フェーズで策定された地方経済活性化策の具体化に向け、それぞれの県と「統合開発計画」について合意しました。この計画に基づき、ファイユーム県では60件の公共事業を通じ約55000/日の雇用機会創出活動が、ソハーグ県では約72000/日の雇用機会創出活動が進められています。これらの活動は、エジプトの政治・治安状況に起因する大きな困難に直面しながらも、パートナーとの緊密な連携の下で実施されてきました。さらに日本政府は、2014年3月、同プロジェクト第三フェーズにも500万ドルを拠出し、混乱が続くエジプトにおける緊急な雇用創出ニーズを支援しています。

本プログラムでは、現場における日本政府および国際協力機構(JICA)との緊密な連携も図られています。例えば、20134月には、UNDPおよびプログラムの実施パートナーに加え、在エジプト日本国大使館とJICAエジプト事務所の参加も得て、プログラム実施に関するワークショップをカイロで開催し、公共事業を通じた雇用創出の取り組みから得られた成果、教訓や今後の課題について話し合いました。

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