第3回NY発 UNDPの援助最前線レポート: ネパールにおける震災後の復興計画づくり

2015/05/26

カトマンズ市内中央に位置する公園の様子。各国政府や援助機関により供与された避難テントにて住居を失った住民が暮らしている。

国連開発計画(UNDP)ニューヨーク本部対外関係・アドボカシー局ジャパンユニットの二瓶直樹です。日本政府との第5回日UNDP戦略対話参加のために日本出張中の5月半ばに、急きょネパール大地震の復興計画づくりにかかわることが決まり、5月21日から当面約1か月の予定で同国に滞在しております。前回は3月に仙台市で開催された第3回国連世界防災会議に関する記事でしたが、今回は実際の被災地であるネパールにおける進行中の復興計画づくりについて開発現場〝最前線〟からお届けします。

4月25日に発生した大地震(5月12日にも大きな余震が発生)により多大なる被害に見舞われたネパールでは、約9000人もの尊い命が失われました。カトマンズに着陸する飛行機の中からは、震災の被害はそこまで鮮明にはわかりませんでしたが、空からは市内のいたるところでカラフルなテントが張り巡らされているのが良く見えました。特に、地方・農村部では、多くの家屋が倒壊しました。カトマンズ市内でも家屋倒壊により住居を失った市民や余震による二次災害を恐れる人々が家の外でテント暮らしをする光景がいたるところで広がっています。

震災後、ネパールは多くの国から緊急援助活動のための支援を受け入れました。日本、中国、インド、米国、そして欧州等から大勢の緊急支援関係者が現地に入り、人命救助や医療活動等が繰り広げられました。震災から約1か月が経過し、緊急援助活動がある程度落ち着いた中、現在国際社会はネパールの復旧・復興に関する中・長期的な取り組みの本格的な検討を開始しています。UNDPもその主要な役割を担っています。

自然災害後の復旧・復興プロセスにおいて、被害・損害を調査し、今後の活動にかかる資金ニーズを査定することが不可欠です。この調査に基づいて、被災国政府や援助機関は、被害・損害の全体像を把握し、復興計画を立案し、優先分野の選定や支援プロジェクトの形成を行います。国連・欧州連合・世界銀行は2008年10月に「災害後評価と復興計画に関わる三者合意」に合意し、三者が連携して、「災害後復興ニーズ評価調査(Post Disaster Needs Assessment: PDNA)」を実施する被災国政府を支援することを基本方針としています。

今回のネパールの場合は、同国政府の要請のもと、国連・欧州連合・世界銀行の三者がリードを取り、PDNAの目的、実施主体、活動工程を作業要領(TOR)としてまとめております。今回のPDNAでは、長年ネパール支援に精力的に取り組んできた国際協力機構(JICA)及びアジア開発銀行(ADB)が中核グループとして国連や世界銀行と一緒に全体をリードすることが決まっています。PDNAの作業自体は、UNDPをはじめとする国連機関に加えて、米国(USAID)、ドイツ(GIZ)等の様々な援助機関が参画しています。

TORの取り決めに従って今回は23のセクター(教育、保健、エネルギー、防災対策等)が設定され、各セクターでリードする組織が決まっています。各セクターグループで、統計情報の収集、現場調査、支援ニーズ検討等を踏まえて報告書をまとめることになっています。今回はネパール政府の要望によりPDNA報告書の締め切りが6月中旬と設定されているため、非常に短期間での作業が急ピッチで進行しております。

今回のPDNAでは早い段階から日本政府が参画を表明し、JICAがPDNAのコアメンバーとして過去ネパールにて支援してきた実績のある防災、教育、エネルギー、給水といった分野を中心に貢献をしています。また、5月24-26日にネパールを訪問した田中明彦JICA理事長は、5月25日にネパール復興支援セミナーを現地政府及び援助関係者に向けて開催し、第3回国連防災世界会議にて採択された「仙台防災枠組2015-2030」に基本原則として含まれるビルド・バック・ベター(Build Back Better)*の考えの重要性をアピールされました。ビルド・バック・ベターは、2013年のフィリピン台風ヨランダ後の復興計画と同様、ネパールの復興計画においても基本方針となることが期待されています。

様々な国や機関が個別にニーズ調査を行うことが多い中、PDNAは援助関係機関が合同でニーズ調査を行うため、被災国政府の負担を軽減します。PDNAは、国際社会が共同で行うことにより、復旧・復興の全体像を一緒に把握し、将来の支援内容を重複や過不足なく効果的に検討する上で重要なプロセスとなっています。

日本は国連防災会議を成功裏に開催したことを受け、今回のネパールでの震災においても、これまで以上に世界における防災分野のリーダーとして、国際社会の中でリードすることが求められております。UNDPは日本にとっての最良のパートナーとして、ネパールにおける復旧・復興プロセスにおいても強力なパートナーとして、連携していきます。

*ビルド・バック・ベター(Build Back Better): 災害以前の状態に復旧するだけではなく、被災地をより良い状態に再建すること

二瓶直樹
UNDP対外関係・アドボカシー局ジャパンユニット・JICA/日本連携アドバイザー
---------------------------------------------------
2003年、国際協力機構(JICA)入構。以降、政府開発援助(ODA)業務に従事。2009-2012年、中央アジアのウズベキスタンにて、市場経済移行期の社会・経済開発を目的とした民間セクター及び法整備支援、運輸・電力インフラ支援に従事。2012年8月よりUNDPニューヨーク本部にて勤務。早稲田大学社会科学研究科修士卒。

UNDP Around the world

You are at UNDP Tokyo 代表事務所
Go to UNDPグローバル