TICAD VIに向けて UNDP-JICA公開シンポジウム「アフリカの包括的な開発の促進:若者と女性エンパワーメントの経済学」の開催報告

2016/01/21

満員御礼となり、テレビ報道もされたシンポジウム Photo: UNDP Tokyo/Yukiko Abe

日時: 2016年1月20日(水)15:00-17:00
場所:国際連合大学本部1階カンファレンスルーム
主催: 国連開発計画(UNDP)、国際協力機構(JICA)後援:外務省

2016年1月20日(水)、東京都渋谷区の国連大学でTICAD VIに向けて UNDP-JICA公開シンポジウム「アフリカの包括的な開発の促進:若者と女性エンパワーメントの経済学」を国際協力機構(JICA)と共催しました。

シンポジウムでは、アブドゥラエ・マール・ディエエ国連開発計画(UNDP)アフリカ局長および加藤宏JICA理事の基調講演に加え、外務省の植澤利次アフリカ開発会議(TICAD)大使が登壇しました。また、近藤哲生UNDP駐日代表がモデレーターを務め、ソロモン・K・マイナ駐日ケニア共和国特命全権大使、津山直子アフリカ日本協議会代表理事、秋田智司Digital Grid Solutions株式会社代表取締役、澤田霞株式会社AfricaScanケニア支社長がパネルディスカッションを行いました。会場には約150人が来場して満員御礼となり、NHKによる取材も入りました。終了後に開催されたレセプションでは、登壇者、参加者間での活発な意見交換も行われました。

シンポジウム冒頭、近藤哲生UNDP駐日代表は「アフリカで初めて開催されるTICAD VIに向け、アフリカの安定した持続可能な開発を進めていく上で重要な役割を担う若者と女性に焦点をあてた本シンポジウムが、日本とアフリカの共存共栄の一助となれば幸い」と挨拶をしました。

続いて、植澤利次TICAD大使は、TICAD VIを前に本セミナーを開催することを歓迎するとともに、「脆弱な女性と若者のエンパワーメントは、日本政府が推進する人間の安全保障の考え方と整合性がある」と挨拶をしました。TICADにおいては、一貫してオーナーシップとパートナーシップの考え方を共有・実践していることを強調した上で、アフリカの輝かしい未来に向けて、共感と信頼を基盤とし、官民が連携して成長を支えるための建設的な議論の場になることに期待を寄せました。

基調講演
アブドゥラエ・マール・ディエエUNDPアフリカ局長は、基調講演「アフリカの包括的な開発の促進:若者と女性エンパワーメントの経済学」において、国際開発協力を主導する日本に対する期待感を示しました。ディエエUNDP局長は、アフリカはこの15年で経済成長を遂げたものの、格差の課題が深刻化しており、特に若者と女性が影響を受けていると指摘しました。また、格差が生み出す若者と女性の失業は、アフリカにとって大きな機会損失であるだけでなく、平和と安定を脅かすリスクであると警鐘を鳴らしました。結びに、来たるTICAD VIにおいては、持続可能な開発のための2030アジェンダとアフリカが進めるアジェンダ2063を実行する上で重要な4項目(スキル開発、女性と若者への投資促進、女性と政治参加、ジェンダー平等に向けた政策改革と開発活動)に焦点を当てる旨、述べました。

続いて、加藤宏JICA理事による基調講演「若者と女性の可能性:JICAのアフリカでの経験から」が行われ、若者と女性のエンパワーメントの基盤となる雇用に着目し、日本人の立場からアフリカの雇用創出にどう貢献できるかについて、講演をしました。アフリカでは、特に農村における失業問題が深刻化しており、若者と女性の被雇用可能性並びに雇用機会にてこ入れをすることで、経済的な効果を創出するだけでなく、人々の自己実現にも貢献するという社会的効果に言及しました。昨年の開発協力大綱の策定に伴い、日本の対開発途上国支援は、双方が利益を享受することを目指し、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて知見を共有していくことが重視されるようになったことで、JICAは、保健・水と衛生・農業等の周辺課題に配慮しつつ複合的に雇用の課題に取り組みたいと意欲を示しました。

パネルディスカッション
セミナーの後半では、近藤哲生UNDP駐日代表がモデレーターを務め、パネリスト4人による、討議が行われました。マイナ駐日ケニア共和国特命全権大使は、若者と女性のエンパワーメントを通じて、持続的で強靭なアフリカ経済を築くために、ジェンダー平等並びに若者、障がい者等の脆弱層の取り込みに注力していることを紹介しました。また、人口増加で深刻化する失業問題の影響緩和に向けて、日本の中小企業と協力し、ケニアにおける起業の促進、中小企業の育成に向けて取り組んでいる旨、発言がありました。

津山アフリカ日本協議会代表理事は、TICADの発足を機に、市民レベルで開発を検討し、パートナーシップを強化する目的で設立された同会の活動を報告するとともに、日本よりも女性の政治参加が進んでいるアフリカから学ぶことができるという視点を共有しました。また、日本人とアフリカ各国からの留学生の交流を通じた相互理解の促進とアフリカの多様性に対する理解の重要性を語るとともに、アフリカ経済を担う農業とネットワーク作りを得意とする女性の活用を通じた人間開発と環境保護に期待を示しました。

タンザニア駐在の秋田Digital Grid Solutions(株)代表取締役は、同社の東アフリカを中心とした未電化地域向け小口電力販売事業における低所得層向けの課金制電力提供サービスとその展開計画について紹介するとともに、人材登用と育成の難しさに言及しました。同社がアフリカ5か国で提供する電化製品(携帯電話・ランタン・ラジオ等)の充電サービスでは、小規模小売店が窓口となっており、その6割は女性経営者であるとした上で、現地出身の女性管理職が、基礎的なビジネススキルの教育やモラルハザードの防止に努めていると述べました。

(株)AfricaScanの澤田ケニア支店長は、自身のセネガルにおける青年海外協力隊の経験および共同創設者のマーケティング分野における専門性を融合させ、現地における小規模小売店の共同調達や販売データの収集を行い、消費者に提供する価格の低減、顧客ロイヤリティプログラムの導入を通じた教育・経営資金調達の支援をする同社の取組を紹介しました。また、社会福祉の未整備に不安を感じる現地の人々が自営業に対して高い嗜好をもつことに配慮しつつ、慎重に責任ある雇用を進めている旨、発言がありました。「アフリカの若者と女性は、教育の機会を得られずとも、高い潜在能力がある」と述べた上で、社会経済的インパクトの創出に向け、意欲を示しました。

全体討議&質疑応答
全体討議と質疑応答においては、ブルキナファソ駐日大使より、安倍イニシアティブを通じた留学生の拡大に期待感が示されるとともに、セネガル出身の学生から、アフリカにおけるビジネスがもたらす社会的インパクトについて、登壇者に対して質問が寄せられ、活発な議論の場となりました。

最後に、江口秀夫JICAアフリカ部長より「本セミナーを通じて、TICADで強調されているオーナーシップとパートナーシップは、政府間だけではなく、市民レベルでも重視されていると実感できた」という総括コメントがあり、盛況のうちにセミナーは終了しました。

イベントのプログラムはこちらをご覧ください。

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