東ティモールにおける司法支援事業~第2回 司法アクセスクリニック(AJCs)事業

2016/11/15


はじめに
国連開発計画(UNDP)は2016年4月から、日本政府の拠出30万米ドルにより、司法アクセスクリニック(Access to Justice Clinics:AJCs)プロジェクトを開始しました。クリニックの設立は現在進行中で、UNDPはパートナーとなる地元の市民社会団体とパートナーシップを組んでいます。同クリニックは、法的サービスの無償提供を中心とした、脆弱な人々(経済的な困窮者や女性・子ども等)を法律面で支援する事業で、東ティモールのいくつかの地域で試験的に行われる予定です。

司法アクセスクリニックの内容

司法アクセスクリニックは、現在、東ティモールのSuaiおよびBaucauの司法管轄区で市民社会団体と協働して実施される予定で、①国選弁護人の法的サービスの無償提供の強化②その他の司法支援で構成されます。同クリニックは、主に地方に居住している脆弱な人々を対象とした事業です。

(1)  国選弁護人の法的サービスの無償提供の強化
同クリニックは、東ティモール国内のNGOに所属する法律専門家をスタッフとして、調停や法制度の利用に関する情報提供等の法的サービス、関係諸機関の紹介等を無償で実施することが主要事業です。国民は、身の回りの紛争を調停によって解決し、法的な解決を目指す専門家を紹介してもらうことができます。特に、経済的に自前で弁護士費用等をまかなえない国民に対して法的サービスを無料で提供する機関である国選弁護人事務所(Public Defenders Office:PDO)へのアクセスが容易になることで、同事務所の利用が促進されることが期待されています。

(2) その他の司法支援
UNDPは、同クリニックの対象地域以外においても、法教育等を積極的に行います。具体的には、検察庁や国選弁護人による無償の法律扶助サービスや家庭内暴力対策法における家庭内暴力の非親告罪化等、東ティモールの法律制度の基礎知識を国民に教える予定です。

司法アクセスクリニックの目標

司法アクセスクリニックによって、地方の女性等の脆弱な人々が自らの権利を守るために司法制度を利用することが促進されることが期待されています。具体的には、今後、ジェンダーに起因する暴力(GBV)を受ける女性が積極的に裁判所等の公的機関による法的救済を求めるようにし、GBV自体の減少にも寄与することが期待されます。また、国民の司法制度に関する理解関心を深め、司法制度の需要を高めることも期待されています。

おわりに-今後の展望

司法アクセスクリニックの主たる資金拠出国は日本ですが、韓国の資金援助も決定されており、今後の事業の拡大が期待されています。加えて、現地の国選弁護人のアドバイザーとしてブラジルからの専門家も事業に参加して設立を手伝っており、人的な援助も拡大しています。同クリニックは、現在は援助を受けて実施されていますが、将来は主要なカウンターパートである国選弁護人事務所を中心として東ティモール自身の国家予算を用いて持続的に行われることが期待されています。

まとめ:UNDP駐日代表事務所広報ユニット研修生 第69期司法修習生 水谷翔

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