パキスタンの連邦直轄部族地域(FATA)における帰還民支援プロジェクト~若者625人が職業訓練を修了

2017/02/01

職業訓練修了生への修了書授与の模様。625人が訓練を修了。


アフガニスタンとの国境に位置するパキスタンの連邦直轄部族地域(Federally Administered Tribal Areas : FATA)において、パキスタン政府は2014年に反政府勢力の掃討作戦を開始しました。この作戦により、FATAの北ワジリスタン管区において何万世帯もが故郷を離れざるをえなくなりました。多くは隣接州のハイバル・パクトゥンハ州に一時的に避難しています。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の調査によると、ほとんどの避難民は避難民用キャンプではなく、地元のホストコミュニティの中で生活しています。2015年4月にはFATAの軍の作戦が終了した地域への自発的な帰還を促進するため、FATAへの持続的な帰還と復興計画(FATA Sustainable Return and Rehabilitation Strategy: SRRS) がパキスタン政府により開始されました。当時、全30万世帯と推定された国内避難民の帰還が継続的に行われ、2016年10月末の段階で20万世帯が帰還しています。

UNDP パキスタン事務所では2015年3月から、SRRSを支援するため、FATAからの国内避難民とそのホストコミュニティ、そしてFATAへの帰還民を支援するプロジェクトを行っています。日本政府の支援により2016年3月までに、国内避難民とその受け入れコミュニティの強靭性を高めることによって社会的一体性を強化し、基本的インフラの改善、生計支援を通じ5万人以上の生活向上に貢献しました。

2016年3月以降はFATA帰還民への支援を強化し、帰還後のコミュニティ復興支援、基本的インフラの復旧支援、生計支援などを行っています。

安定した生計を得ることは、帰還後の生活を立て直し、継続させていく上で大変重要です。そこで、UNDPは帰還直後の帰還民に対してコミュニティ・インフラの復旧作業を中心とする短期の雇用機会を提供しました。現在は特に若者の雇用機会を増やすため、現地のパートナーと共に職業訓練、起業や雇用に結びつけるためのビジネス研修、そして起業のための助成などを行っています。これまでに1445人が職業訓練を受講し、3500人がビジネス研修を受講しています。

2016年12月8日、ハイバル・パクトゥンハ州の州都・ペシャワールにて、職業訓練修了生への修了書授与式が行われました。職業訓練は男性向けには電気工事、家電修理および配管工事コース、女性向けとして刺繍や裁縫、アクセサリー製作コースが開講し、計625人(男性325人、女性300人)が訓練を修了しました。訓練後の雇用につなげるために、各専門家によるキャリアガイダンスも行い、また若者の自発的な起業を支援するため、訓練終了時にコースごとに起業ツールキットも提供されました。

ある女性参加者(23歳)は「3か月の訓練を通じて、手工芸の技術を身に付けたことは大変自信になりました。夫のサポートも得られ、小規模の手工芸品のビジネスを始める予定です。これによって、家族の為に収入を増やすことができます」と話します。

修了式では、訓練中に作成した作品を展示しました。製品の展示によって、修了生たちは自信を高めることができました。また、UNDPの担当職員として式典に出席した私も、それぞれの作品の質の高さに今後のFATAの若者の可能性を大いに感じました。修了生たちは訓練で得た技術を生かし、帰還した地域における経済の回復に貢献します。

右コラム:
FATA地区におけるホストコミュニティ支援の動画

(特別寄稿:UNDPパキスタン事務所 プログラム・アナリスト枯木幸子)