インターンシップのすすめ~ケニアの国連常駐調整官事務所での3ヶ月~

2017/09/14

国連常駐調整官事務所の上司と大内さん

 

【大内ひかるさん(ハーバード・ケネディスクール公共政策修士課程)】

私の国連との最初の出会いは、アフリカの飢餓に対する人道支援に取り組む国連職員の方の講演です。当時高校生だった私にとって、国連は支援が必要な人に手を差し伸べる組織としてきらきらと映りました。一方で、年を重ねるにつれて国連が掲げる理想の実現は簡単ではないこともわかってきました。

理想と現実のはざまで、世界をフィールドに日本がすべきことは何なのか。外務省での勤務や、ハーバード大学院のリベラルな環境に身を置く中で、改めてこの問いへの答えを出したいと思い、2017年5月から7月までケニアの国連常駐調整官事務所(UN Office of the Resident Coordinator、以下RCO)にてインターンシップをしました。そこでの業務と、学んだことを中心に紹介させていただきます。

 

中にいたからこそ見える国連の顔

インターンシップ先のRCOは、2007年の国連改革の一環として立ち上げられた、”Delivering as One”イニシアティブ(国連諸機関が一体となった任務遂行)の推進役です。ケニアでは2010年にできた新しいオフィスで、23の国連諸機関が、「ひとつの国連」として一体となって効率よく効果的に活動できるよう、調整・統括しています。インターンシップでは「エチオピア・ケニアの国境地域の開発イニシアティブ」と「持続可能な開発目標(SDGs)の実現に向けた官民連携のパートナーシップ・プラットフォーム」という、機関横断的な2つのプロジェクトの企画・推進のサポートに取り組みました。また、ケニアでの国連改革を進める内部の会議への出席や、同僚との会話、仕事を通じて、自分の中でイメージにとどまっていた国連の場を、実体の伴ったものにすることができました。

RCOの業務の中で最も強く実感したのは、多種多様な関係者を結集させる国連の力です。例えば、SDGsパートナーシップ・プラットフォームでは、保健分野での連携を皮切りに、中立を掲げる国連の旗の下に、ケニア政府、各援助国政府、民間企業、NGO等が、それぞれの資源、知見を活かして動き始めています。

また、ケニアでは社会課題の解決に民間セクターが果たす役割が大きくなっています。同国のSDGs達成状況は157か国中125位で、未だ多くの課題を抱えている一方で、中所得国に分類されているため、各国政府からの支援が今後減ることが見込まれているからです。業務を通し、プラットフォームに関心を持ちそうな企業を上司に提案したり、一緒に訪問して売り込んで意見交換等を持つ中で、企業の関心の高さに驚かされました。

一方で、「ひとつの国連」の実現の難しさも目の当たりにしました。国連の可能性を最大化するには、ケニアであれば23の国連機関が連携し、限られた資源をムダなく有効活用していくことが必要です。インターンシップ中、ケニアの各機関のトップを集めた会議に何度か出席させてもらいましたが、各組織に痛みを伴う変革は一筋縄ではいかないことも多く、改革の必要性と共に、難しさを実感しました。

 

「立場」の違いと「環境」の違い

インターンシップは、これまでと異なる立場、環境で働く経験でもありました。国際機関を進路として考えている人にとっては、その経験を得るだけでも有意義かもしれません。異なる「立場」という意味では、これまで日本の外務省で働いてきた私の考えの中心を「日本のため」から「ケニアの人々のため」に大きく変える必要がありました。レンズを変えれば見える課題も異なり、視点の転換から大いに学ぶことができました。異なる「環境」という点では、職員の国籍や話す言語が多様です。RCOはケニア人職員が多く、英語が第一言語である人はほとんどいません。オフィスではスワヒリ語が飛び交うこともしばしばで、留学先の大学院と比べると、英語が母国語でない人間にとって働きやすい環境でした。また、国際機関に限らない話ではありますが、主体性がとても大事で、何ができるのか自分で考えて、動くことで得られるものが大きくなります。業務外でも、インターンという立場を利用して、様々な機関の人と意見交換の場を作り、国連をひとつの舞台にした多国間外交の中での日本の顔も見ることができました。

 

最後に

どんな形であれ国連機関に関心を持っている人にとって、インターンシップの機会は自分の活かし方次第でとても実りの多いものになると思います。3か月間のインターンシップを通して得たものは、どれをとっても外から見るだけでは分からないことばかりでした。自分自身の成長につながっただけでなく、世界の中での日本を知ることができ、自分の今後の進路を考える上で、貴重な材料をたくさん得ることができたと思います。

皆さんも是非、挑戦してみてください。

UNDP Around the world

You are at UNDP Tokyo 代表事務所
Go to UNDPグローバル