第3回 キルギス発「平和と開発」の現場レポート

2017/12/13

キルギス全国の投票所では、大統領選挙当日に、選挙人の本人確認を行うため、日本が支援した指紋認証スキャナーやパソコンが活用され、機材を活用することでなりすまし投票や二重投票を防ぐことに大きく貢献した。Copyright: UNDPキルギス

国連開発計画(UNDP)キルギス共和国事務所の二瓶直樹です。キルギスに赴任してから11ヶ月近くが過ぎました。その間キルギスでは、国の将来を大きく左右する大統領選挙がありましたので、UNDPが日本政府と連携して実施した選挙支援について報告します。

キルギスは中央アジア5カ国の中でも、民主主義の発達した国で、1991年の独立後に、中央アジア地域で初となる議会制民主主義を導入し、今日まで、国連やEU、欧米諸国やNGOの支援を受けて、公正の選挙の実施、議会や政府における統治機能の向上、市民社会の育成を通じて、民主主義の定着に向けた様々な努力が続けられています。

2017年10月15日の大統領選挙は、キルギスの民主化の定着と今後の国発展を左右する大変、注目された選挙となりました。キルギスは過去2度大統領選挙の後に、国内の大きな混乱を経験しており、2005年にはチューリップ革命、2010年の大統領選のあとには、反政府デモによるバキエフ政権の崩壊さらには、南部における民族衝突がありました。その後、オトンバエバ暫定大統領(暫定ながら中央アジア発となる女性大統領)を経て、2011年に選出されたアタンバエフ前大統領は、過去の経験からも、公正かつ透明性の高い選挙実施の重要性を認識し、電子認証システムを活用した選挙実施体制を構築できるよう国際社会の協力を求めていました。

UNDPキルギスは独立後の早い段階から、政府によるガバナンス機能の向上を重点課題として扱っており、公正かつ透明性の高い選挙を長期的な視点で支援してきました。日本政府も、キルギスの民主化支援のために大きな貢献を果たしています。2015年にUNDPは、日本政府との連携により「2015年から2017年までの選挙における投票者本人確認手続自動化計画プロジェクト(7.4億円)」を実施しました。具体的には、日本政府からJICA経由で資金拠出を受け、中央選挙管理委員会および国家登録局に対して、機材導入や職員約300人に研修を行い、この支援が功を奏し、2015年10月の国会議員選挙が、これまでにない透明で公正な選挙が実施されました。

2017年3月には、再度日本政府と連携し、「電子政府システム設立のための国家統一住民登録支援プロジェクト(6.49億円)」により、10月の大統領選挙のために、更なる公正な選挙運営に貢献する電子化政府の基盤となる国家統一住民登録制度の構築及び円滑な運営を支援を行いました。10月15日の選挙では、全国各地の投票所において、日本が支援した機材(コンピューター、指紋認識スキャナー、投票者の確認を行う小型カメラなど)が投票所の受付に設置され、なりすましや二重投票などを防ぐための措置が行われ、透明かつ公正の高い選挙に支援が大きく貢献しました。

今回の選挙では、米国、EU、韓国なども資金を拠出し、中央選挙委員会の選挙実施能力や選挙候補人の選挙キャンペーンの規律、選挙に関する報道のメディア支援等、様々な形での支援がおこなわれました。日本とUNDPの連携による支援は非常に大きく、選挙投票所における日本ロゴは、キルギスの人々の目に大きく写ったと思います。選挙支援により大統領選挙は、投票締め切り1-2時間後には大勢が判明するなど、驚くほど効率的に実施されました。

11月24日にジェエンベコフ新大統領の就任式が行われ、危惧された反政府デモや民族衝突などの出来事なく、キルギスの体制移行が平和裏に進んでことは、キルギスの歴史において大きな意味を持ちます。キルギスは、ジェエンベコフ新大統領のもと、近隣諸国のカザフスタン、ウズベキスタンそしてタジキスタン等との地域内の関係構築を外交上進め、長期的な開発計画の策定に基づく社会・経済発展、そして民族共生や過激主義対策による平和構築・治安維持などの課題に継続的に取り組んでいくこととなります。その中で国連や日本が果たす役割は今後も引き続き重要であり、キルギス国民により大いに期待されています。

 

二瓶直樹

UNDPキルギス共和国事務所 兼 キルギス国連常駐調整官事務所 平和・開発担当顧問

---------------------------------------------------

2003年に国際協力機構(JICA)入構以降、開発途上国における政府開発援助(ODA)に従事。2006-2009年JICA本部基礎教育グループ、2009-2012年JICAウズベキスタン事務所駐在員、2012-2015年UNDPニューヨーク本部対外関係・アドボカシー局日本連携アドバイザー、2016年JICA本部中央アジア・コーカサス課主任調査役を経て2017年1月より現職。早稲田大学大学院社会科学研究科修士卒。

UNDP Around the world

You are at UNDP Tokyo 代表事務所
Go to UNDPグローバル