タンザニアの子どもたちの寄生虫感染を防ぐ

2018/01/23

Photo: Natasha Scripture / UNDP

予防策への投資こそがアフリカにおける熱帯病の感染拡大と闘う手助けに

東アフリカに位置するタンザニアは広大な野生地域が有名な国です。セレンゲティ国立公園をはじめ16もの国立公園と29の野生動物保護地区を抱えるこの国には、アフリカ大陸の中でも最大規模の野生動物の密集地域が存在します。

一方、他のアフリカの国々と同様に、広大で多様な国土にはマラリア、デング熱、住血吸虫症などの熱帯病も蔓延しています。

住血吸虫症は「巻貝熱」とも呼ばれ、淡水巻貝を宿主にする寄生虫の感染によって引き起こされる病気です。マラリアに次いで二番目に広く蔓延する熱帯病で、世界で1億人の子どもを含め2億4900万人もの人々を苦しめています。

この病気は途上国、特に9割以上がアフリカで発症しており、人々の健康を脅かす大きな問題となっています。タンザニアでは19世紀初頭に最初の症例が報告されています。

住血吸虫症は不衛生な環境や汚れた水の中で泳いだり魚を釣ったりすることで発症し、就学年齢の子どもたちが特に感染のリスクにさらされています。また、この病気は、安全な飲み水や公衆衛生が行き届いていない貧しい地域に多くみられます。

腹痛、下痢、血便や血尿などがその症状です。子どもたちへの影響は深刻で、貧血や発育不良、学習能力の低下などがありますが、いずれも適切な治療で改善できます。

また、適切な予防策を講じることで問題解決を大きく前進させることができます。しかし、2014年には、タンザニアで住血吸虫症の予防手段を必要としている1080万人のうち27%の人々しか治療を受けられませんでした。

UNDPがWHOの熱帯病医学特別研究訓練プログラムおよびNGOであるPATHと共に実施している「アクセスと提供に関するパートナーシップ(ADP)」プロジェクトは、結核やマラリア、住血吸虫症などの顧みられない熱帯病に対する新しい医療技術の提供に向けた国内能力強化を支援しています。

そのひとつが、感染リスクの高い地域の子どもたちに住血吸虫症の予防薬を届けることです。

住血吸虫症の患者を減らすため、タンザニア政府は抗吸虫薬プラジカンテルの定期的な集団投与を行ってきました。薬の集団投与は、安全な飲み水へのアクセスと衛生改善、巻貝駆除の実施と併せて、感染を減らすことにつながります。

薬の集団投与は多くの場合、学校で実施されます。首都ダルエスサラームの郊外のこの学校では700人以上の子どもたちが年に2回、政府のプログラムを通じて予防薬を摂取します。ADPは、子どもたちへの予防薬投与を効果的に行えるよう、最前線に立つ医療従事者の訓練も支援しています。

子どもたちは、おなか一杯食べた後、通常食後2時間ほどたった時に薬を飲みます。タンザニアの伝統的な食事であるお米と豆はちょうどよい食事です。

「子どもたちはいつも家からお弁当を持って来るのですが、6ヶ月に1回は集団投与プログラムの一環として、こうして温かい食事を出します」と校長先生は話します。

最近まで、もっと小さい子どもたち(幼児と就学前児童)への予防薬投与はほとんど行われていませんでした。そこで、タンザニアのイファカラ保健研究所やその他の官民共同事業体が、グローバルヘルス技術振興基金(GHIT)の支援を受けてプラジカンテルの小児用薬の開発を新たに行っています。この新薬開発が実現すれば、集団投与の一環としてもっと小さい子どもたちにも薬を届けることができるようになります。

タンザニアはADPが日本政府から支援を受けている3つのパイロット国のひとつです。ここでADPは政府などの関係者と一緒に子どもたちを寄生虫感染から予防し、人々の健康を改善するための活動に取り組んでいます。小児用プラジカンテルなどの新しい医療技術の導入、サプライチェーンの管理システムの改善、そして既存の保健医療システムへの戦略的な投資などを通して、ADPはタンザニアの人々の健康に寄与しています。
 

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