TICAD V公式サイドイベント 公開シンポジウム開催報告: 「躍動するアフリカ:気候変動に強い開発の事例 ~日本政府支援による『アフリカ気候変動適応支援プログラム』より」

2013/06/01

スピーチをするヘレン・クラークUNDP総裁 Photo:UNDP Tokyo


2013年6月1日、横浜で開催された第5回アフリカ開発会議(TICAD V)公式サイドイベントとして、国連開発計画(UNDP)主催・外務省共催でシンポジウム「躍動するアフリカ」が開催されました。シンポジウムでは、 2008年のTICAD IVで設立された「アフリカの気候変動対策に関するパートナーシップ構築のための『日・UNDP共同枠組み』」に基づき、日本政府が9210万米ドルを拠 出、UNDPが2009年から2012年にアフリカ20か国で実施した「アフリカ気候変動適応支援プログラム(Africa Adaptation Programme: AAP)」の成果が発表されました。

本シンポジウムには、多くの参加者に来場いただき、満席で立見が出るほどになりました。また、シンポジウムの模様はインターネットを通じて全世界に中継さ れ、シンポジウムが開催されている間、ツイッターを通して世界各地から質問やコメントを受け付けました(シンポジウムの動画=英語版=は、こちらからご覧いただけます)。さらに、このシンポジウムの模様は、NHKニュースでも取り上げられました。

シンポジウムでは、ブレーズ・コンパオレ ブルキナファソ大統領、松山政司 外務副大臣から開会の辞をいただき、ヘレン・クラークUNDP総裁が基調講演をしました。

開会の辞で、コンパオレ ブルキナファソ大統領は「現在、アフリカの国々は開発に向けた様々な深刻な課題に直面してい ます。その中で、アフリカ各国が気候変動のリスクに対して対策を取ることが、アフリカの未来にとってますます重要になってきています。しかし対策を取るた めの手段や戦略計画の策定が必要です」と述べました。コンパオレ大統領は「ブルキナファソは、2008年よりAAPを通して能力強化に努めてきました。 我々は、AAPがアフリカにおける持続可能な開発の進展に多大な貢献をしたと認識し、AAPを継続・拡大させたいと考えています」と述べました。

続いて、松山政司 外務副大臣は、AAPが昨年末に成功裏に終了し、アフリカ各国からの高い評価や継続を望む声も多く 得ていることに触れ、日本として、AAPの成果を活用した更なる取り組みができないか検討していきたいと述べました。さらに、アフリカは気候変動の影響に 脆弱な地域であり、気候変動対策はアフリカの開発を進める上で大きな課題のひとつとなっているとの認識を示した上で、日本がTICADの枠組みで提案した 『アフリカ低炭素成長・気候変動に強靭な開発戦略』の策定について、同戦略の柱となる分野を中心に支援をこれからも行っていきたい、と述べました。

ヘレン・クラークUNDP総裁は、基調講演で、日本とUNDPのパートナーシップにより達成した、アフリカ諸国への支 援におけるこれまでの成果に焦点を当て、AAPを契機に今後この成果をさらに進展させていくことが重要と述べました。また、「これまでにAAPの取り組み において、アフリカ各国の素晴らしいリーダーシップとパートナーシップを得てきました。我々は、必要な資源やコミットメントがあれば、気候変動に左右され ない開発は可能であると知っています。この取り組みにおいて今後も我々の役割を果たしていきます」と述べました。

続いて、2008年5月のプログラム発足当初からAAPのプログラム・マネジャーを務めるイアン・レクター氏が発表を 行いました。レクター氏は、AAPの大胆で独特な組織体制や、UNDPがAAP対象各国で行ってきた数々の支援、そして気候変動適応と開発に対して戦略 的・包括的なアプローチをとるために人材育成を行うというプログラムの着眼点について説明をしました。また、レクター氏は「プログラムの名前には『適応』 の文字が使われていますが、AAP自体は気候変動適応のプロジェクトではなく、実は気候変動適応分野における長期的な取り組みに向けた基礎を築く戦略的イ ニシアティブです。AAPにより育まれたシステム、能力、技術は、気候変動適応の分野を超え、今後さらに広範な開発への取り組み、貧困削減、危機予防、防 災において活用されていくことでしょう」と述べました。

レクター氏によるプログラムの概要説明の後は、ガーナ、ナミビア、マラウィの3か国でのAAPの取り組み事例が紹介されました。

ガーナ国家開発計画委員会の主席アナリストであるウィンフレッド・ネルソン氏は、気候変動対策を主流化させるため、国 レベルの政策立案者と地方の立案者を同時に関与させるという、AAPがガーナでとった二重のアプローチについて紹介しました。ネルソン氏は「ひとたび政策 立案者が課題を認識し理解すれば、彼らは次に実際の行動に移すことができます。気候変動という、多岐にわたって影響を及ぼす課題に取り組むため、我々は、 総合的で能動的、かつ的を絞ったアプローチをとる必要があります。未来を予測する一番の方法は、自らの未来を創造していくことです」と述べました。

次に、ナミビア出身のヴィクトリア・ハンゴ氏が、気候変動の脅威に対する地元農業コミュニティの適応能力向上を目指し て実施したパイロット・プロジェクトについて語りました。ハンゴ氏は、貯水の効率化、耕作技術の工夫、家畜の多様化等、簡易で低予算の方法をいくつか組み 合わせて実施することで、不規則な降雨や雨量の減少に対し、コミュニティがいかにより良く適応できるようになったかについて説明しました。ハンゴ氏は「こ うした農業における様々な取り組みは、予算上では小規模ですが、食料安全保障や気候変動に対する強靭性の構築といった点において、非常に大きな効果をもた らすことができます。パイロット・プロジェクトを実施したコミュニティでは、より多様で、より生産性が高く、より安定した農業生産が行われるようになりま した。その結果、コミュニティでは、食料の摂取量が増えるだけでなく、より多くを売ることができるようになりました」と述べました。

最後のパネリストとして登壇したマラウィ経済計画開発省の経済計画局長であるヨナ・カンパレ氏は、マラウィの「国家気 候変動投資計画」の策定に対し、AAPが重要な役割を果たした点を説明しました。同投資計画は、10年間に1億400万米ドルの資金を主要な気候変動関連 の開発プロジェクトに投資することを目的としたものです。カンパレ氏によると、AAPは技術をもたらし、技術者や政策立案者を養成し、調査を行い、計画支 援に関する資料を作成しましたが、これらは全て、この投資計画の策定に活用されました。カンパレ氏は「この投資計画は、政府、民間セクター、市民社会から 政策実施のために必要な資金を結集する、主要な手段です。この計画により、人々の生計はより良い方向へと向かうでしょう」と述べました。

300人を超える聴衆は、日本語に訳されたAAPの成果報告書(英語)AAPの「コミュニティー新聞」最終号(英語)を手にしました。また、来賓客には、出版されたばかりの、AAP実施に携わった方々からの報告をまとめたレポート(英語)が配布されました。

※シンポジウムの写真はこちらから、TICAD V会期中の写真はこちらからご覧いだけます。 

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