BOP・インクルーシブビジネス支援セミナーを共催:社会性と経済性の一致による新規市場開拓のあり方について議論

2015/01/26

セミナーで挨拶する近藤哲生 UNDP駐日代表 Photo: UNDP Tokyo

国連開発計画(UNDP)では、開発課題の解決には民間セクターとの連携が不可欠だという考えのもと、インクルーシブビジネス*1を積極的に促進しています。その一環として、2015年1月26日、「BOP・インクルーシブビジネス支援セミナー」を一般財団法人貿易・産業協力振興財団(主催)と共催しました(後援:経済産業省)。

セミナーには、約230人が参加。冒頭で、近藤哲生UNDP駐日代表は「2015年は、世界の防災戦略と行動枠組みの策定、持続可能な開発目標の策定、地球温暖化に対応する新たな枠組みの採択など、国際社会の未来に向けた目標や行動の枠組みが決まる重要な年になります。これらの目標の達成には、すべてのステークホルダーの貢献が求められますが、とくに民間セクターは優れた技術や製品・サービスによってさまざまな開発ニーズに応えることが可能で、国際社会に大きく貢献することが期待されます。その期待に応えるためのインクルーシブビジネスを成功させる際にカギとなるのが、開発途上国の現地事情や制度に知見のあるNGO、UNDPのような開発機関、現地政府、そして、資金調達先となる金融機関などとのパートナーシップの構築です。本日は、その金融機関と企業の方々にご登壇頂いており、いかに社会性と経済性を一致させてインクルーシブビジネスを持続的に推進できるか、会場の皆様にインクルーシブビジネス成功への糸口を見つけて頂く機会となれば幸いです」と挨拶をしました。

セミナーの前半では、インクルーシブビジネスの先行事例として、リコーの環境推進本部社会環境室CSRグループの赤堀久美子シニアスペシャリストから、プロジェクターを活用したインドにおける教育サービス事業、また、皮革・毛皮製品の製造・販売を行うヒロキの権田浩幸代表取締役より、エチオピアの羊・ヤギ革を材料とした衣料やバッグの製造・販売と、現地への縫製技術の移転と人材育成について紹介されました。

続いて、慶應義塾大学大学院の岡田正大教授をモデレーターとして、パネリスト7人による、パネルディスカッションが行われました。このなかで、白井エコセンターの滝口千明取締役社長から、ケニアで来年、事業開始を予定している、病院からの廃棄物などを含む有害廃棄物処理事業の内容、それに向けた資金調達計画などが紹介されました。また、日本ポリグルの小田兼利取締役会長からは、2004年に海外展開を始めた水質浄化剤を活用したインクルーシブビジネスの内容と、これまでに経験した資金調達のむずかしさが語られました。

さらに、インクルーシブビジネスの資金調達を支援する立場から、アフリカ開発銀行アジア代表事務所の玉川雅之所長、日本政策金融公庫の中小企業事業本部国際業務部の三好純部長、横浜銀行国際業務部の窪田和男担当部長より、とくに中小・中堅企業を対象とした、それぞれの資金調達支援や融資の枠組み・制度について説明がありました。また、日本貿易振興機構(ジェトロ)途上国貿易開発部の石井淳子部長より、ジェトロの海外ビジネス展開支援についての紹介がありました。

これを受けて、ヒロキからは、横浜銀行と日本政策金融公庫からの融資を活用して、エチオピア事業の実現に至ったことが紹介されました。一方で、その後のディスカッションでは、国内での実績が少ない中小企業が海外でビジネスを始めるにあたっては、金融機関から融資を得ることが課題としてあげられ、金融機関を交えて議論がなされました。会場との質疑応答では、融資の評価の際に、ビジネスの「経済性」だけでなく、「社会性」を充分に評価する必要性が指摘されたほか、質問が活発に寄せられました。最後に、政策研究大学院大学の大野泉教授より、「ポスト2015年*2の『共創』と『競争』の時代におけて、日本発のBOP・インクルーシブビジネスの発展は価値共創を通じた世界へのユニークな貢献となる」という総括コメントがあり、盛況のうちにセミナーは終了しました。

セミナー終了後には、恒例の名刺交換会・懇親会が開催され、政府機関、国際機関、有識者も参加して、多くのセミナー参加者と活発に意見交換がなされました。

*1インクルーシブビジネス:開発途上国の低所得層を生産者・労働者・消費者などとして取り込み、現地で雇用や商品・サービスを生み出すことによって、これらの人々の選択肢の拡大と、企業の事業機会の拡大を同時に実現するビジネス。

*2ポスト2015年:「ミレニアム開発目標」(MDGs)の達成期限である2015年以降の国際社会のことを指す。現在、MDGs後の開発目標「ポスト2015開発アジェンダ」の策定が進んでおり、2015年9月の国連総会で採択される予定。

【プログラム】
1.開会
主催者挨拶:一般財団法人貿易・産業協力振興財団 理事長 日下一正氏
共催者挨拶:国連開発計画(UNDP)駐日代表 近藤哲生
後援者挨拶:経済産業省 貿易経済協力局 通商金融・経済協力課長 小野洋太氏

2.先行企業による事業紹介・Q&A
株式会社リコー 環境推進本部 社会環境室 CSRグループ シニアスペシャリスト 赤堀久美子氏
株式会社ヒロキ 代表取締役 権田浩幸氏

3.パネルディスカッション

パネリスト:
白井エコセンター株式会社 代表取締役社長 滝口千明氏
日本ポリグル株式会社・POLY-GLU SOCIAL BUSINESS株式会社 代表取締役会長 小田兼利

株式会社ヒロキ 代表取締役 権田浩幸氏
アフリカ開発銀行 アジア代表事務所 所長 玉川雅之氏 
株式会社日本政策金融公庫 中小企業事業本部 国際業務部 部長 三好純氏
横浜銀行 国際業務部 担当部長 窪田和男氏
独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ) 途上国貿易開発部長 石井淳子氏

モデレーター:
慶應義塾大学大学院 経営管理研究科 教授 岡田正大氏

4.総括コメント
政策研究大学院大学 教授 大野泉氏

※当日の講演資料は「BOPビジネス支援センター」のイベント情報サイトに掲載されています。

 

UNDP Around the world

You are at UNDP Tokyo 代表事務所
Go to UNDPグローバル