慶應義塾大学でのヘレン・クラークUNDP総裁の講演(要旨)

2015/11/25

Photo: UNDP Tokyo/Yukiko Abe


「私たちの望む世界:2030年にむけた持続可能な開発と若者のリーダーシップ
(The World We Want: The Sustainable Development Goals and Youth Leadership)」


日時: 2015年11月24日(火)15:00-16:00 
場所: 慶應義塾大学三田キャンパス 北館ホール
主催: 国連開発計画、慶應義塾大学法学部、慶應義塾大学国際センター

2015年11月24日、国連開発計画(UNDP)と慶應義塾大学は連携協定を締結しました。調印式後、ヘレン・クラークUNDP総裁は、慶應義塾大学で「私たちの望む世界:2030年にむけた持続可能な開発と若者のリーダーシップ(The World We Want: The Sustainable Development Goals and Youth Leadership)」と題して講演しました。クラーク総裁は、はじめに、慶應義塾大学の創始者である福沢諭吉に敬意を表した後、世界が抱える様々な課題として雇用問題、不平等、紛争、自然災害及び気候変動等の環境問題に言及しました。講演を通じて、それらの地球規模課題によって多大な影響を受ける若者に対して、変革の実行を担っていくことに期待を示しました。

若者の変革者としての潜在能力
地球規模の課題に適応していく上で、若い方々は、現在及び未来において、重要な役割を担います。若者をサポートする環境と機会があれば、彼らのエネルギー、革新性そして楽観的意識は課題の解決に向けて積極的に貢献しますが、反対に、阻害され、失望していれば、そうした貢献は望めません。

私たちの世代は、極度の貧困を根絶できる最初の世代であり、最悪な気候変動を防ぐことができる最後の世代です。しかし、世界中の若者は、以下の理由により、変革者や社会企業家としての潜在性をしばしば阻害されています。
・ 不均衡な失業(2014年、世界で約7300万人の就業年齢の若者が失業)
・ 教育・職業訓練へのアクセスの欠如
・ 政治参加における高齢層の独占と若者の排除
・ 女児及び同性愛者に対する差別
・ 紛争と暴力(若者の1/3が武力紛争の危険性をはらむ国に居住)

そして、若者がコミュニティや社会にポジティブな変革をもたらしたとしても、その努力は正当に認められない、または過小評価される可能性があります。

若者のための分岐点としての2015年
2015年は、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、17の目標と169のターゲットからなる「持続可能な開発目標(SDGs)」が設定された年です。この新しい開発目標は、経済・社会・環境という、持続可能な開発に要する3つ全ての側面を備えており、若者とその社会に影響を与え、相互に連結した課題に対処するものです。この目標策定プロセスを包括的にする観点で、若者は、彼らのニーズやアイディアを公的機関に伝えたことによって、大きな役割を果たしました。

2030アジェンダは、以下のコミットメントを含みます。
・ 平和的で包括的な社会の推進
・ 極度の貧困の撲滅
・ 生と生殖に関するヘルスケアへのアクセスの確保
・ 平等な教育の機会
・ 女性及び女児へのあらゆる暴力の排除
・ 平等かつ生産的な雇用の確保
・ (今後15年で必要とされる)4億7000万の働きがいのある人間的な仕事の創出

本年開催された主要な国際開発会議である第3回国連防災世界会議アディスアベバ行動目標および国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)の成果及びそれら会議への若者の参加は、SDGsを強化しました。

エネルギー、アイディアそしてコミットメントをもつ若者は、アジェンダ2030を実行する最適な主体であり、UNDPが慶應義塾大学と締結したパートナーシップ合意等を通じて、研究に基づいた計画の立案及びその実行に貢献するでしょう。

若者のパートナーとしてのUNDP
UNDPは開発と社会の発展に貢献する若者達のパートナーであることを約束します。UNDPが昨年立ち上げた「若者戦略」は、以下を目指します。
・ 若者が開発に参加する上での障壁を取り除くために、170か国以上に及ぶUNDPの拠点を活用
・ 特に脆弱なグループの女性及び女児に注意を払い、若者による起業や雇用、市民社会の巻き込み、政治参加に対するUNDPによる支援の拡大
・ 若者の利益となる法及び政策の改革支援
・ 若者のオンライン上及びオフラインでのネットワークの促進

既に我々の戦略と一致しているものとして、以下が挙げられます。
・ UNDPは、社会起業家や若い方々がコミュニティに変化をもたらすことができるよう、新しい機会を創造しています。

例1) 東ヨーロッパにおいてUNDPとUNICEFは、若者によって考案・設計・運営されているソーシャル・ベンチャー・インキュベーターを支援しています。
例2) UNDPネパール事務所は、若い世代がSDGsの実現に参画できるよう、若者の組織のネットワーク作りを支援し、 若者が主導する市民社会組織「Restless Development」とパートナーシップを形成しています。
例3) リベリアにおいて、エボラ出血熱からの救命活動として、エボラ出血熱に関心を集めるとともに予防に資する戸別訪問を実施する1300名の若者の雇用を支援しました。

・ UNDPは、政治的な決定や責任における若者の参加を国家に促しています。昨年、UNDPがラテンアメリカ・カリブ地域から若い議員、政治家を招いた結果、若者の政治参加を促す2つの法案が準備されました。
・ 和平プロセスへの若者の参加を促進しています。8月にUNDPはヨルダン政府と共に “The Global Forum on Youth, Peace and Security” を結成しました。100か国以上から500を超える政府関係者、政策の専門家、若者主導の組織、若手の平和構築従事者が集結し、若者・平和・安全に関する新たな国際的アジェンダを構築しました。これにより、国際社会に若者の平和構築者としての役目を認識し、支援することを促す 「アンマン青年宣言」が採択されました。
・ UNDPは、若者の雇用に関する国連の戦略策定を主導する国際労働機関(ILO)のパートナーです。
・ UNDPは、オンライン・オフラインでのイニシアティブへの若者の巻き込みを支援しています。最近では、アジア中の教育現場において、LGBTI(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、インターセックス)の若者に安全な環境を創ることを目的とした#PurpleMySchoolキャンペーンを支援しました。
・ また、若者が、開発関連のビデオや写真、ストーリーのツイッターやフェイスブックへの投稿を通じて、UNDPと交流する日常的な機会も存在します。最近では、2016-2021 HIV/AIDS戦略の構築を支援するためのオンライン上のコンサルテーションを開催しました。より詳しい情報を得るために、ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)上で @UNDP や @UNDP4YOUTH をフォローしてください。
・ UNDPは、若者、国連加盟国、市民社会、国連組織とその他のパートナーが対話する場所と仕組みとして、引き続き、国連経済社会理事会(ECOSOC) ユース・フォーラムを支援します。次回は、2016年2月にニューヨークで開催を予定しており、特に2030アジェンダ実施における若者の役割を扱います。
・ アジェンダ2030を、国家及び地方の戦略・計画・予算に組み込むとともに、データシステムを強化するよう、UNDPは各国政府を支援します。若者戦略における国連機関間のネットワークにおいて、UNDPは、若者政策に開発の優先事項と一層の整合性をもたせ、若者のためにより効果的な国家政策の実施及び若者の国家の意思決定への参画を支援します。
・ UNDPは、若者の推進に対する弊害を特定する政府やパートナーを支援します。
・ UNDPは、国レベルにおけるアジェンダ2030のモニタリングや報告に若者を巻き込むことを支援します。例えば、若者が国家の指標の定義付けや若者主導のデータ収集・モニタリングに参画できるよう支援します。
・ UNDPは、日本政府によるジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)制度への支援に感謝しています。UNDPウェブサイトで、彼らの鼓舞させるストーリーを見ていただくことができます。
・ 世界中の国連ボランティアおよびプロジェクトの遂行や研究を支援する国連オンラインボランティア等、国連に若者を巻き込む機会はたくさんあります。

より多くの若者がこれらの世界中の取り組みに参画していただきたいです。

最後に
首相としての9年間を含む、ニージーランドにおける長きに渡る公務、そして現在のUNDPにおける立場から、若者の驚くべき活力とコミットメントが、物事を良い方向に変革する姿を目の当たりにしてきました。日々若者たちは、革命的な変革に向けた力を見せてくれます。

「私達のことを私達抜きに決めないで」ということわざがあります。アジェンダ2030の実現において、若い女性と男性をパートナーとして巻き込むことは、それ自体が権利であると同時に、今後15年間のアジェンダを成功させるための重要な条件なのです。アジェンダ2030を効果的に実現するために、若者のエネルギーを活用しなければなりません。

UNDPは、慶應義塾大学とともに、学生及び教員がこれらの新しいアジェンダに従事する支援をすることを楽しみにしています。

スピーチ全文(英語)はこちらから。

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