第7回NY発 UNDPの援助最前線レポート: エボラ復興に向け国際社会がニューヨークに結集

2015/07/29

エボラ支援国会合の会場。国連事務総長(写真中央)、UNDPヘレン・クラークUNDP総裁(同右)、AU議長のムガベ・ジンバブエ大統領(同左)。Photo:UNPhoto/Cia Pak


国連開発計画(UNDP)ニューヨーク本部対外関係・アドボカシー局ジャパンユニットの二瓶直樹です。7月10日ニューヨークで「エボラからの復興支援国会合」が開催されました。この週は国連経済社会保障理事会(ECOSOC)のハイレベルウィークが開催されていたため、世界中から国家首脳・大臣級の要人が大勢ニューヨークを来訪していました。参加者の多くがエボラ復興支援国会合にも出席され、日本からは中根一幸・外務大臣政務官が参加されました。今回はその復興支援会合の〝現場〟からレポートをお届けいたします。

復興支援会合は、潘基文国連事務総長の呼びかけで、UNDPが事務局として準備から開催までの調整等を担当しました。会場はニューヨーク国連本部内の約400人収容できる信託統治理事会会議場という場所で、ほぼ満席となりました。会合にはエボラ出血熱による多大な経済社会的損失を受けた西アフリカ3か国からギニアのアルファ・コンデ大統領、リベリアのエレン・ジョンソン・サーリーフ大統領、そしてシエラレオネのアーネスト・バイ・コロマ大統領が出席。アフリカ連合(AU)の議長を務めるジンバブエのロバート・ムガベ大統領も出席されました。今年91歳を迎えるムガベ大統領は1987年から28年間大統領を務めており、ムガベ大統領が側近に囲まれて会場入りした際は会場にどよめきが起きました。

会合前半では、3か国の大統領が各国のエボラ復興計画における必要資金や優先課題等を説明し、マノ河同盟サラン・ダラバ・カバ事務局長が3か国周辺も含め国境を越えた広域に及ぶエボラ危機の課題に対し、地域連合としての復興計画を説明しました。後半はUNDPのヘレン・クラーク総裁が議長を務め、参加各国や団体による支援内容の表明が行われました。

この会合における最も重要な成果は、エボラからの復興には継続的な国際社会の関与が不可欠で「エボラをゼロにするまで」国際社会が協力すると確認された点です。エボラは、国境をまたぐ感染症として大きな脅威であり、事態がある程度落ち着いたからといって油断できるものでありません。また、今回のエボラ危機が流行国の経済成長に与えた影響は非常に大きく、例えば2013年に約20%経済成長率があったシエラレオネは、エボラ危機後の2015年は約-25%と推定されています。また2013年には約9%だったリベリアの経済成長率は2015年には約0%になるだろうと予測されています。

各国の復興計画で基幹をなすのは、教育、保健、水供給といった社会セクターの復興です。中でも保健システムの強化が重要課題となっています。エボラ危機に対応できる十分な保健システムが整ってなかったが故に、各国は甚大な社会経済損失を被っています。このような課題に対応するためには、政府の能力の向上とともに、コミュニティレベルの対応能力の強化に取り組む必要があります。

クラークUNDP総裁が議長を務めた支援表明の際、中根一幸外務大臣政務官は日本による人的な緊急援助に加えて、8000万ドルの支援を発表しました。UNDPは日本からの拠出金約840万ドルを受け、2015年3月よりギニアで保健従事者の能力強化およびコミュニティにおける女性や脆弱層への支援、シエラレオネで治安部門のエボラ対応能力向上及び影響を受けたコミュニティの雇用・経済活動支援、リベリアで治安部門のエボラ対応能力向上及び、エボラの影響によるリスクがあるコミュニティのエボラ予防策支援を実施しています。これらはエボラによる危機対応および復興の両方を支援するものです。

今回の支援国会合は、エボラの問題が国際社会に忘れ去られないように長期的な関与を維持したという重要な意義を持っています。エボラの脅威という国境を越えた課題に西アフリカ3か国が協力し、更に国際社会とのパートナーシップを強化したことが重要なポイントです。会合にはエボラ支援に関与する国連加盟国、国連機関、世界銀行やイスラム開発銀行等の国際金融機関に加えて、民間企業も参加しました。エボラからの復興においては、公共セクターだけでなく、民間の関与は更なる経済活動活性化の側面からも重要となっています。日本のパナソニックもエボラの猛威後に、電気のない地方コミュニティ向けに、UNDPと連携してソーラーランターンを提供し、復興に大きな貢献をしています。

国連と国際社会は今回のエボラ会合の結果を受けて、支援額の数字に満足することなく、むしろ表明された支援が今後中長期的に実施されていくかを継続的にモニターしていく必要性があります。復興計画が適切に支援・実施され、西アフリカ3か国のエボラの脅威がゼロとなり、そして「より良い復興(ビルド・バック・ベター)」を成し遂げることが期待されています。UNDPは日本をはじめ各国と連携しながら、この問題に継続して取組んでいきます。

エボラ出血熱の流行
2014年2月から、西アフリカ3か国で流行。世界保健機構(WHO)の発表によると、2万7705人の感染、1万1269人の死亡が報告されている(2015年7月19日時点)。UNDPは流行の初期段階から国連援助機関の中核的な役割を担い、WHOや国連児童基金(UNICEF)等と協力し、エボラ感染患者に医療を提供する施設の支援、コミュニティにおける啓発活動、緊急の雇用創出、3か国政府の復興計画の策定などの支援を実施。2015年2月にはクラークUNDP総裁も感染3か国を訪問し、UNDPが現地の市民社会やNGOs等協力して実施するコミュニティレベルで行うエボラ対策の啓発活動など現場を視察した。

二瓶直樹
UNDP対外関係・アドボカシー局ジャパンユニット・JICA/日本連携アドバイザー---------------------------------------------------
2003年、国際協力機構(JICA)入構。以降、政府開発援助(ODA)業務に従事。2009-2012年、中央アジアのウズベキスタンにて、市場経済移行期の社会・経済開発を目的とした民間セクター及び法整備支援、運輸・電力インフラ支援に従事。2012年8月よりUNDPニューヨーク本部にて勤務。早稲田大学社会科学研究科修士卒。

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