人間開発報告書2015「人間開発のための仕事」刊行記念シンポジウム開催報告

2016/03/14

Photo: Yukiko Abe/UNDP Tokyo


セリム・ジャハン国連開発計画(UNDP)人間開発報告書室長の来日に合わせ、UNDPとJICA研究所は2016年3月14日、JICA研究所国際会議場において、人間開発報告書2015「人間開発のための仕事」刊行記念シンポジウムを開催しました。当日は雨天の中、大使館、国際機関、メディア、アカデミア、企業など多岐にわたる機関から100人に御参加いただき、満員御礼となりました。

冒頭、近藤哲生UNDP駐日代表が、人間開発報告書2015は、持続可能な開発目標(SDGs)を採択した2015年に発行されたものであるという観点からも重要な意味があり、経済発展と人間の生活の根源である「仕事」をテーマとして取り上げたと挨拶しました。

ジャハン室長の基調講演では、人間開発報告書2015で、人間開発と深い関わりのある仕事を取り上げた社会背景を説明しました。グローバル化とデジタル化は労働環境において機会とリスクを同時に創出し、労働環境の変化と不平等の拡大が進んでいると指摘しました。特にジェンダー不平等がもたらすマクロ経済への悪影響に着目し、無償労働の負担軽減と認識改革、男女間における平等な無償・有償労働の分担の必要性を強調しました。現場レベル及び政府レベルにおいて、人間開発及び環境の双方で持続性のある仕事を推進することが、SDGsの達成に寄与すると述べました。私たちの次の世代のために、平等で、持続可能で、ジェンダーに配慮し、安全な仕事を創出する必要があると訴えました。

基調講演に対するコメントとして、田口晶子国際労働機関(ILO)駐日代表は、人間開発報告書は非常に包括的な報告書であると高く評価した上で、労働環境におけるジェンダー不平等に対する是正の取り組みを紹介するとともに、この課題に対して関係する国際機関間での協力が必要であると述べました。

島田剛静岡県立大学国際関係学研究科・国際関係学部教授からは、カイゼンが雇用の拡大、従業員と管理職の協力及び平等な労働という3つの基本原則に寄与 しているという研究結果が共有されました。

質疑応答では、「持続可能な仕事」の定義、企業や中央銀行の役割、ボランティアと有償労働のバランス等について、参加者から質問が寄せられました。それに対し、ジャハン室長は、「持続可能な仕事」とは人間開発を促進すると同時に環境の観点で持続的な仕事であるとし、若い世代が関心を持つ社会的企業の広がりを紹介しました。また、ボランティアと有償労働はトレードオフではなく、共存するものであり、中央銀行は金融政策だけでなく完全雇用を目指すことが大切と公的機関が果たすべき役割について言及しました。

閉会挨拶として、畝伊智朗JICA研究所所長は「人間開発はGDP等の経済指標では測ることができない」と述べ、無償労働に対する正当な評価、貧困削減に資する質の高い成長そして日本政府による援助方針の柱である人間の安全保障の達成を目指すことを呼びかけました。

開催プログラムはこちらから。

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