トビー・ランザー国連事務次長補兼国連サヘル地域担当人道調整官による日本記者クラブ会見報告

2016/03/18



トビー・ランザー国連事務次長補兼国連サヘル地域担当人道調整官が3月18日、都内の日本記者クラブで、アフリカ大陸の中でも最も過酷な地理的、気候条件下にあるサヘル地域の人道支援をテーマに記者会見を行いました。サヘル地域には、ブルキナ・ファソ、カメルーン、チャド、ガンビア、マリ、モーリタニア、ニジェール、ナイジェリア、セネガルといった国が含まれます。サハラ砂漠南側の「サヘル地域」では現在、5人に1人が5歳を迎えずに死亡、7人に1人が十分な食事を確保できないなど、貧困や政情不安に苦しんでいます。また、3000万人がボコ・ハラムの活動の脅威にさらされているとも言われています。

ランザー調整官は、1992年から国連の開発・人道支援や平和維持活動に携わり、南スーダン共和国ミッション(UNMISS)国連事務総長特別副代表,国連常駐調整官兼人道調整官などを務め、2015年からサヘル地域の責任者を務めています。今回の会見で、サヘル地域におけるテロの脅威、危機、人道支援の必要性について語りました。伊勢志摩サミットに先立ち日本を訪れたランザー長官は、「日本の人たちが遠いサヘル地域で苦しむ人たちに支援の手を差し伸べていることに感謝したい。今年5月のG7伊勢志摩サミットをその大きな情報発信の機会にしてほしい」とも語りました。

質疑応答では、今もっともサヘル地域で必要とされている支援は何かという質問に対し、ランザー調整官は「農業の強化改善、質の高い教育の保障、母親が健康でいられるための保健医療、コミュニティ同士やコミュニティと市場をつなぐインフラ(道路)整備」の必要性を強調。また、ある少女とのエピソードも紹介しました。ランザー調整官は、サヘル地域のある村で出会った少女に、何歳なのか聞いたところ、彼女は「私は10.5歳です」と答えたそうです。この地域で半年を生き延びることがどんなに大変であるかを感じたといいます。また、将来の夢を尋ねたところ、「大きくなったら兵士になってこの村を守りたい」と返答しました。同地域では依然として絶望的な状況は続いていますが、ランザー調整官は「(長期に渡って苦境にあるサヘル地域に対して)マジックのような特効薬はなく、貧困から脱出した地域の成功事例等を生かしながら、筋道を立てたアプローチが大切」と訴え、「事態が改善すると信じなければ、活動を続けてはいない」とも語りました。

シリア難民問題をはじめ、世界各地で人道支援を必要とする事態が起きていることをうけ、5月には「世界人道サミット」がイスタンブールで開催されます。サヘル地域をはじめ、世界の人道問題が解決に向かうよう、国際社会のさらなる団結と支援が期待されます。

記者会見のレポートを、同クラブ企画委員、産経新聞社特別記者 宮田一雄氏にご執筆いただきました。

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