インドネシアで新たな持続可能性基準を満たす パーム油農家向けの制度が発足

2015/02/24

【2015年2月24日、インドネシア・ジャカルタ】
世界最大のパーム油生産国インドネシアは、国連開発計画(UNDP)の支援を受け、国内パーム油生産の約40%を担う小規模農家向けに、持続可能で環境に配慮した合法な農法で生産性を向上できるようにするための全国的認証プロセスを発足させました。

インドネシア農業省とUNDPは今週、国内屈指のパーム油生産地であるスマトラ島のリアウ州で、計2200人の農業従事者が加入する6つのパーム油協同組合を対象に「持続可能なパーム油のインドネシア国内規定(ISPO)」制度を活用する小規模農家向け認証ガイドラインを試験的に導入するプロセスに着手しました。

ISPOは2011年に発足した政府主導型の強制的制度ですが、小規模農家の認証を実施するのは今回が初めてです。その全体的な目的は、訓練や普及サービスへのアクセス拡大を通じて、営農方法の改善を図るとともに、国内独自の生物多様性を守ることにあります。ISPOによる認証はこれまで、民間企業のみを対象としていました。

ロスディアナ・スハルトISPO事務局長は、「インドネシア政府はISPOを通じ、小規模パーム油農家の認証に重点的に取り組んでいます。これは未だかつてない大きな一歩であり、試験段階の結果は、インドネシアの小規模農家全体の認証へとさらに前進する上で、重要な意味を持つことになります。この取り組みは、パーム油の生産性を高めながら、我が国独自の生物多様性を守ろうとする政府の姿勢の表れでもあります」と語っています。

ISPOは、国内の生産者全体(大規模農家から家族経営農家まで)を対象とする全国的認証制度で、農業における成功事例と環境管理に関する基準を定めています。「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)」の自主基準で定めるガイドラインとも整合するISPOは、パーム油のサプライチェーンで大いに必要とされる透明性と合法性を高めることによって、小規模農家の生活も改善すると見られています。

遠隔地で、ほとんど規制当局による監督もなく活動することが多い小規模農家(耕地面積25ha以下)はしばしば、農業に関するノウハウを欠いているため、大企業よりも生産性が低く、油やしを栽培するために樹木を伐採し、有害な化学物質を使用するなど、環境的に持続不可能な営農を余儀なくされています。また、こうした農家は、グローバル・サプライチェーンに統合されることが少ないため、金融面でも技術面でも置き去りにされています。

UNDP・グリーン・コモディティ・プログラムの宇野智之アジアマネジャーは「ISPOはインドネシアのパーム油農家にとって、運転免許証のようなものです。すべての農家に最低限の持続可能な要件を満たすよう求めることにより、政府は、小規模パーム油農家を正規化し、土地所有権や能力強化など、不可欠な支援を提供しようとしています。この待望の措置の導入で、インドネシアは営農とパーム油の経済的見通しを改善するだけでなく、国内の環境と森林を保護できるようにもなるでしょう」と語っています。

今回の試験的導入の結果にもよりますが、小規模農家の認証には、数か月を要すると見られています。この長いプロセスでは、ISPO監査官が農薬の使用と保管、種苗の購入や、パーム油の小規模栽培に必要となった開墾に関する主な情報を審査するほか、小規模農家に対するアンケート調査も数度にわたり行われます。

ISPOによる小規模農家認証は2014年、インドネシア農業省とUNDPが、低所得油やし農家の生産性向上とパーム油部門の環境管理改善への協力をねらいに正式に立ち上げた「持続可能なパーム油イニシアティブ」の一環として、試験的に導入されたものです。このイニシアティブは全国レベルで活動を展開しているほか、3つの州(リアウ、西スマトラ、西カリマンタン)で試験的事業を実施しています。

編集者注:
油やしは赤道付近の北緯・南緯10度以内の熱帯でしか育ちません。パーム油は、油やしの果実を圧搾機で潰した果肉から抽出される食用植物油です。過去数十年にわたり、食用植物油の需要は増え続けており、世界需要に対応するため、パーム油プランテーションはその数、規模ともに拡大しています。

インドネシアは現在、世界最大のパーム油生産国です。2013年の時点で、インドネシアの油やし栽培面積は約1000万ヘクタール、パーム油生産量は2700万トンに上るものと見られています。インドネシアは2020年までに、パーム油生産量を4000万トンに増大させようとしています。

パーム油はインドネシアにとって、国家開発を支える戦略的価値があります。パーム油プランテーションは、農業ビジネス開発の原動力として、数千人分の雇用機会を作り出し、国家財政に欠かせない財源となっています。

パーム油はマーガリンやチョコレートから、アイスクリーム、石鹸、化粧品、さらには自動車や発電所の燃料に至るまで、幅広い製品に用いられています。

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