駐レバノン日本大使がUNDPとUNHCRとともにレバノンのシリア難民と受け入れコミュニティ支援事業を共同視察

2016/09/19

2016年9月19日、ニューヨークで開催された国連難民と移民に関するサミットに合わせて、大塚聖一・駐レバノン日本国特命全権大使、UNDPおよびUNHCRは、去年12月に緊急無償資金協力として200万米ドルを拠出した、べッカー県カッブ・エリアス村のシリア難民を受け入れたコミュニティと難民支援活動を共同視察しました。Photo: UNDP


「長引くシリア危機の中で、私たちはシリア難民とレバノン人の双方に利益をもたらす長期的な解決策が必要なのです。人道支援と開発協力との連携を強めるため、1年前に日本政府は緊急無償資金拠出を発表しました。本日、私たちはその成果を視察しました」と大塚聖一駐レバノン日本国特命全権大使は述べました。

日本政府からの100万米ドルの拠出金により、国連開発計画(UNDP)は農業用地への水の配水効率を上げるため、セメント製の11キロにおよぶ農業用水路を建設することで、水の供給が60%向上し、その結果農業生産率が30%向上すると見込まれています。また、500人の農民に対し、農業ビジネスだけでなく、保険や医療保障へのアクセスなどの協同組合制度に関するトレーニングも実施しています。これによって、1100人のレバノン人と800人のシリア難民が直接的な恩恵を受けました。

ルーカ・レンダUNDPレバノン事務所長は日本の支援は、農業で生計を立てているシリア難民を多く迎え入れているカッブ・エリアス村に対して、連帯の重要性を呼びかけています。この新しい農業用水路により農業生産率が向上し、レバノン人とシリア難民の双方に経済的機会が広がることで、社会が安定し、平和的な共存が実現できるのです。UNDPは、日本によるこの重要案件のパートナーとなれたことを光栄に思います」と語ります。

視察団一行は、農業用水路の落成式を行い、この水路により恩恵を受けている農民と対面しました。新しい水路により、この地域ではリンゴ、桃、豆やズッキーニなど様々な農作物が栽培できるようになりました。また、かつて必要とされていた給水車やディーゼルモーターによる灌漑の必要がなくなり、費用も節約できるようになりました。

スヘール・エル・ガリ社会問題省ナショナルコーディネーターは、「レバノンの受け入れコミュニティ支援プロジェクト(LHSP)は2013年以来、シリア危機の影響で負荷を強いられている脆弱なコミュニティの社会的安定と生計向上に重要な役割を果たしています。このプロジェクトは、地元コミュニティやステークホルダー、カッブ・エリアスの自治体によって優先事項に指定され、リスクと資源マップ(MRR)を通してLHSPによって実施されています」と述べ、「このプロジェクトは、ベッカー県の農業セクター支援を通して農民を定住させることにつながっています。ベッカー県は、耕作に適した土壌を有することから、レバノン国内に良質な農産物を供給するためにもこの支援は重要です」と付け加えました。

ジハッド・アル・モウアレム、カッブ・エリアス村長は「カッブ・エリアス村には、約3万人のシリア難民が30以上の非公式な難民キャンプに居住しており、この村の社会・経済セクターや住民に負荷がかかっています。この社会経済的プロジェクトにより、雨に頼らず、灌漑による農業で生産性が上がることによって農民の収入が増えることは、ベッカー県に利益をもたらすでしょう。本日、新しい農業用水路により農地に水が届くことによって、夏季の農業生産も上がるでしょう」と語りました。

ビラル・フセイン・フエロー水管理委員会員は「以前は水の損失が多く、水やりに2時間もかかっていました。新しい用水路によって農地に水が5分で届くようになりました」と述べました。

大塚駐レバノン日本国特命全権大使は、日本の支援によってUNHCRが運営する7つのコミュニティセンターのうちの1か所を訪問しました。カッブ・エリアス村にあるこのセンターは、レバノン人とシリア難民が集い、語学の授業や技能訓練、また心理的社会的支援を受けられる安全な場となっています。

レバノン国内に設置されたコミュニティセンターを通して、UNHCRは脆弱なレバノン人とシリア難民に対してコミュニティサービスや社会的サービスを提供することにより、シリア危機の影響を受けたコミュニティの強靭性を高め、コミュニティ間の社会的一体性を促進しています。

ミレイユ・ジラールUNHCRレバノン事務所長は、「日本政府による寛大な支援により、シリア危機の影響をもっとも多く受けた場所で、私達は脆弱なシリア難民とレバノン人の両方が必要とするサービスや活動を行うことができるのです。本日視察したようなコミュニティセンターは、レバノン人とシリア難民が集い、技術を習得し、共存できる場として機能しています」と話しました。

日本政府による拠出金により、北レバノン県とベッカー県の1万人以上が、コミュニティセンターのサービスを受けました。このセンターでは、非公式な技術訓練、社会的活動や娯楽、また語学や識字、算数などの学習活動を利用者に提供しています。もっとも脆弱な人々は、心理的社会的支援も受けられます。

大塚駐レバノン日本国特命全権大使は、今回の視察で、サービスの最新情報を散居する難民に提供するとともに脆弱なケースを報告する重要な役割を果たすアウトリーチボランティアと会う機会もありました。日本政府による拠出金は、これらのボランティアによって実施されるアウトリーチ活動にも充てられています。

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