新報告書「アジア太平洋地域のマラケシュ条約に関する課題」、アジア太平洋地域にて出版物利用に障がいのある人たちへの情報アクセスを提唱

2017/12/01

【2017年12月1日 ニュージーランド・ウェリントン】

国連開発計画(UNDP)、世界盲人連合アジア太平洋地域協議会(WBUAP)、EIFL (Electronic Information for Libraries) は「アジア太平洋地域のマラケシュ条約に関する課題」と題する報告書を発表しました。同報告書は視覚に障がいがあったり、その他印刷物の判読に障がい (print disabilities)のある人たちが、情報や知識に対等にアクセスできない現状を終わらせることが、包摂的な世界への重要な一歩であると訴えています。

12月3日の国際障がい者デーに合わせて発表されるこの報告書は、「盲人・視覚障がい者及び印刷物の判読に障がいのある人たちへの出版物へのアクセス促進のためのマラケシュ条約」に関する複雑な問題を要約し、条約のメリットを示し、アジア太平洋諸国に対し条約の批准と実現を呼び掛けています。

世界盲人連合の推計では、点字・録音・電子書籍・拡大文字等、印刷物利用に障がいのある人たちが利用できる形式になっている出版物は、途上国で1%以下、先進国でも7%であるといわれています。この「本の飢餓」と呼ばれる状況が原因で、世界中の何百万人という印刷物利用に障がいのある人たちが人間開発の機会を得られず、排除、社会的孤立や貧困の中に置かれています。障がいのある人たちは、経済・社会・文化の進歩から取り残され、多くが最貧困層に属しています。

この「本の飢餓」を終わらせるために2013年、国連機関の一つである世界知的所有権機関(WIPO)の加盟各国により、「マラケシュ条約」という著作権に関する国際条約が採択され、昨年発効しました。マラケシュ条約は、人権の原則を核とする初めての著作権に関する条約ですが、アジア太平洋地域でこの条約批准国に仲間入りしているのは7か国に過ぎません。

田畑美智子WBUAP会長は「『本の飢餓』により、印刷物判読に障がいのある人たちから、教育・雇用・健康・文化その他様々な政治的・経済的・社会的活動へのアクセスが奪われています。障がいのある人たちを排除することは、障がい当事者だけではなく、市民社会全体としての損失です。アジア太平洋地域のすべての国に対し、マラケシュ条約へ加盟し『本の飢餓』を終わらせるよう呼びかけます」と語っています。

マラケシュ条約を批准し実現することで、地球上の「誰をも置き去りにしない」という理念を軸とする持続可能な開発目標(SDGs)の実現にも大きく貢献します。

UNDPアジア太平洋地域事務所のナディア・ラシードHIV・保健・開発チームリーダーは「アジア太平洋地域の視覚やその他読書に障がいのある人たちは、これまで出版物に十分なアクセスができませんでした。マラケシュ条約加盟国をアジア太平洋地域で広げることは、情報と知識への基本的権利と、誰も取り残さない包摂的な世界の実現に非常に重要です」と語っています。

アジア太平洋地域は世界で最も視覚障がい者が多く、全盲の人が2140万人、中度から重度の視覚障がい者全体で1億3500万人と推計されています。人口の急速な高齢化や失明を引き起こす可能性がある糖尿病など慢性疾患の拡大で、出版物判読に障がいのある人々は今後増加すると予想されます。そのため、障がい者を包摂する「誰をも置き去りにしない」持続可能な開発の実現に向け、印刷物をアクセシブルな形式で利用できる重要性はますます高まると見られています。

リマ・クプリットEIFLディレクターは「世界中で図書館はアクセシブルな形式の読み物が利用できる大切な場所の一つです。EIFLでは、出版物判読に障がいのある人たちへのサービス向上の機会となるマラケシュ条約批准を推進し、人々の生活を改善し人生のチャンスを増やすことにコミットしていきます」と語っています。

報告書はこちらから、PDFとアクセス可能なフォーマット(点字データ、アクセシブルなワード形式、プレーンテキスト、HTML、MP3音声データ)でダウンロードできます。

 

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