2019年3月、UNDPは日本政府の補正予算から約1億8,063万ドル(約202億円) の拠出を受け、アフリカ、中東、欧州、アジアの32の国と地域で、緊急性の高い33のプロジェクトを開始しました。いずれの支援活動も日本政府の開発協力の重点方針に合致するとともに持続可能な開発目標(SDGs)達成及び人間の安全保障に資するもので、UNDP現地事務所では日本人職員・国連ボランティア32名(2019年3月現在)が今回の案件形成や現場の活動に貢献しています。
サハラ砂漠以南のアフリカ地域では、ナイジェリア・南スーダン・カメルーンなど9カ国で10件のプロジェクトが展開され、国際テロ対策の強化及び地域の安定化支援、法の支配やPKOセンター支援、難民と難民のホストコミュニティに対する支援などに幅広く活用されます。8月に横浜で開催される第7回アフリカ開発会議(TICAD7)に向けて、共催者であるUNDPでは日本人職員が顔の見える支援を活発に行っています。
北アフリカ、東欧を含む中東・欧州においては、シリア・イラク・ヨルダンなど13の国と地域で12件のプロジェクトに活用され、地域の安定化や経済開発・社会安定化支援、人道支援と開発支援の連携による難民と難民のホストコミュニティに対する農業・生計向上支援などが進められます。さらに、ウクライナへの経済復旧支援も実施されます。
アジア・太平洋地域では、パラオ・マーシャル諸島・ミクロネシアなど9カ国で、津波や自然災害の防災・減災に向けた対策、暴力的過激主義の防止及びPKOセンター支援などが進められます。アフガニスタンでは治安の安定化に向け、女性警察官の訓練などが行われます。
UNDPにとって日本は、ドイツに次いで2番目に大きい支援国です。2018年、UNDPは日本から計約3億5千万ドルの支援を受けました。近藤哲生UNDP駐日代表は、「世界では、長引く紛争や暴力的過激主義の蔓延、格差の拡大、気候変動による悪影響などの問題が山積しています。そんな中、UNDPでは日本人職員がナイジェリア、イラク、スーダンなどの活動の最前線に立ち、一人一人が尊厳と権利を持って生きられるよう、日本政府と緊密に連携しながら『誰一人として取り残されることない』世界の実現を目指しています。今回の日本の多額の拠出金は、SDGsや人間の安全保障達成に向けた日本のリーダーシップのあらわれであり、心より感謝申し上げます。」と述べました。
今年、UNDPはアフリカ各国首脳の参加のもと、日本政府とTICAD7を共催します。UNDPのアフリカの開発に向けた支援が関心を集める機会が増えることが期待されます。
世界各地で活躍する日本人職員(矢印をクリック、もしくは写真をスライドしてご覧ください)