第3回国連防災世界会議パブリック・フォーラム 「防災における女性のリーダーシップ」での ヘレン・クラーク国連開発計画(UNDP)総裁基調講演

2015/03/15

Photo: UNDP Tokyo/YukikoAbe


【2015年3月15日、仙台】
「防災における女性のリーダーシップ」をテーマにしたパブリック・フォーラムでご挨拶を行うことができまして、大変光栄です。

このフォーラムを国連開発計画(UNDP)と共催するとともに、防災世界会議を快く受け入れていただいた仙台市に感謝いたします。災害リスク削減と女性のエンパワーメントに対する皆様の真摯な取り組みは、称賛に値します。

また、各分野でそれぞれ、災害リスク削減の主流化を専門とされているパネリストの方々も歓迎いたします。

本日のテーマは、極めて重要なものです。災害はこの20年間、100万人以上の命を奪い、40億人以上に被害を及ぼし、グローバル経済に少なくとも2兆ドル(約240兆円)の損害を与えました。これらの災害は、人々の生活を破壊し、各国の経済に悪影響を及ぼし、開発の成果を損なわせてきました。

2011年、日本の近代史上最大の自然災害となった地震と津波に襲われた日本の方々、特に東日本で暮らす方々は、このことを痛感されていることでしょう。

先ほどご紹介したUNDPのビデオでは、気候変動の影響でゆっくりと進む自然災害の影響が映し出されていました。数百万人が、異常気象による災害と開発の後退という悪循環の中で暮らし、貧困と不安の中で身動きできなくなっています。災害リスク削減を語る場合には、気候変動によって生じる脆弱性の高まりを注視する必要もあります。

2005年、神戸で発足した災害リスク削減に関する兵庫行動枠組(HFA)は当時、災害を防止、軽減するとともに、これに備えるための取り組みを拡大する必要があることを最もはっきりと認識した文書でした。これを起点とする10年間の前進で、168か国が防災対策を強化し、リスクを軽減し、強靭性を構築してきました。

世界の災害に対するアプローチも、主に人道支援を中心とした対応型のアプローチから、災害リスク削減が開発にとって不可欠であり、これを開発の主流に取り入れなければならないという認識の高まりを反映するものへと変わってきています。

しかし、女性と女児は今のところ、災害リスク削減の設計、策定、実施からかなり頻繁に除外されています。

その最終的な結果として、早期警報システムや緊急時対応計画、長期的復興といった重要な分野を含め、ジェンダー固有の懸念や能力が災害管理から除外されたままになるという「強靭性の格差」が生じています。それでも、防災や救済、復興の成功に女性の参画とリーダーシップが不可欠であることに変わりはありませんが、悲しいことに、女性は災害で不当に大きな影響を被っているのが現実です。女性は全般的に、大規模な自然災害の発生時と発生後に命を失う可能性が男性よりも高くなっています。1991年にバングラデシュを襲ったサイクロンによる死亡率は、男性の千人当たり15人に対し、女性は71人と圧倒的に高くなっています。

このように女性の脆弱性が高いことには、社会的、文化的要因が影響しています。女性が夫の許可なしに家を離れられないという社会もあります。災害の危険が迫っても、思春期の女児はジェンダーに基づく暴力を恐れ、避難所への移動を躊躇することがあります。

また、女性が土地その他の財産や融資、さらには基本的情報といった重要な資源を平等に得られない場合、ジェンダーの不平等は、女性が災害から立ち直る能力にも影響を及ぼします。

1981年から2002年にかけて141か国で生じた自然災害を見ると、女性は男性よりも、自然災害によって平均余命が大きく縮んでいることが分かります。この平均余命におけるジェンダー格差は、女性の社会的、経済的、政治的地位が極めて低い場所で大きくなっています。よって、ジェンダー平等や貧困、開発の水準はいずれも、災害に対するコミュニティの包括的準備態勢がどれだけ整っているかに影響してきます。

そうはいうものの、女性はコミュニティの強靭性を高め、復興への取り組みを支え、自らのニーズと懸念への対処を確保するうえで、欠かせない役割を演じます。先ほどのビデオにもあったとおり、女性は災害に襲われた際、第一線に立って復興を促進します。干ばつによって料理用の薪が手に入りにくくなった時も、鉄砲水で作物が破壊された時も、女性はあらゆる条件下で、家族の食卓に食事を運ぶ責任を果たさねばなりません。ビデオで見たとおり、この状況こそが、女性に斬新な解決策の応用と発見を促しているのです。

日本政府は、災害対策へのジェンダーの視点の統合を先頭に立って進めています。例えば、日本が2013年に策定した災害対策と対応に関するガイドラインには、次の要素が含まれています。

・避難所において、女性と子どもを暴力から守る安全対策の維持を確保する
・地方自治体において、防災を担当する女性職員を増員する
・女性のみで計画策定会合を開く

ガイドラインは、女性の被災者の就職を支援する必要性など、災害発生後の重大な懸念にも取り組んでいます。これはまさに賞賛すべき取り組みであり、他国もこれに学ぶことができます。

UNDPでは、災害リスク削減計画と復興における女性のリーダーシップ推進を、各国の強靭性向上に向けた取り組みの支援に取り入れています。具体的には、ジェンダーに対応した災害リスク削減の法的枠組みの策定、政策決定機関への女性の参加推進、ジェンダーに対応したガイドラインとデータベース・システムの開発、さらには現地での計画、情報提供、復興活動への女性の取り込みがあげられます。

例えば、UNDPとUN Women(UN ウィメン)を含むパートナーはベトナムで、国内災害リスク管理システムへの女性の包摂を支援しました。このプロジェクトでは、地方、地区、そして全国レベルで、女性団体の専門的スキルを向上させることをねらいとする具体的な訓練を通じ、気候関連災害の文脈における女性の役割を強化することに重点を置きました。その結果、女性の政策決定への参加が拡大しました。2013年10月には、同国の災害リスク管理システムの一環として、ベトナム女性連合が法的な承認を受けました。

私たちは全世界でのUNDPの活動から、ジェンダー問題を「副次的懸念」や「追加物」としてではなく、政策措置の成功に欠かせない要素として考えなければならないことを学びました。このことは、気候変動への対策や食糧安全保障の強化、貧困の削減だけでなく、私たちが災害リスク削減を促進する際にも当てはまります。

このたびの第3回国連防災世界会議では、女性の参画とリーダーシップの不可欠な役割を認識するとともに、ジェンダー固有の目標設定を含め、災害リスク削減におけるその役割、ニーズ、優先課題に特に注目する新たなグローバル枠組みを採択することができます。私たちはこの目的を達成するために、ジェンダー別、年齢別のデータと分析の作成や使用を増大させる活動も展開しなければなりません。

最後に私は、災害リスク削減への女性の平等な参加とリーダーシップが欠かせないことを改めて強調したいと思います。

 

 

UNDP Around the world

You are at UNDP Tokyo 代表事務所
Go to UNDPグローバル