第3回国連防災世界会議、貧困軽減のための防災に関する ワーキング・セッションにおける ヘレン・クラーク国連開発計画(UNDP)総裁ステートメント

2015/03/15

Photo: UNDP Tokyo/YukikoAbe


【2015年3月15日、仙台】
貧困と災害リスクの間に関係があることは明白です。貧困は脆弱性を生み、悪化させることで、危機を災害へと変えてしまうからです。また災害の影響によって、貧困もさらに悪化します。ほとんどの災害は貧困国で起きていますが、そこで最も大きな被害を受けるのは通常、最も貧しい人々です。

この影響の差には、多くの理由があります。貧しい人々は豊かな人々ほどしっかりとした造りの家に住んでいません。よって、暴風や洪水、地震によって破壊される可能性も、より強固で高価な住宅に比べて高くなっています。

貧しい人々は縁辺の、洪水や干ばつに見舞われやすい土地に暮らすことが多くなっています。災害後に頼れる貯蓄はほとんど、あるいは全くなく、また保険に加入する余裕もないのが現実です。

災害が予測されても、最貧層の人々が避難する手段は限られています。このような手段にかかる費用を負担できないからです。富裕層に比べて学校教育もきちんと受けていないため、災害で生計手段が損害を受けたり、破壊されたりすれば、雇用の選択肢も限られてしまいます。健康障害や栄養不良で、脆弱性がさらに高まることもあります。

例えば、ネパールでの洪水影響調査によると、貧しい人々の家は、豊かな人々の家よりも流失の可能性が5倍高くなっています。その裏には、単に貧しい人々が劣悪な住宅で暮らしているというだけでなく、住宅自体が急斜面や川岸など、災害の影響を受けやすい場所に建っていることが多いという事情もあります。

先進国と開発途上国に対する災害の影響を比べても、格差は歴然としています。ハリケーン・サンディは米国で43人の死者を出しましたが、サイクロン・ナルギスによる死者は13万8000人に上りました。このハリケーンとサイクロンの規模はほとんど同じでしたが、襲われた国の開発水準が大きく異なっていたからです。

多くの自然災害は、開発途上国に壊滅的な被害を及ぼしていることが分かっており、ほとんどの場合、これらの国々やコミュニティが復興するには何年もかかります。2010年のハイチ大地震は、貧困削減の前進を10年以上も逆戻りさせたとみられています。家庭の資産や貯蓄、社会的なセーフティ・ネットといった対処の仕組みがないことで、貧困層が災害によってさらに貧しくなるだけでなく、災害直後には、更に多くが新たに貧困に陥ってしまいます。

災害の影響は、個人的な悲劇や苦難の域を越え、国全体を消耗させる影響を及ぼします。例えば、2002年のインドの干ばつでは、国土の半分以上が影響を受けたことによって、延べ100万日を越える雇用が失われ、インド農業の国内総生産(GDP)は3.1%縮小しました。1998年に中米とカリブ海を襲ったハリケーン・ミッチは、最も被害が大きかった途上国で、開発を20年も後退させたと見られています。

いかに災害に対する強靭性を高め、そのリスクを削減すべきかが大きな問題となっています。

第1に、ポスト2015開発アジェンダと持続可能な開発目標(SDGs)に全面的に統合すべき重要な開発課題として、災害リスク削減を位置づけることが重要です。

第2に、基本的サービスの提供から、国家レベルでの長期的開発計画とプログラム策定に至るまで、あらゆる対策に災害リスクを統合することが不可欠です。貧困と災害リスクの両方への取り組みを、単なる個別「プロジェクト」のレベルに止めることはできません。あらゆる決定、あらゆる予算、そしてあらゆる建築でリスクを考慮しなければならないのです。

国連開発計画(UNDP)は、強靭性の開発への組み込みに関するこのようなパラダイム・シフトを支援してきました。キューバやモザンビークをはじめとする国々が、災害リスク削減を法律や政策、長期的開発政策に統合することに成功しています。災害リスク削減を優先課題としている国々は、開発への道を一歩進むごとに、リスクにも取り組むことになります。

第3に、私たちは社会的に最も弱く、災害リスクと隣り合わせで日々暮らしている人々の声に耳を傾けなければなりません。こうした人々は、そのリスクを削減するために何をする必要があるか、そして、持続可能な未来を築くために、どのような資源が必要かを知ることができる立場にいるからです。

第4に、私たちは民間セクターとの間で、貧困の削減と災害リスクの削減をともに支援するパートナーシップを構築しなければなりません。民間企業が全世界の投資の約85%を占める中で、民間セクターがその資金をどう配分するかは、災害リスクに関する見通しだけでなく、持続可能な開発全般にも大きな影響を及ぼします。UNDPでは、各国やコミュニティがこのような投資のポテンシャルを活用し、これを長期的な貧困削減と持続可能な開発へと変えるための支援を行っています。

 

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