ヘレン・クラークUNDP総裁 第6回アフリカ開発会議 JICAサイドイベント「産業開発とアジェンダ2063の実施によるアフリカの転換」

2016/08/27

TICAD VI サイドイベントでスピーチをするヘレン・クラーク総裁 Photo:Yukiko Abe/UNDP Tokyo

ナイロビ・ヒルトンホテル アンボセリ・ルーム
2016年8月26日(金)午後1時~3時


私は、アフリカの開発における産業化と経済転換の役割に関するこのサイドイベントに参加でき、嬉しく思います。

第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)に対する重要な貢献として、この出版物を作成したJICAとコロンビア大学に賛辞を送ります。

また、この場をお借りして、アフリカの開発課題と機会に対する世界的な認識を高めるうえで重要な役割を果たすとともに、課題解決に向けた国際的な支援を促進している日本に感謝したいと思います。日本と国連開発計画(UNDP)は、強力なパートナーシップを通じ、ともにアフリカの転換に向けた取組みを積極的に支援しています。

産業化と経済転換の重要性

産業化と経済転換の重要性は「持続可能開発目標(SDGs)」とアフリカ連合の「アジェンダ2063‐私たちが望むアフリカ」の両方に反映されています。

産業化と経済転換は、地域全体の高度経済成長を中長期にわたって包括的で雇用を創出する持続可能な開発へと結びつけるうえで欠かせない要素です。一次産品価格の低迷やヨーロッパと中国の需要減少による最近の景気減速を考慮すれば、このことは特に重要です。

来年、アフリカの成長は回復すると見られていますが、これは主として、雇用創出を伴う製造業の成長ではなく、一次産品輸出や資源採掘産業、サービス業の成長によるものです。そのため、アフリカ経済は依然として、一次産品価格の乱高下をはじめとする外部の衝撃的事象の影響を特に受けやすい状態にあります。

自給自足型の農業や天然資源の採掘への依存度が高い経済が、現地での価値付加と関連するサービス業へと移行するにつれて、活発な経済活動の場が生まれてきます。

包摂的で持続可能、かつ雇用創出を伴う成長という質的な面も、同様に重要です。また、農業や漁業、中小企業(SME)などの、貧困層の大半の生計を支えている産業部門が成長しなければなりません。

優先的検討分野
アフリカ経済が産業化と経済転換に注力する中で、UNDPは5つの優先的検討分野を提示したいと思います。

第1に、人間への投資です。

教育や職業訓練、保健、住宅、社会保障への投資は欠かせません。技能を持った健康な労働力によってより生産性が高まります。

女性のための機会創出も、アフリカの転換を図る際の中心的な要素と位置づけられる必要があります。女性のアフリカ経済と産業化への全面的かつ平等な参加は、女性自身だけでなく、その家族やコミュニティ、国家にとっても利益となるからです。

これについては、28日にここTICADで発表されるUNDPの「アフリカ開発報告書」でも明らかにされています。この報告書の作成に対する日本の資金的支援に感謝いたします。

第2に、アフリカの若者の大きな潜在能力を発揮させることです。

アフリカ全土で、情報通信技術と自らの情熱と創造性によってエンパワーメントを受けた若者が起業し、グローバル市場へとつながっています。このような若者には、グローバルなバリューチェーンにつながり、自国の付加価値型のサービス業と産業部門の発展に貢献できる能力を持っています。

2030年までに、20歳から24歳までの若者の約60%に当たる1億3700万人が、中等教育を修了するほか、高等教育の修了者も1200万人に達するものと見られています。能力のある人材が増えれば、アフリカの経済転換にも有益です。しかし、機会を望んでいる都市部の若者と地方の若者の格差を是正するような包摂的な成長が必要です。

第3に、開発を促進する国家の能力を高める必要があります。

これには、優れた制度と良質な公共サービスが必要です。また、成長と開発を可能にする環境を創造するうえで法の支配も重要です。

第4に、アフリカの豊かな天然資源基盤を活用しつつ、生態系を保全することです。

アフリカの豊富な資源基盤を活用して産業化を推進するための取組みは、強靭な環境政策の枠組みを基盤としなければなりません。気候変動の緩和と適応に向けた行動が必要です。より強靭なレジリエンス強化を図る必要があります。今年のエルニーニョ現象は多くのアフリカの国で被害を発生させました。

そして最後に、地域統合に向けた支援です。

地域統合を進めれば、アフリカの国々の間の貿易が増加し、雇用の創出や競争力の強化が図られます。そのためには、必要な政策改革を実施するほか、域内のつながりを強化するためのインフラ整備への投資を行う必要もあります。

アフリカの産業化と経済転換に向けたUNDPの取組み
UNDPは、アフリカが産業化と経済転換を推進するための支援に、尽力しています。

具体的な活動事例としては、下記が挙げられます。

• UNDPは、多くのアフリカの国々で民間セクターと連携し、包摂的で持続可能な開発に対する民間セクター主導型アプローチを推進しています。

例えばルワンダでは、青少年省とUNDP、多くのICT企業が2013年、若年求職者と企業を結びつける「ユースコネクトイニシアティブ」を立ち上げました。その目標は、雇用創出のほか、若手起業家の事業成長に向けた資本へのアクセスも促進することにあります。

また、数年前には、私たちは、エチオピア商品取引所(ECX)に投資しました。これは、農家や商業者、農産品加工業者を対象にリアルタイムの市場情報配信する仕組みで、これによって農業関連業の収益性が向上しました。

• UNDPは、「アフリカ・アグリビジネス取引業者育成プログラム」によって、アフリカ全域の持続可能で包摂的な農業価値連鎖の開発と拡大を支援しました。

数千を超える農家や中小企業が訓練や助言、農業用資材を確保する恩恵を受けています。その目的は、農業生産性と所得の向上とともに、品質基準を満たせる能力を構築し、成長する国内・地域市場へのアクセスを図ることにあります。

• UNDPはまた、2009年にアフリカの首脳が採択した「アフリカ鉱業ビジョン」に則り、アフリカ諸国が賦存天然資源を最大限に活用するための支援も行っています。

この活動は、小規模鉱物資源産業の持続可能で包摂的な開発を促進する欧州委員会やアフリカ・カリブ海・太平洋諸国グループ(ACP)との連携によって進められています。

例えば、私たちはブルキナファソ、ガーナ、リベリア、タンザニアで、訓練や技術見本市、ネットワーキング・イベント、能力育成と生産性向上のための助成などによって、零細採鉱業者を支援してきました。その目標は、所得の増大と雇用の創出、生計基盤の強化にあります。

• UNDPはまた、起業家を育成することでもアフリカ全域での産業化と経済転換の前進を支援しています。

例えば、ここケニアでは、UNDPの「若年起業家育成訓練ファシリティ」が、若者にアグリビジネスの訓練を施し、求職者を雇用創出者へと転換することに成功しています。

結論
アフリカ各国政府の主導のもと、民間企業や開発銀行などの開発パートナーからの支援によって、アフリカの包摂的で持続可能な産業化と経済転換は実現することが可能です。

UNDPは、この目的を達成するために、アフリカ諸国やパートナーと連携してアフリカ全域で取組んでいきます。

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