ヘレン・クラークUNDP総裁 国際女性会議WAW! (World Assembly for Women)スピーチ

2016/12/14

スピーチをするヘレン・クラーク総裁 Photo:Yukiko Abe/UNDP Tokyo


東京
2016年12月14日(水)
10時30分


東京における国際女性会議WAW!に再び参加することができ、大変光栄です。今回3度目のWAWへの参加となり、この場に戻って来られて大変嬉しく思います。

私は日本政府のジェンダー平等と女性のエンパワーメントに対するコミットメントを称賛します。私たちは日本のような国からの声を更に必要としています。

ジェンダー問題は現在、転換の局面を迎え、かつ不安定な状況でもあります。人権と開発の担い手としてのジェンダー平等は、これまでの開発フレームワークと比較し、2030アジェンダと持続可能な開発目標(SDGs)の中でより確立されたものになっています。

しかしながら、ジェンダー平等への進捗は遅く、一様でもありません。いくつかの分野では進捗が後退しています。この点については早急な対応が必要です。

過去20年間で、女性議員の割合はほぼ倍増しました。世界における女性議員の構成比率は約23%(22.9%)に移行しましたが、39か国においては、女性議員の占める割合が10%以下となっています。

私たちが従来通りの活動を継続した場合は、議会におけるジェンダー格差を縮小するのに82年かかると推定されています。耐え難いことです。

また世界中で、行政機関の意思決定レベルにおける女性の数は十分ではありません。例えば、G20諸国において、女性は行政機関全体の労働力の48%を占めていますが、意思決定を行う役職に就く女性の割合は20%以下です。女性と男性への行政サービスを保証するために、これらの高位職が重要な役割を果たすというのにです。

経済分野でも、ジェンダー平等の達成に向けた課題は多くあります。

女性は男性よりも平均24%収入が低く、フルタイムで働く男性と比較すると半分ほどです。

脆弱な仕事に就く大部分が女性で、そのためしばしば社会保障の対象外となっています。企業の管理職に就く女性の数は少なく、リーダー的地位に占める女性の割合はわずか22%です。

世界的に、取締役員会で女性が占める割合は12%で、議長を務める割合はわずか4%です。

さらに驚くべきことに、過去4年間、経済分野におけるジェンダー格差は悪化し、2008年の状況に逆戻りしていると推定されています。世界経済フォーラムが発表した世界男女格差年次報告書2016年度版によると、現在のペースで進行すると、給料と雇用機会におけるジェンダー格差を撲滅するのに170年間、つまり2186年までかかるだろうと指摘されています。

これが、私たちがジェンダー平等を開発の取り組みの中心とし、加速させなければいけない背景です。女性をエンパワーし、ジェンダー平等を実現するため、確固たる介入に時間や資源を投資しなければなりません。

私たちは、女性のリーダーシップへの参加を促進し、女性に関する重要な事項を議題にあげるために最も有効的な方法であるクオーター制度等を通じて、女性の参加機会を増やさなくてはいけません。クオーター制によって議会や政党内、さらには取締役会における女性の参加が増えたことを我々は認識しており、これらが女性の生活に良い影響を与えているという確信もしています。

女性を追いやっている差別的な法律は廃止されなければなりません。世界銀行が2016年に発刊した報告書『女性、ビジネス、法律2016(WOMEN, BUSINESS AND THE LAW 2016)』では、173の国・地域のうち155の国・地域において、機会を求めている女性に対し障壁をつくる法律が少なくとも一つは存在することが示され、非常に衝撃的でした。多くの国で、家庭内において女性は離婚の権利、財産の相続権、土地所有権や資産、預金へのアクセスがないなどの差別に直面しています。

女性による無償ケア労働の不相応な負担にも注意を払う必要があります。女性は男性の3倍、無償労働に従事し、子ども、高齢者、病床者、身体障害者の世話から、食事の準備、水汲みや燃料確保までしています。

多くの国において無償ケア労働の負担に立ち向うには、勤労者世帯のために託児所や高齢者介護施設の利用を可能とすることや、有給の育児休暇や父親向けの育児休暇の準備が必要です。日本はこの方向にむけ、著しい進歩を遂げています。

多様性や平等に価値を置き、すべての人の貢献が報われてこそビジネスと社会が良い機能を果たすという信念を持つビジネス・リーダーらの努力について、私たちは高く評価していく必要があります。

私たちはまた、世界で女性の3人に1人が経験している、女性と少女に対する暴力を根絶する必要があります。この女性の権利への基本的侵害はジェンダー不平等の結果であり、長く続いています。

女性に対する暴力を止めるためには、私たちは教育分野に始まり、メディアや社会におけるさまざまな分野のリーダーに浸透する包括的な意識改革が必要です。

最後に、私たちは全ての若者に包括的な性教育へのアクセスを提供し、女性と少女がリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康と権利)、医療等へのアクセスができるようにしなければいけません。これらがなくては、自身の生活も、平等な地位も統制できません。

2030アジェンダと持続可能な開発目標(SDGs)においてジェンダー平等と女性のエンパワーメントを優先させることは達成地点であり、単なる自己満足であってはなりません。挑戦、さらには行動要請として受け止めなくてはなりません。この国際女性会議WAW!に参加する全ての方がこの挑戦に共に挑んでくださることを願います。