持続可能な開発目標(SDGs)

持続可能な開発目標(SDGS)とは

SDGsの目標17項目はいずれも、持続可能な開発、民主的なガバナンスと平和構築、気候変動と災害に対する強靭性という、UNDPの戦略計画の重点分野と結び付いています。貧困に関する目標1、不平等に関する目標10、ガバナンスに関する目標16は特に、UNDPの現在の活動と長期的な計画にとって中心的な意味を持っています。しかし、SDGsを達成するためには、複数の目標にまたがって進捗を支援する包括的なアプローチが欠かせません。UNDPはこのプロセスを支援できる独特な立場にいます。

持続可能な開発目標(SDGs)、通称「グローバル・ゴールズ」は、貧困に終止符を打ち、地球を保護し、すべての人が平和と豊かさを享受できるようにすることを目指す普遍的な行動を呼びかけています。

これら17の目標は、ミレニアム開発目標(MDGs)の成功を土台としつつ、気候変動や経済的不平等、イノベーション、持続可能な消費、平和と正義などの新たな分野を優先課題として盛り込んでいます。ある目標を達成するためには、むしろ別の目標と広く関連づけられる問題にも取り組まねばならないことが多いという点で、目標はすべて相互接続的といえます。

SDGsは、パートナーシップと実用主義の精神に基づき、いま正しい選択をすることで、将来の世代の暮らしを持続可能な形で改善することを目指します。すべての国がそれぞれの優先課題や、全世界的な環境課題に応じて採用できる明確なガイドラインやターゲットも設けられています。SDGsは包摂的なアジェンダとして、貧困の根本的な原因に取り組むとともに、人間と地球の両方にとってプラスとなる変化の実現に向け、私たちを団結させるものとなっています。アヒム・シュタイナーUNDP総裁は「2030アジェンダの支援は、UNDPにとって最優先課題のひとつです。SDGsは貧困、気候変動、紛争など、私たちの世界が抱える喫緊の課題のいくつかに取り組むための共通の計画とアジェンダを私たちに提供しています。UNDPには、前進の原動力として、各国が持続可能な開発に向けた道を歩むための支援ができる経験とノウハウがあります」と呼びかけます。

GOAL 1

貧困をなくそう

あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ。あらゆる形態の貧困の根絶は依然として、人類が直面する一つの重要課題となっています。全世界で極度の貧困の中で暮らす人の数は、1990年の19億人から、2015年へと半分以下に減少しましたが、未だに多くの人が、人間の基本的ニーズを満たせないでいます。

2015年の時点で、全世界で7.36億人以上が1日1ドル90セント未満で暮らし、十分な食料やきれいな飲み水、衛生施設を利用できない人々が多くいます。中国やインドなどの国々では、経済の急成長によって、数百万人が貧困から抜け出しましたが、その進捗は男女間で一様ではありません。女性は雇用や教育、資産へのアクセスの不平等により、貧困状態に陥る確率が男性よりも高くなっています。

世界で極度の貧困の中で暮らす人々の80%を占める南アジアやサハラ以南アフリカなどの地域でも、大きな進捗がみられていません。気候変動や紛争、食料不安により新たな脅威が生じる中で、この割合は今後、さらに上昇すると見られています。

持続可能な開発目標(SDGs)は、私たちが開始した取り組みを完了し、2030年までにあらゆる形態の貧困に終止符を打つという大胆なコミットメントです。そのためには、脆弱な状況の中で暮らす人々に対象を絞り、基本的な資源とサービスへのアクセスを改善し、紛争や気候変動関連の災害で被災したコミュニティを支援することが必要です。

UNDP Malawi - Goal 10: Reduced inequalities

Goal targets

  • 2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる。
  • 各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度および対策を実施し、2030年までに貧困層および脆弱層に対し十分な保護を達成する。
  • 2030年までに、貧困層および脆弱層をはじめ、すべての男性および女性の経済的資源に対する同等の権利、ならびに基本的サービス、オーナーシップ、および土地その他の財産、相続財産、天然資源、適切な新規術、およびマイクロファイナンスを含む金融サービスへの管理を確保する。
  • 2030年までに、貧困層や脆弱な立場にある人々のレジリエンスを構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的打撃や災害に対するリスク度合いや脆弱性を軽減する。
  • あらゆる次元での貧困撲滅のための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、さまざまな供給源からの多大な資源の動員を確保する。

GOAL 2

飢餓をゼロ

飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する 過去20年間の経済の急成長と農業生産の拡大により、栄養不良の人の割合はほぼ半減しました。かつては飢饉や飢餓に苦しんだ多くの開発途上国は、社会的最弱者層の栄養ニーズを満たせるようになっています。中央アジア、東アジア、ラテンアメリカ・カリブの各地域は、極度の飢餓撲滅に向けて大きな進捗を遂げています。

持続可能な開発目標(SDGs)は、2030年までにあらゆる形態の飢餓と栄養不良に終止符を打ち、子どもや社会的弱者を始めとするすべての人が1年を通じて、栄養のある食料を十分に得られるようにすることを狙いとしています。そのためには、小規模農家の生活と能力を向上させ、土地や技術、市場への平等なアクセスを与えることにより、持続可能な農業規範を推進しなければなりません。また、国際協力によってインフラと技術への投資を確保し、農業生産性を改善する必要もあります。私たちは他のSDGsの目標も同時に達成することで、2030年までに飢餓に終止符を打つことができるのです。

Goal targets

  • 5歳未満の子どもの発育障害や衰弱について国際的に合意されたターゲットを2025年までに達成するなど、2030年までにあらゆる形態の栄養失調を撲滅し、若年女子、妊婦・授乳婦、および高齢者の栄養ニーズへの対処を行う。
  • 2030年までに、土地その他の生産資源、投入財、知識、金融サービス、市場、および付加価値や非農業雇用の機会への平等なアクセスの確保などを通じて、女性、先住民族、小規模な家族経営の農家、牧畜家および漁師をはじめとする、小規模食糧生産者の農業生産性および所得を倍増させる。
  • 2030年までに、持続可能な食糧生産システムを確保し、生産性および生産の向上につながるレジリエントな農業を実践することにより、生態系の保全、気候変動や極端な気象現象、干ばつ、洪水その他の災害への適応能力向上、および土地と土壌の質の漸進的改良を促す。
  • 2030年までに、国内、地域、および国際レベルで適正に管理および多様化された種子・植物バンクなどを通じて、種子、栽培植物、飼育動物・家畜、およびその近縁野生種の遺伝的多様性を維持し、国際的合意に基づく遺伝資源および伝統的な関連知識の活用による便益へのアクセスおよび公正かつ公平な共有を推進する。
  • 国際協力の強化などを通じて、農村インフラ、農業研究・普及サービス、技術開発、および植物・家畜遺伝子バンクへの投資を拡大し、開発途上国、特に後発開発途上国における農業生産の強化を図る。

GOAL 3

すべての人に健康と福祉を

あらゆる年齢のすべての人の健康的な生活を確保し、福祉を推進するミレニアム開発目標(MDGs)の策定以来、幼児死亡率の引き下げ、妊産婦の健康改善、HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病対策の分野では、歴史的な成果が得られました。1990年以来、予防可能な病気による子どもの死者は50%以上減少しています。妊産婦の死者も全世界で45%減少しました。HIV/エイズの新規感染者数も2000年から2013年にかけて30%減少したほか、620万人以上がマラリアから救われています。

この素晴らしい進捗にもかかわらず、5歳の誕生日を迎えられずに命を落とす子どもは依然として600万人を超えています。毎日、はしかや結核など、予防可能な病気で1万6000人の子どもが命を失っています。妊娠と出産によって生じる合併症で死亡する女性の数は1日数百人を数え、開発途上地域の農村部では、医療専門家の付き添いのある出産件数が全体のわずか56%に留まっています。依然としてHIVが猛威を振るうサハラ以南アフリカでは、エイズが思春期の若者世代で最大の死因となっています。

これらの死は、予防と治療、教育、予防接種キャンペーン、リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)関連のケアやサービスを受けることによって回避することができます。持続可能な開発目標(SDGs)は、エイズ、結核、マラリアその他の感染症の蔓延を2030年までに食い止めるという、大きな誓約をしています。その狙いは、医療を完全に普及させ、すべての人が安全で効果的な医薬品とワクチンを利用できるようにすることです。ワクチンに関する研究開発への支援は、手ごろな価格の医薬品の提供とともに、目標達成のための不可欠な要素となっています。

Goal targets

  • 2030年までに、世界の妊産婦の死亡率を出生10万人当たり70人未満に削減する。
  • 全ての国が新生児死亡率を少なくとも出生1,000件中12件以下まで減らし、5歳以下死亡率を少なくとも出生1,000件中25件以下まで減らすことを目指し、 2030年までに、新生児及び5歳未満児の予防可能な死亡を根絶する。 
  • 2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する。
  • 2030年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて3分の1減少させ、精神保健及び福祉を促進する。
  • 薬物乱用やアルコールの有害な摂取を含む、物質乱用の防止・治療を強化する。
  • 2020年までに、世界の道路交通事故による死傷者を半減させる。 
  • 2030年までに、家族計画、情報・教育及び性と生殖に関する健康の国家戦略・計画への組み入れを含む、性と生殖に関する保健サービスを全ての人々が利用できるようにする。 
  • 全ての人々に対する財政リスクからの保護、質の高い基礎的な保健サービスへのアクセス及び安全で効果的かつ質が高く安価な必須医薬品とワクチンへのアクセスを含む、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成する。 
  • 2030年までに、有害化学物質、並びに大気、水質及び土壌の汚染による死亡及び疾病の件数を大幅に減少させる。 
  • 全ての国々において、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約の実施を適宜強化する。 
  • 主に開発途上国に影響を及ぼす感染性及び非感染性疾患のワクチン及び医薬品の研究開発を支援する。また、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)及び公衆の健康に関するドーハ宣言に従い、安価な必須医薬品及びワクチンへのアクセスを提供する。同宣言は公衆衛生保護及び、特に全ての人々への医薬品のアクセス提供にかかわる「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)」の柔軟性に関する規定を最大限に行使する開発途上国の権利を確約したものである。
  • 開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国において保健財政及び保健人材の採用、能力開発・訓練及び定着を大幅に拡大させる。 
  • 全ての国々、特に開発途上国の国家・世界規模な健康危険因子の早期警告、危険因子緩和及び危険因子管理のための能力を強化する。 

GOAL 4

質の高い教育をみんなに

すべての子どもに初等教育を普及するという目標の達成に向けて、2000年以降、大きな進捗が見られています。開発途上地域の就学率は2015年に91%に達し、全世界で学校に通えていない子どもの数はほぼ半減しました。識字率も劇的に改善し、学校に通う女児の数は以前よりもはるかに多くなりました。いずれも特筆すべき成果といえます。 

しかしながら、開発途上地域では高い貧困率や武力紛争、その他の緊急事態といった大きな課題に直面しています。西アジアと北アフリカでは、武力紛争の長期化によって、学校に通えない子どもの割合が増えています。これは懸念すべき事態です。サハラ以南アフリカの初等教育就学率は、1990年の52%から2012年には78%へと上昇し、開発途上地域の中で最大の進捗を遂げていますが、それでもなお大きな格差が残っています。最貧層世帯の子どもは、最富裕層世帯の子どもよりも学校に通っていない率が4倍高くなっています。都市部と農村部の間にも、依然として大きな格差が残っています。 

すべての人に包摂的で質の高い教育を普及させるという目標は、持続可能な開発にとって、教育が最も有効かつ効果的な手段であるということを再認識するものです。この目標は、2030年までにすべての男女が無償で初等・中等教育を修了することを目指しています。また、職業訓練の平等な機会を提供し、ジェンダーと貧富による格差を解消することで、全世界で質の高い高等教育機会を提供することも、この目標の一つの狙いです。

Goal targets

  • 2030年までに、全ての子供が男女の区別なく、適切かつ効果的な学習成果をもたらす、無償かつ公正で質の高い初等教育及び中等教育を修了できるようにする。 
  • 2030年までに、全ての子供が男女の区別なく、質の高い乳幼児の発達・ケア及び就学前教育にアクセスすることにより、初等教育を受ける準備が整うようにする。
  • 2030年までに、全ての人々が男女の区別なく、手の届く質の高い技術教育・職業教育及び大学を含む高等教育への平等なアクセスを得られるようにする。 
  • 2030年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。 
  • 2030年までに、教育におけるジェンダー格差を無くし、障害者、先住民及び脆弱な立場にある子供など、脆弱層があらゆるレベルの教育や職業訓練に平等にアクセスできるようにする。 
  • 2030年までに、全ての若者及び大多数(男女ともに)の成人が、読み書き能力及び基本的計算能力を身に付けられるようにする。 
  • 2030年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにする。
  • 子供、障害及びジェンダーに配慮した教育施設を構築・改良し、全ての人々に安全で非暴力的、包摂的、効果的な学習環境を提供できるようにする。 
  • 2020年までに、開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国、並びにアフリカ諸国を対象とした、職業訓練、情報通信技術(ICT)、技術・工学・科学プログラムなど、先進国及びその他の開発途上国における高等教育の奨学金の件数を全世界で大幅に増加させる。 
  • 2030年までに、開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国における教員研修のための国際協力などを通じて、質の高い教員の数を大幅に増加させる。

GOAL 5

ジェンダー平等を実現しよう

ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る 女性のエンパワメントとジェンダーの平等は、持続可能な開発を促進するうえで欠かせません。女性と女児に対するあらゆる形態の差別に終止符を打つことは、基本的人権であると同時に、他のすべての開発領域に対して波及効果があります。 

国連開発計画(UNDP)は2000年以降、国連のパートナーやその他の国際社会とともに、ジェンダーの平等を活動の中心に据え、素晴らしい成果を達成してきました。学校に通う女児の数は15年前よりも増え、多くの地域で初等教育において男女平等を達成しました。農業以外の雇用者に女性が占める割合は、1990年の35%から、現在は41%にまで増えています。 持続可能な開発目標(SDGs)は、こうした成果を土台として、あらゆる場所で女性と女児に対する差別に終止符を打つことを狙いとしています。一部の地域では、雇用機会の不平等が未だに大きいほか、労働市場でも男女間に格差が見られます。性的な暴力や虐待、無償ケアや家事労働の不平等な分担、公の意思形成における差別は、依然として大きな障壁となっています。 

リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)関連のケアやサービスへのアクセスを確保し、土地や財産などの経済的資源に対する平等なアクセスを女性に認めることは、この目標の実現に欠かせないターゲットです。公職に就く女性の数は前例にないほど増加していますが、あらゆる地域でより多くの女性リーダーが生まれれば、ジェンダーの平等促進に向けた政策と法律制定の強化に役立つことでしょう。 

ジェンダーの平等は、持続可能な開発のための2030アジェンダを構成する17のグローバル目標の一つです。複数の目標を同時に達成するためには、包括的なアプローチが必要不可欠です。 

Goal targets

  • あらゆる場所における全ての女性及び女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃する。
  • 人身売買や性的、その他の種類の搾取など、全ての女性及び女児に対する、公共・私的空間におけるあらゆる形態の暴力を排除する。
  • 未成年者の結婚、早期結婚、強制結婚及び女性器切除など、あらゆる有害な慣行を撤廃する。
  • 公共のサービス、インフラ及び社会保障政策の提供、並びに各国の状況に応じた世帯・家族内における責任分担を通じて、無報酬の育児・介護や家事労働を認識・評価する。 
  • 政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する。
  • 国際人口・開発会議(ICPD)の行動計画及び北京行動綱領、並びにこれらの検証会議の成果文書に従い、性と生殖に関する健康及び権利への普遍的アクセスを確保する。
  • 女性に対し、経済的資源に対する同等の権利、並びに各国法に従い、オーナーシップ及び土地その他の財産、金融サービス、相続財産、天然資源に対するアクセスを与えるための改革に着手する。 
  • 女性の能力強化促進のため、ICTをはじめとする実現技術の活用を強化する。 
  • ジェンダー平等の促進、並びに全ての女性及び女子のあらゆるレベルでの能力強化のための適正な政策及び拘束力のある法規を導入・強化する。 

GOAL 6

安全な水とトイレを世界中に

水不足の影響は、全世界の人の40%に及んでいますが、この驚くべき数字は、気候変動の影響によって地球の気温が上昇するにつれ、さらに大きくなることが予測されています。1990年以来、新たに21億人が改善された水と衛生にアクセスできるようになりましたが、安全な飲み水の供給量減少は、世界中で深刻な問題となっています。

2011年には、41か国が水ストレスを経験しましたが、うち10か国では、再生可能な淡水が枯渇寸前となり、従来と異なる水源に頼らざるを得ない状態となっています。干ばつの多発や砂漠化は、既にこうした動向に拍車をかけています。2050年までに、4人に1人以上が慢性的な水不足の影響を受ける可能性が高いと見られています。

2030年までに、安全で手ごろな飲み水への普遍的なアクセスを確保するためには、インフラの整備に投資し、衛生施設を提供するとともに、あらゆるレベルで衛生状態の改善を促すことが必要です。水不足を緩和するためには、森林や山地、湿原、河川など、水関連の生態系の保護と回復が欠かせません。水の利用効率の改善を働きかけ、開発途上地域の水処理技術を支援するために、一層の国際協力も必要とされています。

きれいな水と衛生へのアクセスは、持続可能な開発のための2030アジェンダを構成する17のグローバル目標の一つです。複数の目標を同時に達成するためには、包括的なアプローチが必要不可欠です。

Goal targets

  • 2030年までに、全ての人々の、安全で安価な飲料水の普遍的かつ平等なアクセスを達成する。
  • 2030年までに、全ての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性及び女子、並びに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を向ける。
  • 2030年までに、汚染の減少、投棄の廃絶と有害な化学物・物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減及び再生利用と安全な再利用の世界的規模で大幅に増加させることにより、水質を改善する。
  • 2030年までに、全セクターにおいて水の利用効率を大幅に改善し、淡水の持続可能な採取及び供給を確保し水不足に対処するとともに、水不足に悩む人々の数を大幅に減少させる。
  • 2030年までに、国境を越えた適切な協力を含む、あらゆるレベルでの統合水資源管理を実施する。
  • 2020年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼などの水に関連する生態系の保護・回復を行う。 
  • 2030年までに、集水、海水淡水化、水の効率的利用、排水処理、リサイクル・再利用技術など、開発途上国における水と衛生分野での活動や計画を対象とした国際協力と能力構築支援を拡大する。
  • 水と衛生に関わる分野の管理向上への地域コミュニティの参加を支援・強化する。 

GOAL 7

エネルギーをみんなに そしてクリーンに

すべての人に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する 1990年から2010年にかけ、新たに17億人が電力を利用できるようになりましたが、世界人口が拡大し続ける中で、安価なエネルギーに対する需要も増えることになります。化石燃料に依存し、温室効果ガスの排出量増大をもたらすグローバル経済は、私たちの気候システムに大きな変化をもたらしています。この変化は、目に見える形で世界中に影響を及ぼしています。

しかし、代替エネルギーの利用を促す新たな潮流が生まれており、2011年には、再生可能なエネルギーが全世界のエネルギー供給の20%以上を占めるようになりました。とはいえ、今でも5人に1人が電力を利用できておらず、需要が増え続ける中で、全世界で再生可能エネルギーの生産を大幅に拡大する必要が生じています。

2030年までに手ごろな電力を完全に普及させるためには、太陽光や風力、地熱などのクリーンなエネルギー源に投資しなければなりません。また、さらに幅広い技術について費用対効果の評価を導入すれば、建物や産業での電力消費量を全世界で14%削減できる可能性もあります。言い換えれば、中規模発電所約1300か所の建設が不要になるのです。すべての開発途上国でインフラを整備し、クリーンなエネルギー源を提供できる技術を改善することは、成長を促しつつも環境保全を図るうえで不可欠な目標です。

持続可能なエネルギーの確保は、持続可能な開発のための2030アジェンダを構成する17のグローバル目標の一つです。複数の目標を同時に達成するためには、包括的なアプローチが必要不可欠です。

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Goal targets

  • 2030年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。
  • 2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。
  • 2030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。
  • 2030年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率及び先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究及び技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。
  • 2030年までに、各々の支援プログラムに沿って開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国、内陸開発途上国の全ての人々に現代的で持続可能なエネルギーサービスを供給できるよう、インフラ拡大と技術向上を行う。

GOAL 8

働きがいも経済成長も

すべての人に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する 1990年から2010年にかけ、新たに17億人が電力を利用できるようになりましたが、世界人口が拡大し続ける中で、安価なエネルギーに対する需要も増えることになります。化石燃料に依存し、温室効果ガスの排出量増大をもたらすグローバル経済は、私たちの気候システムに大きな変化をもたらしています。この変化は、目に見える形で世界中に影響を及ぼしています。

しかし、代替エネルギーの利用を促す新たな潮流が生まれており、2011年には、再生可能なエネルギーが全世界のエネルギー供給の20%以上を占めるようになりました。とはいえ、今でも5人に1人が電力を利用できておらず、需要が増え続ける中で、全世界で再生可能エネルギーの生産を大幅に拡大する必要が生じています。

2030年までに手ごろな電力を完全に普及させるためには、太陽光や風力、地熱などのクリーンなエネルギー源に投資しなければなりません。また、さらに幅広い技術について費用対効果の評価を導入すれば、建物や産業での電力消費量を全世界で14%削減できる可能性もあります。言い換えれば、中規模発電所約1300か所の建設が不要になるのです。すべての開発途上国でインフラを整備し、クリーンなエネルギー源を提供できる技術を改善することは、成長を促しつつも環境保全を図るうえで不可欠な目標です。

持続可能なエネルギーの確保は、持続可能な開発のための2030アジェンダを構成する17のグローバル目標の一つです。複数の目標を同時に達成するためには、包括的なアプローチが必要不可欠です。

UNDP Malawi -Goal 8: Decent work and economic growth

Goal targets

  • 各国の状況に応じて、一人当たり経済成長率を持続させる。特に後発開発途上国は少なくとも年率7%の成長率を保つ。 
  • 高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性を達成する。
  • 生産活動や適切な雇用創出、起業、創造性及びイノベーションを支援する開発重視型の政策を促進するとともに、金融サービスへのアクセス改善などを通じて中小零細企業の設立や成長を奨励する。
  • 2030年までに、世界の消費と生産における資源効率を漸進的に改善させ、先進国主導の下、持続可能な消費と生産に関する10か年計画枠組みに従い、経済成長と環境悪化の分断を図る。
  • 2030年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一価値の労働についての同一賃金を達成する。
  • 2020年までに、就労、就学及び職業訓練のいずれも行っていない若者の割合を大幅に減らす。
  • 強制労働を根絶し、現代の奴隷制、人身売買を終らせるための緊急かつ効果的な措置の実施、最悪な形態の児童労働の禁止及び撲滅を確保する。2025年までに児童兵士の募集と使用を含むあらゆる形態の児童労働を撲滅する。 
  • 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、全ての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。
  • 2030年までに、雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業を促進するための政策を立案し実施する。
  • 国内の金融機関の能力を強化し、全ての人々の銀行取引、保険及び金融サービスへのアクセスを促進・拡大する。
  • 後発開発途上国への貿易関連技術支援のための拡大統合フレームワーク(EIF)などを通じた支援を含む、開発途上国、特に後発開発途上国に対する貿易のための援助を拡大する。
  • 2020年までに、若年雇用のための世界的戦略及び国際労働機関(ILO)の仕事に関する世界協定の実施を展開・運用化する。

GOAL 9

産業と技術革新の基盤をつくろう

インフラと技術革新への継続的な投資は、経済成長と開発には欠かせない要素です。世界人口の半数以上が都市部で暮らしていることから、大量輸送と再生可能なエネルギーとともに、新たな産業の成長と情報通信技術の重要性も今まで以上に増しています。

技術進歩は、新たな雇用機会の提供やエネルギー効率の改善など、経済面と環境面双方の課題の持続的な解決策を見出すうえでも重要となっています。包括的で持続可能な産業を推進し、科学的研究と技術革新に投資することはいずれも、持続可能な開発を促進するための重要な手段となります。

今でも40億人がインターネットを利用できませんが、その90%は開発途上地域に暮らしています。情報と知識への平等なアクセスを確保し、その結果として技術革新と起業を促進するためには、このデジタル格差の解消が欠かせません。

UNDP Malawi - Goal 9: Industry, innovation and infrastructure

Goal targets

  • 全ての人々に安価で公平なアクセスに重点を置いた経済発展と人間の福祉を支援するために、地域・越境インフラを含む質の高い、信頼でき、持続可能かつ強靱(レジリエント)なインフラを開発する。
  • 包摂的かつ持続可能な産業化を促進し、2030年までに各国の状況に応じて雇用及びGDPに占める産業セクターの割合を大幅に増加させる。後発開発途上国については同割合を倍増させる。
  • 特に開発途上国における小規模の製造業その他の企業の、安価な資金貸付などの金融サービスやバリューチェーン及び市場への統合へのアクセスを拡大する。
  • 2030年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。全ての国々は各国の能力に応じた取組を行う。
  • 2030年までにイノベーションを促進させることや100万人当たりの研究開発従事者数を大幅に増加させ、また官民研究開発の支出を拡大させるなど、開発途上国をはじめとする全ての国々の産業セクターにおける科学研究を促進し、技術能力を向上させる。
  • アフリカ諸国、後発開発途上国、内陸開発途上国及び小島嶼開発途上国への金融・テクノロジー・技術の支援強化を通じて、開発途上国における持続可能かつ強靱(レジリエント)なインフラ開発を促進する。
  • 産業の多様化や商品への付加価値創造などに資する政策環境の確保などを通じて、開発途上国の国内における技術開発、研究及びイノベーションを支援する。
  • 後発開発途上国において情報通信技術へのアクセスを大幅に向上させ、2020年までに普遍的かつ安価なインターネットアクセスを提供できるよう図る。

GOAL 10

人や国の不平等をなくそう

世界の最富裕層の10%が全世界の所得の40%近くを占有しています。所得の不平等の高まりは、紛れもない事実です。最貧層が全世界の所得に占める割合は、わずか2%から7%にすぎません。人口規模を考慮に入れると、開発途上国では所得格差が11%拡大しました。 

所得の不平等はここ数十年にわたり、大凡あらゆる場所で異なる速度で増加しています。所得格差は欧州で最も小さく、中東で大きくなっています。

こうした格差拡大は、性別、人種、民族にかかわらず、最低所得者層のエンパワメントを図るとともに、すべての人の経済的包摂を推進するために、健全な政策の採用を求める行動を起こす必要があります。 所得格差は、グローバルな解決を要するグローバルな問題です。問題の解決には、金融市場・機関の規制と監視を改善し、必要性が最も大きい地域に対する開発援助と外国直接投資を促さなければなりません。安全な移住を促進し、人々の移動性を高めることも、格差拡大を食い止めるうえで重要となります。 

UNDP Malawi - Goal 9: Industry, innovation and infrastructure

Goal targets

  • 2030年までに、各国の所得下位40%の所得成長率について、国内平均を上回る数値を漸進的に達成し、持続させる。
  • 2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、全ての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。
  • 差別的な法律、政策及び慣行の撤廃、並びに適切な関連法規、政策、行動の促進などを通じて、機会均等を確保し、成果の不平等を是正する。
  • 税制、賃金、社会保障政策をはじめとする政策を導入し、平等の拡大を漸進的に達成する。
  • 世界金融市場と金融機関に対する規制とモニタリングを改善し、こうした規制の実施を強化する。
  • 地球規模の国際経済・金融制度の意思決定における開発途上国の参加や発言力を拡大させることにより、より効果的で信用力があり、説明責任のある正当な制度を実現する。
  • 計画に基づき良く管理された移民政策の実施などを通じて、秩序のとれた、安全で規則的かつ責任ある移住や流動性を促進する。
  • 世界貿易機関(WTO)協定に従い、開発途上国、特に後発開発途上国に対する特別かつ異なる待遇の原則を実施する。
  • 各国の国家計画やプログラムに従って、後発開発途上国、アフリカ諸国、小島嶼開発途上国及び内陸開発途上国を始めとする、ニーズが最も大きい国々への、政府開発援助(ODA)及び海外直接投資を含む資金の流入を促進する。
  • 2030年までに、移住労働者による送金コストを3%未満に引き下げ、コストが5%を越える送金経路を撤廃する。

GOAL 11

住み続けられるまちづくりを

現在、世界人口の半分以上が都市部で暮らしています。2050年までに、都市人口は65億人と、全人口の3分の2に達する見込みです。私たちが都市空間の整備、管理方法を大きく変えない限り、持続可能な開発を達成することはできません。

開発途上地域における都市の急成長は、農村部から都市部への移住者の増加と相まって、巨大都市が台頭しました。特に都市生活においてスラムはますます大きな特徴になっています。

都市を安全かつ持続可能にするためには、安全で手頃な価格の住宅へのアクセスを確保し、スラム地区の改善を図らなければなりません。また、公共交通機関に投資し、緑地を整備するとともに、参加型で包摂的な方法で都市計画や管理を改善することも必要です。

Goal 11: Sustainable cities and communities

Goal targets

  • 開発途上国の開発状況や能力を勘案しつつ、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み(10YFP)を実施し、先進国主導の下、全ての国々が対策を講じる。
  • 2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。
  • 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる。
  • 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物資質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
  • 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
  • 特に大企業や多国籍企業などの企業に対し、持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう奨励する。
  • 国内の政策や優先事項に従って持続可能な公共調達の慣行を促進する。
  • 2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。
  • 開発途上国に対し、より持続可能な消費・生産形態の促進のための科学的・技術的能力の強化を支援する。
  • 雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業に対して持続可能な開発がもたらす影響を測定する手法を開発・導入する。
  • 開発途上国の特別なニーズや状況を十分考慮し、貧困層やコミュニティを保護する形で開発に関する悪影響を最小限に留めつつ、税制改正や、有害な補助金が存在する場合はその環境への影響を考慮してその段階的廃止などを通じ、各国の状況に応じて、市場のひずみを除去することで、浪費的な消費を奨励する、化石燃料に対する非効率な補助金を合理化する。

GOAL 12

つくる責任 つかう責任

経済成長と持続可能な開発を達成するためには、私たちが商品や資源を生産、消費する方法を変えることで、エコロジカル・フットプリント(人間活動が環境に与える負荷を、資源の再生産および廃棄物の浄化に必要な面積として示した数値)を早急に削減することが必要です。全世界で最も多くの水が用いられているのは農業で、灌漑だけで人間が使用する淡水全体の70%近くを占めています。

私たちが共有する天然資源の効率的管理と、有害廃棄物や汚染物の処理方法の改善は、この目標達成に向けた重要な課題です。産業や企業、消費者に廃棄物の発生防止と再利用を促すことも、同じく重要であるほか、開発途上国が2030年までに、より持続可能な消費パターンへと移行できるよう支援する必要もあります。

世界人口の大部分は未だに、基本的ニーズを満たす充足できる資源さえ消費していません。小売店と消費者による1人当たり食品廃棄量を全世界で半減させることも、より効率的な生産とサプライチェーン(原料の段階から製品やサービスが消費者の手に届くまでの行程)を構築する上で重要です。それは食料の安定確保に役立つだけでなく、より効率的な資源の利用を行う経済への移行も促すからです。

Goal targets

  • 2030年までに、全ての人々の、適切、安全かつ安価な住宅及び基本的サービスへのアクセスを確保し、スラムを改善する。
  • 2030年までに、脆弱な立場にある人々、女性、子供、障害者及び高齢者のニーズに特に配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、全ての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する。
  • 2030年までに、包摂的かつ持続可能な都市化を促進し、全ての国々の参加型、包摂的かつ持続可能な人間居住計画・管理の能力を強化する。
  • 税制、賃金、社会保障政策をはじめとする政策を導入し、平等の拡大を漸進的世界の文化遺産及び自然遺産の保護・保全の努力を強化する。
  • 2030年までに、貧困層及び脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす。
  • 2030年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。
  • 2030年までに、女性、子供、高齢者及び障害者を含め、人々に安全で包摂的かつ利用が容易な緑地や公共スペースへの普遍的アクセスを提供する。
  • 各国・地域規模の開発計画の強化を通じて、経済、社会、環境面における都市部、都市周辺部及び農村部間の良好なつながりを支援する。
  • 2020年までに、包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対する強靱さ(レジリエンス)を目指す総合的政策及び計画を導入・実施した都市及び人間居住地の件数を大幅に増加させ、仙台防災枠組2015-2030に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施を行う。
  • 財政的及び技術的な支援などを通じて、後発開発途上国における現地の資材を用いた、持続可能かつ強靱(レジリエント)な建造物の整備を支援する。

GOAL 13

気候変動に具体的な対策を

気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る 気候変動の深刻な影響を目の当たりにしていない国はありません。温室効果ガス排出量は増加の一途をたどり、現在では1990年と比較して50%以上増えています。しかも、地球温暖化は私たちの気候システムに長期的な変化を及ぼしており、私たちが今すぐ対策を講じなければ、取り返しのつかない結果となる可能性があります。

地震や津波、台風、洪水による被害額は年平均で数千億ドルに上ります。災害リスク管理への投資だけでも、毎年60億ドルの投資が必要となっています。この目標は、開発途上国の需要に取り組み、気候関連の災害の軽減に役立てるため、2020年までに年間1000億ドルの投資をすることを狙いとしています。 

内陸国や島嶼国など、影響を受けやすい地域の強靭性と適応能力を強化する一方で、意識を高め、国の政策や戦略に気候対策を盛り込む取り組みも必要です。政治的な意志と幅広い技術を活用すれば、地球の平均気温上昇を産業革命以前の水準から2℃以内に抑えることができます。そのためには、早急に団結して行動を起こす必要があります。 

気候変動への緊急対応は、持続可能な開発のための2030アジェンダを構成する17のグローバル目標の一つです。複数の目標を同時に達成するためには、包括的なアプローチが必要不可欠です。 

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Goal targets

  • 全ての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応の能力を強化する。
  • 気候変動対策を国別の政策、戦略及び計画に盛り込む。
  • 気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。
  • 重要な緩和行動の実施とその実施における透明性確保に関する開発途上国のニーズに対応するため、2020年までにあらゆる供給源から年間1,000億ドルを共同で動員するという、UNFCCCの先進締約国によるコミットメントを実施するとともに、可能な限り速やかに資本を投入して緑の気候基金を本格始動させる。
  • 後発開発途上国及び小島嶼開発途上国において、女性や青年、地方及び社会的に疎外されたコミュニティに焦点を当てることを含め、気候変動関連の効果的な計画策定と管理のための能力を向上するメカニズムを推進する。

GOAL 14

海の豊かさを守ろう

世界の海洋はその水温、化学的性質、海流および生物を通じて、地球を人類が住める場所にするシステムを構築しています。この極めて重要な資源をどう管理するかは、人類全体にとって、そして気候変動の影響への対策にとって、本質的な課題となっています。

30億人以上が、海洋と沿岸の生物多様性を頼りに生計を立てています。しかし、今日では世界の漁業資源の30%が乱獲され、持続可能な漁獲を維持するための水準を大きく下回っています。

海洋はまた、人間が作り出す二酸化炭素の約30%を吸収し、産業革命以来、海洋酸性化は26%進んでいます。陸上からの排出が主原因である海洋汚染は危険な水準に達し、海洋1平方キロメートル当たり平均で1万3000個のプラスチックごみが見つかっています。

持続可能な開発目標(SDGs)は、海洋と沿岸の生態系を持続可能な形で管理し、陸上活動に由来する汚染から守ると共に、海洋酸性化の影響に取り組んでいます。国際法を通じて、海洋資源の保全と持続可能な利用を強化することも、私たちの海洋が直面する課題の解決に役立ちます。

Sea bed with corals

Goal targets

  • 2025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。
  • 2020年までに、海洋及び沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避するため、強靱性(レジリエンス)の強化などによる持続的な管理と保護を行い、健全で生産的な海洋を実現するため、海洋及び沿岸の生態系の回復のための取組を行う。 
  • あらゆるレベルでの科学的協力の促進などを通じて、海洋酸性化の影響を最小限化し、対処する。 
  • 水産資源を、実現可能な最短期間で少なくとも各資源の生物学的特性によって定められる最大持続生産量のレベルまで回復させるため、2020年までに、漁獲を効果的に規制し、過剰漁業や違法・無報告・無規制(IUU)漁業及び破壊的な漁業慣行を終了し、科学的な管理計画を実施する。
  • 2020年までに、国内法及び国際法に則り、最大限入手可能な科学情報に基づいて、少なくとも沿岸域及び海域の10パーセントを保全する。
  • 開発途上国及び後発開発途上国に対する適切かつ効果的な、特別かつ異なる待遇が、世界貿易機関(WTO)漁業補助金交渉の不可分の要素であるべきことを認識した上で、2020年までに、過剰漁獲能力や過剰漁獲につながる漁業補助金を禁止し、違法・無報告・無規制(IUU)漁業につながる補助金を撤廃し、同様の新たな補助金の導入を抑制する。
  • 2030年までに、漁業、水産養殖及び観光の持続可能な管理などを通じ、小島嶼開発途上国及び後発開発途上国の海洋資源の持続的な利用による経済的便益を増大させる。
  • 海洋の健全性の改善と、開発途上国、特に小島嶼開発途上国および後発開発途上国の開発における海洋生物多様性の寄与向上のために、海洋技術の移転に関するユネスコ政府間海洋学委員会の基準・ガイドラインを勘案しつつ、科学的知識の増進、研究能力の向上、及び海洋技術の移転を行う。 
  • 小規模・沿岸零細漁業者に対し、海洋資源及び市場へのアクセスを提供する。
  • 「我々の求める未来」のパラ158において想起されるとおり、海洋及び海洋資源の保全及び持続可能な利用のための法的枠組みを規定する海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)に反映されている国際法を実施することにより、海洋及び海洋資源の保全及び持続可能な利用を強化する。

GOAL 15

陸の豊かさも守ろう

陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る 人間の生命と生活は海洋だけでなく、陸地にも支えられています。植物は人間の食料の80%を提供しています、また、私たちは重要な経済資源、そして開発の手段として、農業に依存しています。森林は地表の30%を占め、数百万の生物種にとって必須の生息地や、きれいな空気と水の重要な供給源を提供するだけでなく、気候変動への対処においても不可欠な役割を担っています。

毎年、1300万ヘクタールの森林が消失し、乾燥地帯の劣化は36億ヘクタールもの土地を砂漠化し、貧しいコミュニティに不釣り合いな影響を及ぼしています。

15%の土地が保護されているにも関わらず、生物多様性は危機に瀕しています。約7000種もの動植物が違法に取引されているだけでなく、それは不安全感を生み出し、紛争や汚職を助長します。

森林その他生態系の保全は、持続可能な開発のための2030アジェンダを構成する17のグローバル目標の一つです。複数の目標を同時に達成するためには、包括的なアプローチが必要不可欠です。 

Sea bed with corals

Goal targets

  • 2020年までに、国際協定の下での義務に則って、森林、湿地、山地及び乾燥地をはじめとする陸域生態系と内陸淡水生態系及びそれらのサービスの保全、回復及び持続可能な利用を確保する。
  • 2020年までに、あらゆる種類の森林の持続可能な経営の実施を促進し、森林減少を阻止し、劣化した森林を回復し、世界全体で新規植林及び再植林を大幅に増加させる。
  • 2030年までに、砂漠化に対処し、砂漠化、干ばつ及び洪水の影響を受けた土地などの劣化した土地と土壌を回復し、土地劣化に荷担しない世界の達成に尽力する。
  • 2030年までに持続可能な開発に不可欠な便益をもたらす山地生態系の能力を強化するため、生物多様性を含む山地生態系の保全を確実に行う。
  • 自然生息地の劣化を抑制し、生物多様性の損失を阻止し、2020年までに絶滅危惧種を保護し、また絶滅防止するための緊急かつ意味のある対策を講じる。
  • 国際合意に基づき、遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分を推進するとともに、遺伝資源への適切なアクセスを推進する。
  • 保護の対象となっている動植物種の密猟及び違法取引を撲滅するための緊急対策を講じるとともに、違法な野生生物製品の需要と供給の両面に対処する。
  • 2020年までに、外来種の侵入を防止するとともに、これらの種による陸域・海洋生態系への影響を大幅に減少させるための対策を導入し、さらに優先種の駆除または根絶を行う。
  • 2020年までに、生態系と生物多様性の価値を、国や地方の計画策定、開発プロセス及び貧困削減のための戦略及び会計に組み込む。
  • 生物多様性と生態系の保全と持続的な利用のために、あらゆる資金源からの資金の動員及び大幅な増額を行う。
  • 保全や再植林を含む持続可能な森林経営を推進するため、あらゆるレベルのあらゆる供給源から、持続可能な森林経営のための資金の調達と開発途上国への十分なインセンティブ付与のための相当量の資源を動員する。
  • 持続的な生計機会を追求するために地域コミュニティの能力向上を図る等、保護種の密猟及び違法な取引に対処するための努力に対する世界的な支援を強化する。

GOAL 16

平和と公正をすべての人に

平和、安定、人権、そして法の支配に基づく効果的なガバナンスは、持続可能な開発の実現に向けた重要な手段です。私たちは亀裂が深まる世界に暮らしています。平和と安全、繁栄が持続している地域もあれば、紛争と暴力という無限の悪循環に陥っていると見られる地域もあります。これは決して仕方のないことではなく、取り組みが必要な問題です。

激しい武力紛争と情勢不安の高まりは、国の開発に破壊的な影響を及ぼし、経済成長を損なうだけでなく、コミュニティ間にしばしば数世代にも渡る長期的対立をもたらします。紛争のほか、法の支配がない場所では、性暴力、犯罪、搾取、拷問も蔓延しているため、各国は最も大きなリスクにさらされた人々を保護する措置を講じなければなりません。

持続可能な開発目標(SDGs)は、あらゆる形態の暴力を大幅に削減するとともに、政府やコミュニティと協力し、紛争と情勢不安を恒久的に解決することをねらいとしています。法の支配を強化し、人権を推進することは、違法な兵器の流通を削減し、グローバル・ガバナンス機構への開発途上国の参加を強化することとともに、目標実現のプロセスにカギを握る要素となります。

 

UNDP Malawi - Goal 16: Peace, justice and strong institutions

Goal targets

  • あらゆる場所において、全ての形態の暴力及び暴力に関連する死亡率を大幅に減少させる。
  • 子供に対する虐待、搾取、取引及びあらゆる形態の暴力及び拷問を撲滅する。
  • 国家及び国際的なレベルでの法の支配を促進し、全ての人々に司法への平等なアクセスを提供する。
  • 2030年までに、違法な資金及び武器の取引を大幅に減少させ、奪われた財産の回復及び返還を強化し、あらゆる形態の組織犯罪を根絶する。
  • あらゆる形態の汚職や贈賄を大幅に減少させる。
  • あらゆるレベルにおいて、有効で説明責任のある透明性の高い公共機関を発展させる。
  • あらゆるレベルにおいて、対応的、包摂的、参加型及び代表的な意思決定を確保する。
  • グローバル・ガバナンス機関への開発途上国の参加を拡大・強化する。
  • 2030年までに、全ての人々に出生登録を含む法的な身分証明を提供する。
  • 国内法規及び国際協定に従い、情報への公共アクセスを確保し、基本的自由を保障する。
  • 特に開発途上国において、暴力の防止とテロリズム・犯罪の撲滅に関するあらゆるレベルでの能力構築のため、国際協力などを通じて関連国家機関を強化する。
  • 持続可能な開発のための非差別的な法規及び政策を推進し、実施する。

GOAL 16

平和と公正をすべての人に

持続可能な開発目標(SDGs)は、グローバルなパートナーシップと協力に向けた強い決意がない限り、実現できません。先進国による政府開発援助(ODA)は、2000年から2014年にかけて66%増額されましたが、紛争や自然災害による人道危機は引き続き、資金と援助を必要としています。成長と貿易の促進にODAを必要とする国も多くあります。

世界はかつてないほど結びつきを強めています。技術や知識へのアクセスの改善は、アイデアを共有し、技術革新を促す重要な方法です。開発途上国による債務の管理を支援する政策を調整するとともに、後発開発途上国(LDCs)向けの投資を推進することは、持続可能な成長と開発の達成に欠かせません。

平和と正義の推進は、持続可能な開発のための2030アジェンダを構成する17のグローバル目標の一つです。複数の目標を同時に達成するためには、包括的なアプローチが必要不可欠です。

グローバルな連帯の強化は、持続可能な開発のための2030アジェンダを構成する17のグローバル目標の一つです。複数の目標を同時に達成するためには、包括的なアプローチが必要不可欠です。

Goal 17: Partnerships for the goals

Goal targets

  • 課税及び徴税能力の向上のため、開発途上国への国際的な支援なども通じて、国内資源の動員を強化する。
  • 先進国は、開発途上国に対するODAをGNI比0.7%に、後発開発途上国に対するODAをGNI比0.15~0.20%にするという目標を達成するとの多くの国によるコミットメントを含むODAに係るコミットメントを完全に実施する。ODA供与国が、少なくともGNI比0.20%のODAを後発開発途上国に供与するという目標の設定を検討することを奨励する。
  • 複数の財源から、開発途上国のための追加的資金源を動員する。
  • 必要に応じた負債による資金調達、債務救済及び債務再編の促進を目的とした協調的な政策により、開発途上国の長期的な債務の持続可能性の実現を支援し、重債務貧困国(HIPC)の対外債務への対応により債務リスクを軽減する。
  • 後発開発途上国のための投資促進枠組みを導入及び実施する。
  • 科学技術イノベーション(STI)及びこれらへのアクセスに関する南北協力、南南協力及び地域的・国際的な三角協力を向上させる。また、国連レベルをはじめとする既存のメカニズム間の調整改善や、全世界的な技術促進メカニズムなどを通じて、相互に合意した条件において知識共有を進める。
  • 開発途上国に対し、譲許的・特恵的条件などの相互に合意した有利な条件の下で、環境に配慮した技術の開発、移転、普及及び拡散を促進する。
  • 2017年までに、後発開発途上国のための技術バンク及び科学技術イノベーション能力構築メカニズムを完全運用させ、情報通信技術(ICT)をはじめとする実現技術の利用を強化する。
  • 全ての持続可能な開発目標を実施するための国家計画を支援するべく、南北協力、南南協力及び三角協力などを通じて、開発途上国における効果的かつ的をしぼった能力構築の実施に対する国際的な支援を強化する。
  • ドーハ・ラウンド(DDA)交渉の結果を含めたWTOの下での普遍的でルールに基づいた、差別的でない、公平な多角的貿易体制を促進する。
  • 開発途上国による輸出を大幅に増加させ、特に2020年までに世界の輸出に占める後発開発途上国のシェアを倍増させる。
  • 後発開発途上国からの輸入に対する特恵的な原産地規則が透明で簡略的かつ市場アクセスの円滑化に寄与するものとなるようにすることを含む世界貿易機関(WTO)の決定に矛盾しない形で、全ての後発開発途上国に対し、永続的な無税・無枠の市場アクセスを適時実施する。
  • 政策協調や政策の首尾一貫性などを通じて、世界的なマクロ経済の安定を促進する。
  • 持続可能な開発のための政策の一貫性を強化する。
  • 貧困撲滅と持続可能な開発のための政策の確立・実施にあたっては、各国の政策空間及びリーダーシップを尊重する。
  • 全ての国々、特に開発途上国での持続可能な開発目標の達成を支援すべく、知識、専門的知見、技術及び資金源を動員、共有するマルチステークホルダー・パートナーシップによって補完しつつ、持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップを強化する。
  • さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップを奨励・推進する。
  • 2020年までに、後発開発途上国及び小島嶼開発途上国を含む開発途上国に対する能力構築支援を強化し、所得、性別、年齢、人種、民族、居住資格、障害、地理的位置及びその他各国事情に関連する特性別の質が高く、タイムリーかつ信頼性のある非集計型データの入手可能性を向上させる。
  • 2030年までに、持続可能な開発の進捗状況を測るGDP以外の尺度を開発する既存の取組を更に前進させ、開発途上国における統計に関する能力構築を支援する。