Photo by João Silas

 

アフリカへの投資は
日本企業にとって確かなビジネスであり、
持続的な事業戦略である

アフリカ開発会議(TICAD)では、アフリカにおいて日本企業の進出をより一層促すことを一つの目的としています。しかしながら、日本では多くの企業において事業投資に関する意思決定のプロセスが非常に入念に規定されており、日本からアフリカへの投資は関係者が期待するスピードで進んでいないというのが現状です。投資が伸び悩む主な理由の1つとして、多くの場合、アフリカにおける事業リスクが挙げられます。しかし、リスクと利益は不可分の関係にあり、ハイリスクな事業が往々にして高い利益を生み出すというのもまた事実です。

おそらくこれが、アフリカが世界で最も利益の見込める地域である所以でしょう。国連貿易開発会議(UNCTAD)の報告書によれば、2006年から2011年の間で、アフリカにおける海外直接投資に対する還元収益の割合は11.4%であり、他の地域と比べて最も高い値となりました(アジア:9.1%、ラテンアメリカおよびカリブ諸国:8.9%、全世界:7.1%)。ケニアに拠点を置き、中古自動車の販売を手掛ける日本企業のAA Japanを例にとると、2015年から2017年の間で、同社の売上は38%増加しました。しかしこれは、アフリカでの事業で潤沢な収益を上げている日本企業の好事例の1つに過ぎません。アフリカにおける事業の見通しは継続して良好なものであり、これから順に様々な要因を示していきます。日本の投資家にとってアフリカでの事業は命題となっていくでしょう。

 

アフリカ経済成長6つの要因

一つ目に、アフリカの経済成長予測が世界で最も明るいことが挙げられます。この5年間で、世界で最も急速な経済成長がみられた12か国のうち、6か国がアフリカの国でした(エチオピア、コンゴ民主共和国、コートジボワール、モザンビーク、タンザニア、ルワンダ)。国際通貨基金(IMF)によれば、2018年から2023年の間で、アフリカにおける成長の見通しは世界で最も明るいといわれています。日本にとって良いニュースなのは、日本が得意とする分野(銀行業、通信業、インフラ業)がこうしたアフリカの高度経済成長を支える基幹産業の一部となっていることです。こうした産業は日本企業にとって格好のビジネスチャンスになるでしょう。

二つ目に、アフリカと世界各国との貿易関係がますます深化している点が挙げられます。アフリカの商品・サービス・金融に関する取引額は2000年の4000億ドル(GDPの約60%)から2012年には1.6兆ドル(GDPの約82%)にまで増加しました。2013年を境に一次産品価格が逆転したことがこうした取引額の増加の一因となっています。

三つ目に、世界では多くの地域が高齢化に向かう反面、アフリカでは青年人口が増加し、非常に大きな市場を形成していく見込みです。2015年に11.9億人だったアフリカの人口は、2100年にはおよそ4倍に相当する43.9億人にまで増加すると試算されています。つまり、2015年の16.14%に比べて、2100年には世界の総人口の39.12%がアフリカに集まるということになるのです。また、2100年までに世界で増加する人口の実に約83%がアフリカ人となる試算です。2015年だけで、2億人ものアフリカ人が消費財市場に組み込まれました。このように急成長する市場を最大限に有効活用するためには、アフリカの経済構造の転換を積極的行っていく必要があります。

四つ目に、アフリカでは若年層の増加によって多くの労働者が生まれることになります。これによって労働集約的な産業や生産の低コスト化が見込まれ、アフリカでの事業は費用を大きく上回る収入を期待することができます。アフリカにおける一時間当たりの人件費は0.5ドル以下(例. モザンビーク:0.27ドル、ナイジェリア:0.34ドル、モロッコ:1.62ドル)であり、イギリス(10.49ドル)やアメリカ(7.25ドル)、日本(6.57ドル)と比べると、その差は歴然です。また、海外企業がアフリカへ進出していくことで、アフリカにおける労働者の賃率がグローバルな基準まで引き上がるだけでなく、その世代で取り残された人々への機会創出の一助となる事も期待されています。

五つ目に、アフリカには豊富な埋蔵資源があり、バリューチェーンの発展にも期待が寄せられています。全世界に占めるアフリカ大陸における石油の産出量は、1998年の9%から2015年の13%まで増加しました。特に、1980年から2012年の間の石油と天然ガスの産出量の伸び率は注目に値します((石油)1980年:534億バーレル→2012年:1303億バーレル、(天然ガス)1980年:6兆立方メートル→2012年:14.5兆立方メートル)。また、2012年の時点で、全世界のダイヤモンドの53.9%をアフリカが管理していました。2016年には、全世界のプラチナ(触媒コンバーターの原料)産出量の69.6%を南アフリカが占め、2017年には全世界のコバルト(電子機器の材料)の58%をコンゴ民主共和国一か国で占めていました。これらの資源に付加価値をつけるべく積極的に事業投資をしていくことは、ひいては向こう50年に渡って世界経済の動向を左右する事になるでしょう。

そして最後に、マクロ経済の堅実性やガバナンス指標の改善など国家レベルでの発展が徐々に見受けられるようになったことも、アフリカの経済構造の転換に積極的に関与する重要な動機となるでしょう。例えば、2017年に発表されたモ・イブラヒム・アフリカガバナンス指数によれば、アフリカにおける総体的なガバナンス指数は2007年以来年率1.4%で改善してきており、少なくとも12か国(コートジボワール、チュニジア、ルワンダ、エチオピアなど)では5%以上の改善率を示しています。こうした値は、多くの投資家たちが有するリスクの意識を緩和させる一助となるでしょう。より細かく、生産力、事業機会、発展度合に影響を与える政策要因や制度について調査を行う世界競争力レポート(2018)によれば、アフリカにおける少なくとも20か国は7点満点のうち半分以上のスコアを獲得しました。また、少なくとも24か国では前回に比べて、スコアを維持または改善が見られました。

 

 

パートナシップの強化

かつての歴史的な貿易や投資上のパートナーシップからの変化もまた、アフリカにおける関与の在り方に影響を与えています。アフリカの指導者たちは、これから先のパートナーシップ戦略は、アフリカの経済転換に資するパートナーの能力次第であるということを強く意識するようになっています。

アフリカの各国政府は、日本からの投資を最大限呼び込むために、こうした上向きな傾向をより一層高めていくべきです。そのためにはまず、アフリカの各国政府は腐敗の撲滅、治安の改善、マクロ経済における環境整備(低いインフレ率の維持、一桁台の貸出利率の推奨、債務持続性の確保など)、そして電気、道路、鉄道などのインフラの早急な整備に全力を傾けなければなりません。二つ目に、アフリカの各政府は、質の高い教育や技能開発、さらには労働市場の効率化や技術面の適応性に十分な投資を行うべきですし、こうした取組をより一層加速する必要があります。三つ目に、科学技術やイノベーション、さらにはビジネスの高度化を推進するための投資も重要です。最後に、在京のアフリカ大使館は経済外交へ力を傾け、日系企業の関心と重なる分野への投資を促進していくべきでしょう。

 

アフリカへの投資は今

このようにアフリカへの投資は、日本企業にとって確かな事業であり、持続可能な企業戦略となるのです。世界中の投資家たちが恩恵を受けているこうした投資機会を、日本の政府や企業も積極的に利用していくべきです。日本の政府開発援助(ODA)を用いて、日本からアフリカへの投資を促進し、リスクを払拭していくことが肝要です。日本貿易保険による、ガーナにおける浮体式の石油採掘・貯蔵プラント設備への保険は、素晴らしい試みであり、今後他のアクターによっても展開していくべきです。また、持続可能な開発目標(SDGs)はアフリカにおいて日本企業による投資機会を示唆してくれます。住友化学株式会社が開発した防虫剤処理蚊帳はマラリア撲滅に、日揮株式会社と日立製作所による海水の淡水化技術はきれいな水へのアクセスに、また損害保険ジャパン日本興亜株式会社が導入した天候インデックス保険は気候変動の緩和に、それぞれ寄与しています。アフリカにおいて日本企業はSDGsの17の目標それぞれを通じて、ビジネスによる課題解決手法と投資の機会を見出すことができるでしょう。今こそ、アフリカへ投資をする時なのです。


アヨデレ オデュソラ | UNDPアフリカ局・チーフエコノミスト
ナイジェリア大統領府やIMF、UNDPのアフリカ事務所数か国での勤務経験を有し、UNDPアフリカ局のブレインとしてアフリカの人間開発報告書、経済報告書、SDGs報告書といったUNDPの主幹レポートの執筆を統括するとともに、UNDPのアフリカにおける支援政策策定に中心的役割を果たしてきました。数多くのアフリカ政府にて国家開発計画策定支援を行ってきました。

UNDP 各国事務所(英語)

You are at UNDP 東京 代表事務所
Go to UNDPグローバル

アゼルバイジャン アフガニスタン アラブ首長国連邦 アルジェリア アルゼンチン アルバニア アルメニア アンゴラ

イエメン イラク イラン インド インドネシア

ウガンダ ウクライナ ウズベキスタン ウルグアイ

エクアドル エジプト・アラブ エスワティニ エチオピア エリトリア エルサルバドル

カーボべルデ

ガイアナ

カザフスタン

ガボン

カメルーン

ガンビア

カンボジア

ガーナ

ギニア ギニアビサウ

キプロス キューバ キルギス

グアテマラ

クウェート クロアチア

ケニア

コートジボワール コスタリカ コソボ コモロ コロンビア コンゴ共和国 コンゴ民主共和国

サウジアラビア サモア(マルチ・カントリー・オフィス) サントメ・プリンシペ

ザンビア

シエラレオネ

ジブチ ジャマイカ ジョージア

シリア

ジンバブエ

スーダン スリナム スリランカ

セネガル セルビア

ソマリア

タイ タジキスタン タンザニア

チャド チュニジア チリ

ティモール

トーゴ

ドミニカ

トリニダード・トバゴ トルクメニスタン トルコ

ナイジェリア ナミビア

ニカラグア ニジェール

ネパール

ハイチ

パキスタン パナマ パプアニューギニア パラグアイ

バルバドス

パレスチナ人支援プログラム

バングラデシュ バーレーン

フィリピン

ブラジル ブルキナファソ ブルンジ ブータン

ベトナム ベナン ベネズエラ ベラルーシ ベリーズ

ペルー

ボスニア・ヘルツェゴヴィナ ボツワナ ボリビア

ホンジュラス

マダガスカル マラウイ マリ マレーシア

ミャンマー

メキシコ

モーリシャス & セーシェル モーリタニア モザンビーク モルディブ モルドバ モロッコ モンゴル モンテネグロ

ヨルダン

ラオス

リビア リベリア

ルワンダ

レソト レバノン

ロシア

赤道ギニア

太平洋地域事務所

中央アフリカ 中国

南アフリカ 南スーダン

北マケドニア 北朝鮮