新型コロナウイルスの影響を受けた国々へのUNDPによる支援は医療分野を超えて

2020年3月31日

この危機が封じ込められず、包括的に迅速に対処されない場合、壊滅的な社会的・経済的・政治的危機につながり、その傷は今後何年も続く可能性があります。Image: Angelina Bambina/Shutterstock.com

沈黙が広がるロックダウンされたニューヨークのアパートで、時間が経つにつれて私はより窮屈さを感じています。時折聞こえてくる救急車のサイレンが単調な生活を崩します。 「眠らない街」での静けさと無人の通りはとても奇妙ですが、今や米国での新型コロナウイルス蔓延の中心地となっています。

現在、米国では68,300件(3月28日時点)を超える新型コロナウイルス感染者が確認されており、事態はさらに悪化することが予想されます。比較的質の高い医療にアクセスできるニューヨークであっても、この迫り来る大規模な医療危機には、ほとんど備えがなかったのです。アメリカの外では、パンデミックはより大きな人道と開発の危機に発展しています。

新型コロナウイルスは地球全体に広がる

基本的なインフラや備えがはるかに少ない国々を憂慮しています。ウイルスを封じ込めて「曲線を平坦化」するための鎮静化は、マンハッタンのアップタウンと南半球の国々でのそれは大きく異なります。すでに、世界保健機関(WHO)によると、新型コロナウイルスは200を超える国と地域、地球全体に広がっています。

この危機が封じ込められず、包括的かつ迅速に対処されない場合、壊滅的な社会的・経済的・政治的危機につながり、その傷は今後何年も続く可能性があります。多くの国が過去20年間で開発によって得た利益を数週間または数か月で逆転させてしまう寸前のところにいることを想像してください。この影響の多くは、紛争、災害、気候変動によって深刻な人道的危機に直面している地域で見受けられます。今回の危機によって世界経済は2020年に1兆米ドルの打撃を受ける可能性があり、世界人口の半分以上を占める社会的保護を受けていない人々ははるかに悲惨な状況に追い込まれると思われます。

我々は新型コロナウイルスの蔓延を抑え、脆弱な人々や経済への壊滅的な打撃を和らげるために、医療セクターを超えた課題に立ち向かう包括的なアプローチを確立するために各国を支援すべきです。

準備、対応、復興

現場での豊富な経験を基に、国連は新型コロナウイルスの人道的影響を緩和するための計画を策定しました。今週から始まった20億米ドルのCOVID-19グローバル人道支援計画(HRP)は、3つの優先事項に焦点を当てています:パンデミックの拡大を抑制;人権、社会的結束、および生計悪化への取り組み;難民、国内避難民、移住者、ホストコミュニティの保護と支援への取り組みです。

私たちは、国の医療制度、生計、地域社会の関与および社会的結束への支援を提供するとともに、偏見と差別に関する問題に取り組み、脆弱な人々とコミュニティの基本的人権、正義、および心身の安全を守ります。私たちは西アフリカでのエボラ出血熱の集団発生(アウトブレイク)における経験と、エイズ・結核・マラリアと戦うグローバルファンドとの長年にわたるパートナーシップを活用しながら、HRPの対象となる51か国の保護、対応、復興支援を実施します。

HRPの枠組みに留まらず、私たちはすでに各地で活動を起こしています。マダガスカルでは、世界銀行・国際連合児童基金(UNICEF)・世界食糧計画(WFP)と共に、かつてないほどのリスクに晒されている脆弱な人々を支援する革新的な社会保障イニシアチブの立ち上げに関与しています。

レバノンでは、首相府に設置された我々の災害マネジメントユニットが危機管理において政府に直接的に働きかけています。これは、我々が2015年に設立を支援し、設備の整った「危機管理センター」のおかげで現在の取り組みに至っています。このようなセンターは危機的な状況において重要な役割を持ちます。

アフリカの国々では、マスクなどの個人用保護具、人工呼吸器、検査キットなどの重要な医療機器の調達を支援するだけでなく、国家と市民の間の社会契約を修復し、より効果的な新型コロナウイルスに関する公共メッセージを出すための戦略も立てます。現在のフェーズでは政府機関への国民の信頼を再構築することも重要になっています。

迅速かつ大胆に行動する

UNDPは約170の国と地域に展開しているため、迅速かつ大胆に行動できるだけでなく、パンデミックの結果として発生する可能性のある他様々な危機への対策を計画して防ぐことができます。例えば、暴力に対する女性と女児の脆弱性の増加、移民・難民・国内避難民に対する差別の増加、集団抗議運動、および法と秩序の全般的な悪化などへの対策が含まれます。

私たちは24時間体制で、可能な限り既存のプログラムをこの危機への対策で活用できるように調整しています。包括的で、公平且つインクルーシブな誰も取り残されないようにする新しい革新的な解決策を考え出すことを目指しています。持続可能な開発目標(SDGs)が2015年に発足されて以来、世界中の国々がその達成に向けて驚くべき進歩を遂げています。この潮流を次の10年も継続していくことが非常に重要です。

UNDPは国連全体の統合的対応の一環として、新型コロナウイルスにSDGsに関する進捗を消し去らせはしないと固く決意しています。パンデミックによって最も大きな打撃を受けた国々に対し危機から守る抗体を注入しましょう。今こそ共に行動する時です。