手を洗っている間はまだ途中

ペルーの300万人以上の人々が新型コロナウイルス予防・手洗いのためのきれいな水へのアクセスがありません。

2020年4月3日

300万人以上のペルーの人々が手洗いのためのきれいな水へのアクセスがない。持続的かつ安全なきれいな水は、適切な衛生状態を確保し伝染病を食い止めるために必要な人々の生活にっての基礎である。Photo: UNDP Peru

新型コロナウイルス(COVID-19)の蔓延により、世界中の医療システムの弱点と、迅速に行動することの重要さが明らかになりました。予防、そして感染を止めるために誰もができる、そしてしなければならない衛生対策に多くの重点が置かれてきました。これらの1つは頻繁な手洗いです。

しかし、きれいな水にアクセスできない例えばペルーの300万人以上の人々、そしてラテンアメリカ5000万人の人々はどうやって手を洗うことができるでしょうか。

洗剤を使って油で汚れた皿を洗うのと同じ方法で、ウイルスは石鹸で破壊できる脂質層で覆われているため、水と石鹸で1日に何度も手を洗うことは感染を回避する基本的な方法の1つです。頻繁な手洗いは、コレラやエボラ出血熱など、他の多くの伝染病の蔓延を防ぐのに役立ちました。

322,562人が感染し、2,909人が死亡したペルーのコレラ流行の始まりである1991年時点では、たった51%のペルー人だけがきれいな水に、そして41%が衛生設備を利用できました。2000年にコレラ流行が抑制された後、ペルー人の約70%がきれいな水にアクセスできるようになりました。

水は生活の基礎

持続的かつ安全なきれいな水は、適切な衛生状態を確保し伝染病を食い止めるために必要な生活の基礎です。先日、中国の疾病対策センターは、新型コロナウイルスによる感染が糞口感染によっても起こり得るという証拠を発見しました。これにより病気の蔓延を防ぐための適切な衛生設備の需要が高まるでしょう。

ペルーの国立統計情報研究所によると、自宅に直接到達するか、または共有水源を利活用という形で、同国都市人口の90.7%は公共の水にアクセスできます。しかし、共有資源へのアクセスを含めない場合、数値は85%に減少します。農村部では、この数値はさらに減少して74.4%になり、50%未満の自治体もあります。それがペルーで水へのアクセスが無い300万人なのです。

持続的なアクセスが不可欠

もう1つの懸念は、水へアクセスできるからといって24時間それを利用できるとは限らないということです。国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC/CEPAL)の2018年の報告によると、ペルー16の都市のうち、平均して1日22時間以上水にアクセスできたのは19%にとどまり、12時間以上アクセスできたのは56%の人々だけでした。国連児童基金(UNICEF)と世界保健機関(WHO)の共同監視プログラムによると、ラテンアメリカ人の82%は安全な飲料水にアクセスできますが、安全な衛生設備を備えているのは37%だけです。これらの数値は、新型コロナウイルスだけでなく、水系伝染病による感染についても地域の脆弱性を明らかにしています。

以上のように、水へのアクセスが少ない、もしくは無い場合、彼らはすでに脆弱な状況にあり、パンデミックが発生するとさらに状況が悪化します。水不足は開発や基本的なサービスの提供可能性が制限されるだけでなく、彼ら自身がウイルスに感染し、そして第三者に感染させるリスクも高まります。手を洗うことができないだけでなく、水を得るために外に出なければならず、それゆえに衛生処理が施されていない水を飲むことで病気になる危険性もあるのです。

パンデミックの広がりを抑える

水は、このパンデミックを抑えるための必要不可欠な要素です。飲料水があることで、私達は頻繁に手を洗ったり、ウイルスが生存する可能性のある衣服や場所を洗ったり、人々を家の中にとどめ、水を得るために外に出なくてもよくなるため危険を冒さなくなります。また、新型コロナウイルスの脆弱性を増加させる可能性のある、デング熱などの水によって蔓延する他の病気にかかるリスクも減少します。誰かが感染した場合であっても質の高いきれいな水への継続的なアクセスにより、病院、診療所、隔離期間で家にいる人々に対する医療サービスが適切に機能するでしょう。

水の欠如という課題に向き合うために、リマ上下水道公社(SEDAPAL)は安全な水へのアクセスがない家庭に無料の安全な飲料水を配布しています。 国連開発計画(UNDP)は100万人以上の人々が暮らすサンファンデルリガンチョ地区において、人口密度マップを提供、また、同地区52か所すべての給水トラック積載所での給水最適化をするための最も効率的なルートを提案するなど、SEDAPALを支援しています。

水格差を減らす

安全な水の供給措置はペルーとラテンアメリカのすべて、特に最も脆弱な地域で実施されるべきです。地域のすべてのサービス事業者と地方自治体はこのイニシアチブを再現、実施することを推奨します。これには水不足を唯一の基準としながら、水を最も届けにくいコミュニティへの新しい届け方法を探すべきです。それは、直接的な水供給か、緊急用水衛生キットの配布のどちらかになる可能性があるでしょう。すべての人への飲料水と衛生設備の提供がない場合、私たちはウイルスの蔓延を抑えたり、危機が過ぎたときに人々がウイルスから回復できるような状況を実現できません。すべてが収束したとき、私たちは協力してこの格差を減らし、きれいな水なしで生きる必要があるという状況を再び作らないように努力する必要があるのです。