世界保健デーに看護師と助産師への感謝を

2020年4月7日

ザンビアのチョンゲ地区病院で、胎児の心拍数を確認する助産師チパゴ・ニリモ(2018年5月)。この診療所は、UNDPとNOREPにより提供されたソーラーパネルを活用し、安定した電気供給により救命活動を行っている

4月7日は「世界保健デー」です。現在新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックが猛威を奮っているせいで、今年の世界保健デーは私たちにとってますます特別な意味を持つ日となるでしょう。

新型コロナウイルスの脅威が世界中に広まる中、この数か月間、私たち多くの人々は健康のことばかりを考えるようになりました。

ウイルスは、国境を越え、肌の色、宗教、身分に関係なく感染を拡大していきます。先進国と途上国は、ここ数世代ぶりに同じ敵を相手に、それも同時に立ち向かっているのです。

前線で活躍する医療従事者は、自分たちをリスクにさらしても、目の前の命を救うために全力を尽くしています。

世界保健機関(WHO)は、2020年の世界保健デーを、新型コロナウイルスのパンデミックにおいて益々重要性を増している、看護師と助産師の活躍に感謝を捧げる日としています。

世界中で2億人の医療従事者が活躍しています。その中でも女性の割合は急速に増加しており、全体の70%にも上っています。しかし、グローバルヘルスに貢献する女性のうち半分は、無給で働いているのが現状です。


59歳のディルマ・モンテロ・グァジャーニは、ボリビアのアマゾン地域のペキーンの僻地で、マラリアの早期発見と治療のためのボランティア活動をしています。写真2枚目の右:26歳のヘイディー・チナリ・ペニャローサは、1歳の息子、エスティト・フェルナンデス・チナリをマラリアテストに連れてきました(2018年4月)

WHOと連携するパートナー機関は、看護師と助産師の労働力を強化するための提言をする予定です。国連開発計画(UNDP)はWHOと共に、医療従事者が十分強化され、全ての場所で、全ての人が医療ケアを受けることができるよう、活動を続けていきます。

これは、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)に関するグローバル目標、特に持続可能な開発目標(SDG)ゴール3(すべての人に健康と福祉を)を達成するためには特に重要です。少なくとも世界人口の半分が、未だに基礎的な医療保健サービスへのアクセスが完全にはなく、この不平等は私たち人類にとって脅威となります。新型コロナウイルスパンデミックが、驚くほどの明確さで私たちに示したように、最も脆弱な保健システムが世界のどこかに存在している限り、私たちの住む世界は危機に強くなることはないのです。

開発を主導する国連機関として、UNDPはパートナー団体や機関と連携し、危機に強く、持続可能な保健システムを構築するために支援を行っていきます。UNDPは、現在起きている危機の水面下にある、社会的、構造的、経済的、そして環境面での要因がどう医療における不平等に影響するか分析し、解決していきます。こうした役割は、新型コロナウイルスが開発途上国に広がるにつれて、益々重要になります。

このパンデミックにより、現存する不平等は拡大され、これまで数十年間かけて達成した開発の成果を後退させる可能性があります。


ザンビアのチョンゲ地区病院で、UNDPとNOREPにより提供されたソーラーパネルを活用し、安定した電気供給が行われることにより、看護師と助産師はより効率的に働くことができる。写真1枚目:健康な女児の出産を介助する助産師ホラ・チポ 写真2枚目:手術のために手術室の準備を行う手術室看護師のフィリモン・ズル Photos: UNDP/Karin Schermbrucker for Slingshot

WHOのデータによると、世界の国の40%において、人口1万人に対する医師数は、10人以下となっています。

世界の多くの人々には、残念ながら基本的な手洗いの方法といった知識も届いていません。国連は、サブサハラアフリカにある学校の半分以上は、飲料水や、手を洗うための設備を持っていないと推計しています。世界においては、5人のうち2人は、基礎的な手を洗うための設備を家に持っていないのです。

UNDPはSDGsをベースとした革新的なソリューションを提供することにより、パートナー団体は地域のニーズに応えることを可能にしています。UNDPは『誰一人取り残さない』を基礎とし、特に女性、HIV陽性者、セックスワーカー、LGBTI、障がい者、気候変動の影響を受けている人々、そして人道危機の中生きる人々のような、最も脆弱な人々を含めた、すべての医療ケアのニーズを満たすために活動を続けていきます。

アフガニスタン、クンドゥズのHIV治療予防センター。医療従事者が、新型コロナウイルスの感染予防のための装備を装着し、HIV陽性者への治療が滞らないよう活動を続けている。Photo: UNDP Afghanistan/YHDO

しかし、新型コロナウイルスのパンデミックは、医療危機に留まらず、開発全体に関わる危機なのです。

この世界健康デーに、世界中の保健システムがパンデミックに取り組む中、UNDPは新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため世界中の国々とそこで働く医療従事者を支援していきます。また、このパンデミックに備え、対応し、復興するために世界中の国々に支援を続けていきます。

こうした取組みは、簡単ではありません。新型コロナウイルスのパンデミックは、まるで気候変動における課題が加速してしまったようなものです。気候変動がそうであるように、これから先何年も、そしてもしかすると永遠に、世界のどこに住んでいたとしても、私たちの生活、生き方を変えてしまうでしょう。また、最も脆弱な人々が影響を受けるということも、気候変動とパンデミックに共通しています。

世界保健デーに、世界中の保健システムがパンデミックに取り組む中、UNDPは新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため世界中の国々や現場で働く医療従事者を支援していきます。Photo: WHO Moldova/Dinu Bubulici