ナミビアのUN Houseの前での記念撮影 Photo: Anna Johannes/UNDP Namibia

 

私は2021年9月から、国連ユースボランティア事業のボランティアとして、国連開発計画(UNDP)ナミビア事務所・農業関連プロジェクトチームに所属し、緊急事態や疾病関連の衝撃から回復するためのナミビアの食料システムの強化に向けた日本政府とのパートナーシップによる事業「よりよい復興(Build Back Better)」計画プロジェクト(以下、「よりよい復興」計画プロジェクト)に携わっています。  

首都ウィントフックにある有名な教会Christuskirche Photo: Emiri Yamada/UNDP Namibia

 

ナミビアは、植民地化やアパルトヘイト政策など苦しい時期を経て、1990年に独立をした新しい国です。ナミブ砂漠を代表とした広大な自然を保持し、国中のインフラが整備され、首都のウィントフックは非常に住みやすい街となっています。経済に関しては、牧畜や鉱業、観光産業が非常に強く、新型コロナウイルスのパンデミックが発生するまで、経済状況は鰻登りでした。最も興味深いのは、ナミビアのジェンダー平等に関してです。2021年の3月に世界経済フォーラム(WEF)が発表した「世界ジェンダー・ギャップレポート」で、日本は120位だったのに対し、ナミビアはジェンダー平等が進んでいる国として、世界6位にランクインしています。過去に、人種差別の影響を大きく受けたナミビアは、独立後、男女平等をはじめとした全ての人に平等な国づくりを目指し、政策を行ってきました。2013年に与党である南西アフリカ人民機構(SWAPO)は、議会での男女比率を50:50にすることを目指す政策を施行し、2021年時点では44%が女性議員で構成されています。

 

この地図で採用されている名称や表現は、国や地方、都市及び地域の法的地位や、国境や教会の画定に関して、国際連合事務局や国連開発計画のいかなる家権を表明するものではありません。

 

一方で、ナミビアが抱えている問題も多く存在します。まずは、失業率の高さです。ブルームバーグによると、ナミビアの失業率は33.4%で、82カ国の調査対象国のうち南アフリカにつぎ、第2位に高い失業率でした。そして、経済成長の伸びに反して、富裕層と貧困層の経済格差も大きな問題となっています。所得の不平等を測る指標であるジニ係数を用いると、日本が0.33であるのに対して、2015年時点のナミビアのジニ係数は0.59と高い数値を示しています。[1] また、都市部では、急速な人口流入や貧困に起因する食料の安全保障問題への早急な対応が必要です。

そこで、UNDPナミビア事務所では「よりよい復興」計画プロジェクトを実施し、若者や女性を中心とした、都市部の小規模農家や個人生産者、非公式な食料供給者400名を対象とし、園芸作物の生産の推奨や市場の衛生環境の改善に取り組んでいます。

(プロジェクト詳細はナミビアの人々を中心に置いた「よりよい復興」(ビルド・バック・ベター)—都市農業計画の実施(UNDP駐日代表事務所HP)を参照)


[1] 係数が0に近づくほど所得格差が小さく、1に近づくほど所得格差が大きい。

Photo: Nneka Femi-Kayode / Blueberry Communications & Marketing Support

 

私は10月に、このプロジェクトを通して園芸作物の生産に関する研修生の修了式に出席しました。この式典では、これまでの研修の成果発表や、研修生による感謝の気持ちなどを聞く時間があったのですが、私は彼・彼女たちの話を聞いて、「日本人であること」について深く考えさせられました。このプロジェクトは私が渡航する半年前から始まり、渡航した9月末は第二期が終わるタイミングであったため、私自身が協力できたことは、ナミビアの都市部が抱える食料の安全保障問題に関する課題についての情報収集やステークホルダーとのメールを通じたコミュニケーション程度でした。それにも関わらず、研修生が私を日本人と認識するとすぐに駆け寄ってきて、感謝の気持ちを伝えて下さりました。このプロジェクトは日本政府が出資しており、プロジェクトに関する資料や広報物など全てに、”From the People of Japan” という記載がされています。そのため、私自身に自覚がなくとも、受益者からすると、私を含む全ての日本人がこのプロジェクトへの出資者という認識なのです。感謝の意を伝えられた時、私は嬉しさよりも戸惑いの感情を持ち、この感情を自分の中でどう受け止めていいのかわからない日々が続きました。しかし今では、地球の反対側で、全く知らない人たちが、日本人に対して感謝の意を持って生きているということを、多くの日本人に伝えたいという気持ちに変わりました。

 

ステークホルダーと受益者の方々との記念撮影 Photo: City of Windhoek

 

このプロジェクトで私が一番大きく関わっているのは、E-Voucherシステムの導入です。これは日本企業である、日本電気の子会社(NEC XON)による技術協力のもと、農水・土地改革省(MAWLR)や環境投資財団(EIF)などのステークホルダーと共に、ナミビア政府から小規模農業従事者への緊急助成金をキャッシュレスで分配することを目的としています。ナミビア政府は過去に、この助成金を紙媒体の金券で支給していましたが、様々な問題が生じていました。そのため、このシステムを導入することで、手間・時間の削減、データの透明性の確保、不正の防止など多くのメリットを期待することができます。このシステムの導入は、2022年1月から本格始動する予定のため、具体的な成果はまだ出ていませんが、日本企業によって日本の技術がナミビアの人々のために有効活用されるということは、日本人として非常に誇りに思います。

 

NEC XONの担当者との記念撮影 Photo: Naveshitje Haindongo/UNDP Namibia

 

私が国連ユースボランティア事業に参加した理由は、ずっと憧れを抱いていた国際連合で勤務経験を積めることが魅力的だったからです。中学生の時に初めて「国際協力」という言葉に出会い、18歳の時にタンザニアで、初めての海外ボランティア活動に参加しました。このボランティア活動を通して、国際協力という夢がぼんやりとしたものから確信に変わったのを今でも覚えています。その後、関西学院大学総合政策学部に進学し、国際政治を中心としながら、開発学や人権学などを学んでいく過程で、国際連合での勤務を志すようになりました。この事業に参加したことは、自分の人生の中でも最良の決断であったと感じています。海外に長期滞在することも、日本人が自分一人だけという環境に身を置くことも、学部生のボランティアでありながら職員の一員として働くことも初めての私にとって、何事も順風満帆に進んだわけではありません。特に最初は何もわからず、どんなに小さい仕事でも迷惑なのではないかと思うほど質問をしなければ理解できず、一つの仕事を終えるのに非常に長い時間がかかりました。だからこそ、上司に自分の仕事を褒められた時の喜びは非常に大きく、未熟ながら自分の成長を日々感じています。また、自分の仕事が、受益者に結びついていると感じた時の感動は、忘れられない記憶として心の中に残っています。プロジェクトドキュメントや国家政策に関する書類を読み込むところから始まった私の仕事が、今では議事録やワークプランの作成、コンセプトノートの執筆や支払いの申請など大きく広がっていき、一つ一つの経験が、自分の将来の目標に確実に近づいていると、胸を張って言うことが出来ます。


園芸作物の生産に関する研修生の修了式での記念撮影 Photo: Anna Johannes/UNDP Namibia

筆者:山田えみり
国連開発計画(UNDP)ナミビア事務所・農業関連プロジェクトチーム所属国連ユースボランティア

2018年に関西学院大学総合政策学部に入学後、二年次から少人数制の副専攻プログラム「国連・外交プログラム」生に選出。在学中は複数の海外ボランティアに参加し、2021年9月より、本事業に参加。2022年4月に関西学院大学卒業後は、同年9月より、ヨーク大学で人権修士号を取得予定。


※国連ボランティアについては、国連ボランティア計画(UNV)ホームページを参照。

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