photo: UNDP Central African Republic

 

中央アフリカ共和国とUNDP

現在、UNDPの中央アフリカ共和国にて、プログラムスペシャリストとして、紛争によって破壊されたコミュニティの経済復興や平和構築、暴力的過激主義の予防に携わっています。中央アフリカは日本ではほとんど知られていませんが、2014年に起きた大規模な紛争以来、いまだに各地で暴力行為が蔓延しています。2019年に14の反政府勢力と政府との間で停戦協定が結ばれたものの、その協定が必ずしも履行されておらず、地域住民が危険にさらされています。以前からの度重なるクーデターや大きなアフリカ大陸の中央に位置するがゆえに物流が難しく、政治的にも経済的にも不安定な状況が続いており、世界で最も経済的に貧しい国の一つです。国民の半数は人道支援に頼っており、人口の4分の1は難民、避難民となっています。

そういった状況の中、UNDPの役割は多岐に渡ります。人道支援と開発支援そして平和構築の3つの分野をつなぐことができる専門性を持つ数少ない国連機関であるため、和平合意の実施支援、経済復興、法の支配、ガバナンス、選挙支援、国家計画の策定など、様々な分野での支援が期待されています。これらの分野を包括的にカバーできるのは他の国際機関にはないUNDPの特徴です。具体的には、経済復興分野では職業訓練や資本金支援などを通じた若者や女性を中心とした小規模ビジネスの支援を行います。法の支配とは、警察や裁判所を機能させて、さらには紛争中に戦争犯罪や人道に対する罪を犯した人たちを裁くための特別司法裁判所の設置など犯罪者の不処罰を防ぐプロジェクトがあります。ガバナンスでは政府・省庁のデジタル化(特にコロナ禍でオンライン会議が実施できるように)、地方政府の能力強化などを行い、特に政府機能の弱いこの国で政府が国民の信頼を回復し、基本的な社会サービスを提供できるよう支援します。

業務内容

現在は首都バンギにて、平和構築や経済復興プロジェクトの立案から実施まで幅広く担当しています。プロジェクトマネージャーとして資金の管理を行う一方、活動内容についてドナーやNGO等のパートナーと意見交換をしたり、プログラムの内容についてパートナーNGOのための研修も行います。

中央アフリカ共和国では紛争によって役所などのインフラが破壊され、多くの人が職を失ったコミュニティが数多くあります。どうすればその人達が人道支援を受けている状態から、紛争を再発させずに自立して収入を得ることができるかを前提に紛争分析を行ったうえでプロジェクトを立案します。紛争国の人口は若者が多く、仕事がなければ反政府軍に参加したり、暴力的過激主義に傾倒したりするので、収入の確保が重要です。また、地方自治体が最低限のサービスを提供できるようにすること、コミュニティ内での紛争予防システムを構築するなど、様々なアプローチを組み合わせて複合的な取り組みをしないと、成功を導くことは難しくなります。

受益者が収入を得るためには職業訓練だけでなく、ビジネスの知識も必要です。そのためには読み書きができないといけませんが、女性の多くは非識字で、識字教育も必要になってきます。限られた資金で効率良く受益者の技術やビジネススキルの向上をするために、担当しているプロジェクトでは日本発のビジネス手法である5Sカイゼン※も取り入れました。知識だけでなく、効率良くビジネスをするマインドをもたらしてくれるため、費用対効果の非常に高い手法です。また、公共サービスの復活やコミュニティ内での紛争防止メカニズムを構築するためにも既存の組織に加えて若者や女性のリーダーを育てて多くの住民が参加できるような仕組み作りをしていく必要があります。

プロジェクト立案は押しつけでもいけないし、受益者の希望を全て聞き入れると自立を妨げてしまう可能性もあります。紛争分析を行った後、様々な方面からアイディアをもらい、自らの知識や経験を活かしながらプロジェクトをつくります。柔軟性や創造性、理論的に物事を組み立てる能力が必要とされます。


※5つの「S」、すなわち整理・整頓・清掃・清潔・しつけを心がけ、無駄をなくし効率を上げ、安全性を高める手法のこと。「カイゼン」とは「改善」を指し、日本語がそのまま使われています。

困難とやりがいと

紛争国でのプロジェクト実施は常に困難が付きまといます。プロジェクトサイトで紛争が再発して中止になったり、海外から届いた機材が税関で紛失したり、案件を一緒に作ってきたカウンターパートが突然更迭されたりと、トラブルシューティングに多くの時間を割かれます。普通のことが普通にできなくなるのが紛争影響国の大変なところです。紛争によって基礎インフラが破壊され、公共・金融サービスはなくなり、人々の信頼関係なども失われ、収入も失われます。失うのは一瞬ですが、それをもとに戻すのにはとても多くの時間と労力が必要です。戦略的に物事を考えながら、調達や人事、お金の支払いなど日々の業務も通常の数倍の時間をかけながら進めていきます。

このように実は地味な仕事が多いのですが、やりがいも多いです。まず毎日新しい問題が起こるので仕事に飽きがきませんし、常に新しい発見があります。一見理不尽なことが起きていても突き詰めると原因が見えてきて、相手側の気持ちもわかるようになります。 国の戦略文書作成にかかわることも多く、中央アフリカ共和国の「過激化・暴力的過激主義防止国家戦略」の策定責任者として自分の知見を活かして政府関係者と議論を交わし、発表まで携われたのはとてもやりがいのある仕事でした。また、我々現場の意見が国連安保理への報告書に採用されることもあります。こういった現場と国家的、もしくは国際的な枠組みとを繋げる仕事もできるのもUNDPでの仕事の魅力でもあります。

最後に、やはり受益者や現地のカウンターパートと信頼を築き、プロジェクトの成果が出て喜んでもらえた時、復興に向けて光が見えてきたときなどは、やっていて良かったなと思う瞬間です。 平和構築に関心のある人にとってはUNDPはとても適した組織だと思います。紛争国でのプログラムが多岐に渡るがゆえに、自分の専門性も活かしながら、より包括的な視点で平和構築をとらえることができます。現場で紛争被害者と直接関わって支援することも可能ですし、本部や地域事務所で戦略文書を作成したり各国のサポートをすることも可能です。少しでも多くの人がUNDPを通じて平和構築に携わってくれることを願っています。


槌谷恒孝
UNDP中央アフリカ共和国事務所
プログラムスペシャリスト
 
岐阜県出身。青年海外協力隊でブルキナファソに赴任。帰国後商社に勤務しアルジェリアに駐在。退職後、イギリス留学を経て、JICAアフリカ部特別嘱託、JICAコンゴ民主共和国事務所企画調査員、国連WFP東京事務所コンサルタント、UNDPコンゴ民主共和国「警察改革プロジェクト」プロジェクトマネージャー、「南ウバンギ州における紛争影響コミュニティの安定化と再統合のための緊急プロジェクト」プロジェクトマネージャー、「北キヴ州ルチュル地域における元児童兵の社会復帰のための国連共同プログラム」プログラムコーディネーターを経て現職。

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