日本とUNDP: 欧州・CIS地域における人間の安全保障の構築

日本とUNDP: 欧州・CIS地域における人間の安全保障の構築

2017年3月13日

欧州・独立国家共同体(CIS)地域における国連開発計画(UNDP)の活動は、東欧、トルコ、中央アジアの21の国と地域を対象としています。

UNDPは、日本やその他のパートナーと連携し、域内での持続可能な開発目標(SDGs)の達成を支援しています。その狙いは、人間の安全保障と強靭性を高め、ガバナンスと人権状況の改善を通じて人々のエンパワーメントを図り、より持続可能な成長モデルを促進することにあります。

過去25年間で、域内各国が国家社会主義からの移行を遂げ、中には欧州連合に加盟したり、国際援助のドナーになったりする国も出てくる中で、数百万人の健康、教育、所得が改善しています。例えば2001年以来、中間層の規模は3倍に拡大したと見られています。

しかし、欧州とロシア連邦、そして域内の多くの国々では、一次産品価格が低迷し、国外からの送金額が減少し、経済成長が減速する中で、所得と雇用の創出機会がなくなってきています。ディーセント・ワーク(人間らしい働きがいのある仕事)を持たない人々は、貧困に陥ったり、社会的に排除されたりする危険が高まり、中でも女性や若年労働者、HIV感染者、障害者は特に、社会から隔絶されて暮らすことが多くなっています。

また、欧州・CIS地域はさまざまなリスクにも直面しています。その中には、黒海やカスピ海周辺での長引く地政学的紛争や、大量の難民流入と関連するものが多くあります。

さらに、この地域は大量の温室効果ガスを排出していないにもかかわらず、域内の比較的貧しい国々は、異常気象や水資源への圧力増大など、気候変動によって不当に大きな影響を被っています。こうした課題によって、これらの国々が開発アジェンダへの取り組みを進めることは、余計に難しくなっているのです。

域内の教養ある労働力、比較的高いジェンダーの平等水準、若年層の多い人口構成は、平和と現代的で活力のある経済創出の鍵を握っています。再生可能な天然資源を大量に抱えていることも、より持続可能な成長モデルの促進に役立つ可能性があります。

SDGs、特にその目標16(「平和と公正をすべての人に」)、目標10(「人や国の不平等をなくそう」)、さらには目標8(「働きがいも、経済成長も」)はいずれも、欧州・CIS地域が日本をはじめとするパートナーの支援を受けながら、これらの重大課題に取り組むための重要な機会を提供しています。