人間開発報告書1995 「ジェンダーと人間開発」

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人間開発報告書1995 「ジェンダーと人間開発」

1996年1月15日

人間開発は、ジェンダー問題を解決しない限り、その存在自体が危うくなる。これが「人間開発報告書 1995」からの単純だが遠大なメッセージである。本報告書では過去数十年間にジェンダー格差がどのように縮小されたかを分析し、女性の能力の伸びに対する社会参加の機会が狭く、そのギャップが執拗に大きいことに焦点をあてた。またジェンダーの平等がどのように実現されているかを世界的に測定し、国ごとに順位をつける新しい二つの測定方法を紹介した。女性の仕事が過小評価、あるいは仕事として認識すらされていない状況を分析し、この先数十年間にジェンダーの機会均等を推進するにあたり、5項目の戦略を提案している。

今年度の報告書の斬新な企画として「ジェンダー開発指数」(Gender-related Development Index-GDI)と「ジェンダー・エンパワーメント( 社会進出)測定」(Gender Empowerment Measure-GEM)という二つの新しい複合指数を企画した。いずれもジェンダー平等に関して、世界中の国に順位をつけたものである。GDIは人間の能力に関して男女がいかに平等でないかをとらえ、GEMは政治と経済という重要分野に女性がどれだけ進出して意思決定をしているか、そこでの不平等ぶりを撮影したものである。

また本書では初めての試みとして、31ヵ国をサンプルとして選び、これらの国における有給無給の仕事に対する女性と男性の貢献度に関して資料をまとめた。女性の仕事は真価が認められていないものが非常に大きいだけに、それに対して適切な価値をつけると、今日の経済的、社会的、政治的な機構が構築されている大前提は根本手に変えざるを得なくなるだろうという結論をだしている。

もう一つの特徴として、現役の首相や元首を務める7人の女性からの寄稿がある。彼女たちは、自分が直面している課題に対する自分自身のビジョンや、自国でジェンダー平等を確かなものにしていくためにどのような問題を提示し、どのように進めているかを述べている。